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キラー・エリート

  キラー・エリート

 

 「エクスペンダブルズ」以来ご無沙汰していた現役アクション俳優ジェイソン・ステイサム。見逃したけど「メカニック」も悪くない。順調にキャリアを築いている彼が挑むのは殺し屋で、そこまでなら“またかよ”と思うけれど、ロバート・デ・ニーロとクライヴ・オーウェン(「シューテム・アップ」)が共演するとなると腰が浮く。また描かれているのがヤバい話で、原作は元SASの隊員が著した小説なのだそう。パンフレットにはいろいろ書かれているから、ぜひそちらをどうぞ。

 

 つい最近「フランス特殊部隊 GIGN(ジェイジェン) 〜エールフランス8969便ハイジャック事件〜」を見たばかりだかけど、ドイツにもGSG9があるし英国はSASというわけだ。合衆国なんてデルタ・フォースやらネイビー・シールズやら映画のネタとして何度も出てくるし、たいていは好意的に描かれる。スパイは悪く描いても(「シリアナ」「グッドシェパード」 )、特殊部隊となると勇ましくも正義の味方、合衆国の「ネイビー・シールズ」 なんてまさにそれだ。ところが本作は元隊員の内部告発と言っても良い内容なので、やけに生々しい。描かれているのが80年代だけに“ほとぼりが冷めた”頃だからだろうか?

 

 オマーンに展開していた英国の特殊部隊が手を染めた虐殺行為。“やられたらやり返す”掟だけに、金持ってる族長は腕利きの殺し屋に特殊部隊員殺害を依頼。まさに“金で何でも解決できる”ヤクザな世界のホントの顔。雇われる殺し屋は出来ればのんびり暮らしたいと思っている男だけど、なじみの男が人質になって“足を洗った”家業にしぶしぶ逆戻り。その原因となるのがロバート・デ・ニーロなんだけど、「メカニック」とどうしてもダブってしまう。なかなか新しいパターンと言うのはないのです。実話を基にしているけれど、フィクションはネタとして使用するから映画になった時に見分けがつかなくなる。「ルート・アイリッシュ」などはフィクションだけど、可能な限りイラクと英国の現実を作品に反映させている。この辺はアクション映画受難の時代なのかもしれません。南米から物語は始まりますけれど、生々しいのは「ドミノ」、「ザ・ボディガード」がやっているし、「エクスペンダブルズ」も・・・。

 

 見所は「ボーン・アイデンティティー」バリの現実的なアクションや、特殊部隊員のたまり場などが実話ネタらしさ。ところがなんと脇役のはずのロバート・デ・ニーロが美味しいところを持っていってしまう。「マチェーテ」「リミットレス」と今ひとつ精彩を欠いていた彼が、渋い感じなのが何よりの収穫。「RONIN」などにも出てきた男ですから、渋い感じがたまらない。彼のおかげでジェイソンは“青臭さ”を獲得できたし、共演はクライヴ・オーウェンも楽しんだのでは。

 

 「評決のとき」の原作者ジョン・グリシャムは元弁護士ながら、小説にして現実を世に問うた。元特殊部隊員の著作は湾岸戦争が始まる前、既に英国も“中東に石油利権で暗躍していた”というワシにとって“抜け落ちていた”事実を知る機会をくれた、ペンは剣より強しです。完全にB級ネタながら、“実話を基にした”ことによって観賞可能にする、一役買っているのが名優デ・ニーロで、ある年代の方々にはオススメできる。

 

現在(5/21/2012)公開中
オススメ★★★☆☆

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  ラルゴ・ウィンチ 宿命と逆襲

 

 パート2から見ることになった、21世紀型ヒーロー誕生が描かれているパート1。実は出来がなかなかにもかかわらず、「キラー・エリート」に物足りなさを感じたので、帰宅後すぐに見てみたらやはり面白い。実話を元にすると、えせ批評家には受けるが、そんなもの映画にとってはちっともありがたくない。世界を股にかけて展開しても80年代では“殺がれてしまう何か”、つまりはアクション映画で最も重要な“うそ臭さ”が欠けてしまうのだ。筋肉もピッとしているトメル・シスレーは、外国語を違和感なくペラペラとしゃべり大活躍。コミック・ヒーローだけにキャラクターの肉付けはやりたい放題で、出自は80年代のユーゴスラビアまでさかのぼる。

 

 そこで大金持ちに拾われて彼の波乱万丈の人生はスタート。大人になったラルゴはパート2と同じく生水飲んだらお腹壊しそうな所にいたりして。で、父上が死んだことになり彼をつけ狙う連中の追跡をかわしつつ陰謀に立ち向かっていく。「アントニー・ジマー」がそうだったように、合衆国の“金出す人たち”を虜にしそうだけど、クリスティン・スコット・トーマス(「ルパン」 )みたいな脇役を用意できるのかな?でも「ダークナイト・ライジング」 があるから今年(2012年)はないか。
オススメ★★★★☆

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