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アイアン・スカイ

  アイアン・スカイ

 

 「最強のふたり」も助かったなぁと思っていたけれど、コレの予告編もアチコチで見受けられた。ミニシアターで上映されて、ワシのような好事家が満足するだけではもったいない(「モンスターズ 地球外生命体」)。大画面を十分に活かす特撮技術は申し分なし。もう発想がニヤニヤさせてくれる、フィンランド出身監督ティモ・ヴオレンソラによる爆笑VFXパロディ超大作。メル・ブルックス(「珍説世界の歴史PART1」)がご無沙汰だけに、この手のものは貴重です。月の裏側にナチが潜んでいて、飛行船の形をした宇宙船などで地球に攻めてくる。冒頭は女性大統領のキャンペーン、“Yes,She Can”の垂れ幕を月面に飾るために宇宙飛行士がやって来る。これが既に「トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン」 のパロディなんだけど、そこでナチに遭遇。1945年に地球を脱した連中は、虎視眈々と世界征服を狙っている。

 

 ま、出てくる面々は“ザ・ゲルマン”そのもので、「ミケランジェロの暗号」よりあの軍服がハマっていて笑える(「ソウル・キッチン」にしてもウド・キアなんてよく出てくるなぁ)。男だけでなく、子供達に英語を教えているユリア・デイーツェ演じるレテーナ・リヒターは完璧だ。この人が出てきた瞬間にこの映画にデレデレになる。合衆国の宇宙飛行士ジェームズ・ワシントンが持ってた最新IT機器により地球侵略に拍車がかかる。アホなことが次々に起こるけれど、笑いの中にもナチの非道が込められていて、それが黒人を白人に変えるというもの。「ブラジルから来た少年」で触れられていますけれど、狂気の博士メンゲレは眼球に青い染料を注射したのだそうな。

 

 コケにするのはナチだけでなく、21世紀の先進国もターゲット。「ハンガー・ゲーム」も宣伝マンと大統領が仲良しですが、本作でも大統領と広告代理店が一心同体。さらに国連会議室の様子は「オースティン・パワーズ」の悪役=Dr.イーヴルのアジトとなんら変わらない。攻めてきた宇宙船を「我が国のだ!」と北朝鮮は主張して笑われる。もっとも「ディクテーター 身元不明でニューヨーク」とご同様で、かの国を愚弄しているだけではなく、誇大宣伝のマスメディアを笑っているのかもしれない。「まともに勝ったのナチだけじゃん」と言われてしまう国の大統領は「宇宙戦艦を持ってる」と誇らしげに宣言(あのお方の名前使用)。ところが“宇宙の軍事利用はダメよ”のハズなのに「スペース・カウボーイ」)、各国とも持っていて、やってないのはフィンランドだけ。おずおずとしているけれどホントは誇って当然のことなのだ。「100,000年後の安全」の国は先に進んでいて、口が裂けても「同盟もうけっこう」と言えない日本とは違って、表現の自由がある。 

 

 下心で建造されていた地球連合軍がナチと対決。これはですね、大画面を活かした迫力のシーンで素晴らしい。「宇宙戦艦ヤマト2199」より“ありそう”なデザインはいかにも洋モノっぽくて楽しい。映画のなかではエイリアンロボットもやっつけちゃったし、合衆国が待望していた敵と雌雄を決する一大バトル。皮肉な見方をすれば古い悪と新しい悪の戦い・・・女子供もまとめて核爆弾で吹き飛ばすんだもんね。設定こそ21世紀の強国を笑っているけれど、「スターウォーズY ジェダイの帰還」に近い特撮の使用法は最適。技術進歩で融通が利くようになりましたが(「ハンコック」「第9地区」)、観たかったスペース・オペラが蘇る。大ブーイングですけれど、「カウボーイ&エイリアン」の無駄にアホらしく広げた風呂敷こそがSF超大作の醍醐味。

 

 ナチを訴える映画は重要ですが(「ソハの地下水道」)、コケにするのも効果的。ぶっ殺すのは「イングロリアス・バスターズ」でやっているから、この手法はまさに傑作「生きるべきか、死ぬべきか」を継承。もちろん表層はアホなパロデイ以外の何ものでもなく、ゲラゲラ笑ってスッキリしていて良いと思う。でも下の層には案外時代を風刺していたり、せっかくチャップリンが残してくれた財産(「独裁者」)を省みる機会となるかもしれない。「スターレック 皇帝の侵略」が映画好きとして“良くぞやってくれました”という愛すべき珍品で、本作でステップ・アップした監督ティモ・ヴオレンソラ。パロデイにするSF作品は山のようにあるから特撮技術を活かして・・・ではなく、洗脳されていない表現の自由を駆使して、多層構造をしたお笑い作品を生み出していってもらいたい。

 

現在(10/4/2012)公開中 
オススメ★★★★☆ 

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 スターレック 皇帝の侵略

 

 「スタートレック」のファンは全世界にいる。パロディも作られたし、前日譚も継続中だ。「スターウォーズ」だっていっぱいいる(「ピープルVSジョージ・ルーカス」)。じゃあフィンランドの監督が手がけるとどうなるか・・・。これを流通するのは相当勇気のいることながら、おかげさまで「アイアン・スカイ」誕生につながる愛すべき珍品。B級映画は自分で良いところを探さないと時間の無駄になってしまう典型。

 

 8mmでもビデオでもいいんですけれど、映画を撮ったことがある人はニンマリするかもしれない。人様が見て説得力のあるシーン作るのって難しいんですよ、加えて特撮のレベル高いし。特撮は文句なく凄いだけに監督の力量が求められるのはその他の部分。「トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン」が分かりやすいですけれど、派手な場面だけでは映画にならない。プロなら苦労が見えちゃいけないけれど、監督のことを出演者が支えている感じが滲み出ていて、どこか「SUPER8/スーパーエイト」に通じる。そういえばJ・J・エイブラムスは「スタートレック」の監督か。ぜひ“試しにいってみるか”を念頭にご覧になってご確認を。
オススメ★★★☆☆

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