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エージェント・マロリー

  エージェント・マロリー

 

 劇場入口で、でんぷん粉麺“マロニー”がもらえるスティーヴン・ソダーバーグの新趣向。マロリーとマロニーをかけてのタイアップらしく、こんなサービスも初めてだ(表記を間違えてしまいそう)。リュック・ベッソンがプロデュースの「コロンビアーナ」は主演女優のゾーイ・サルダナがキモでしたが、本作もご同様にマロリーを演じたジーナ・ガラーノ嬢を欠いては成立しない。いやいや彼女が全てといっても過言ではありません。

 

 ジーナ・カラーノという人は女優さんではなく、総合格闘技家なんだそうで、蹴りの切れ味ひとつをみても威力は伝わってくる。予想通りに豪華共演の男優さんたちが次から次へと血祭りに上げられていく。最初が「第九軍団のワシ」「君への誓い」と今年出演作を2本拝んだチャニング・テイタム。続いて「SHAME/シェイム」「ジェーンエア」「プロメテウス」と3本のマイケル・ファスベンダー。寡黙な殺し屋であるだけに、マロリー演じるジーナの芝居が上手いかどうかは分かりませんけれど、アクションシーンは激しく、画面に目が釘付け。蹴りだけでなく絞め技が素早くて、三角締めや腕ひしぎ逆十字がホントに決まっているみたいに見えた。「SPIRIT」の時、中村獅童は大丈夫か?と心配になったけれど、マイケル・ファスベンダーなんて蹴られた挙句に顔が真っ赤になるまで締め上げられてた。

 

 「ガールフレンド・エクスペリエンス」でもできるだけプロのコールガールに見せるため、サーシャ・グレイ嬢を起用したソダーバーグですけれど、今回も成功です。女優さんが殺し屋を演じる場合、俊敏さは申し分ないけれど、強さを前面に出すのは難しい。アンヌ・パリロー(「ニキータ」)もアンジェリーナ・ジョリー(「ソルト」)も、そしてゾーイ・サルダナ(「コロンビアーナ」)も。華奢では男をコテンパンに叩き潰す迫力が削がれますが、キチンとした無駄のない格闘家の筋肉は説得力がある。前日に初代タイガーマスク ~猛虎伝説~ Vol.1を見ていても、納得の技の数々は文句なし。優しい男も演じ分けられる面々をノック・アウト。もちろんよく分からない組織に属してはいるけれど、海兵隊出身の経歴にウソ臭さがない。

 

 国が高くつく仕事(戦争、政治工作のための暗殺)は下請けに回す21世紀(「ルート・アイリッシュ」をご参考までに)、暗殺者も世界各地を転々とします。ニューヨーク北部だったり、アイルランドのダブリンだったり。この各地を転戦する部分に「コンテイジョン」の経験が活かされているのか割とすんなり見ることができる。多分撮影経費も浮かせられたんじゃ?無駄のないのが映画製作では一番肝心。かと言ってみみっちく作るわけにもいかず、この辺は万年映画青年の真骨頂でしょう。「ラストターゲット」は仕方ないけれど、「ハンナ」に足りなかったものがきちんと補われている。それにしても警官とか組織の追っ手から逃れて、屋根を伝って逃げるシーンなんか撮影兼任(名義はピーター・アンドリュース)の技の見せ所。なかなかオリジナルな場面を描出で、「ボーン・レガシー」とは違ったアプローチでしょう。

 

 宣伝では“「オーシャンズ11」シリーズの監督”と謳われていて、確かに出演陣は豪華。前出の2人に加えてマイケル・ダグラスもアントニオ・バンデラスもユアン・マクレガーも主役級。でも映画青年だけにビル・パクストン(「アポロ13」)に美味しいところあげちゃうんだよね。ただラストなんですけれど、ひょっとするとコーエン兄弟「シリアスマン」に負けじとかましたのかな?大通り映画を期待している人にとってはゴゲッてなっちゃうけれど、処女作以来のファンなら納得。「オーシャンズ12」「オーシャンズ13」の合間に、「Bubble/バブル」などを平気で撮ってしまう人だもんね。すでに次の作品がストックされていて、さらに積み上げた経験が生かされることでしょう。

 

 現在(10/3/2012)公開中
オススメ★★★★☆

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関連作

 Bubble/バブル

 

 「ガールフレンド・エクスペリエンス」と同じディスクに入っているお得な1本。映画青年ソダーバーグの真骨頂か?それとも売れ線映画(「オーシャンズ1213」)の合間に初心を忘れたくなかったのか?ごく平凡な人々にも起こりうる殺人事件のお話。街の描き方は「セックスと嘘とビデオテープ」を思わせ、淡々と進むがそれでいて惹きつける(さすが撮影監督も兼任するだけある)。「WIN WIN」なども身近な人々が登場しますけれど、この作品に登場する人々も生々しい。IT機器とは無縁の低賃金労働者のセリフは実態に即している。この作品は2005年ですけれど、2012年の日本にも通じる。特に介護施設の資金は潤沢で、運用はデタラメというのは納得(お客さんで施設で働く方いらっしゃるので、お話は幾つか聞きました)。見所はなんといっても主人公たちが勤める人形工場で、滅多にお目にかかれないし、作業風景はなかなかです。
オススメ★★★☆☆ 

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