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ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q

  ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q

 

 「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」から3年経過して待望の一本。残すところ一ヶ月半だから、興業収益は「テルマエ・ロマエ」に譲ってしまうかもしれないけれど、最終的な売上では抜いてしまうでしょう(グッズ売り場は充実)。前作は合計5回劇場で観たけれど、毎回7割の入りで、インディ系の作品で味わう寂しさが微塵もなかった。また時は確実に流れていて、前作まで配給はクロック・ワークスだったけれど、今回は見慣れないT-JOY。これは「009 RE:CYBORG」も配給している会社で、東映の子会社なんだそう。劇場経営もしていて、桜木町のブルク13などを運営。なんであそこでアニメを推しているのか不明だったけれど(「宇宙戦艦ヤマト2199」 など)、その手の情報に接すると見えてくる。近所にTOHOシネマズができたり、映画鑑賞の環境は変わりつつある。お気に入りの作品を上映してくれる銀座テアトルシネマが、作品選択のチョイスが良いにもかかわらず閉館なのも、時代の流れではなく、進化した技術がそうさせる側面がある。参考までに“キネマ旬報映画総合研究所”というサイトをどうぞ(勉強になりました)。

 

 東日本大震災を経ているので、今年(2012)生み出される日本映画は確実に影響下にある(「終の信託」「ジャパン・イン・ア・デイ」)。本作などはかなり色濃く反映されているのではないかと推察されます。冒頭は情報の洪水の中に放り込まれる。何がなんだかわからないうちに作品世界に没入。弐号機とピンクの機体が見えたかと思うと、見覚えのない人たちが潜水艦の艦橋部分みたいなところで指示を出している。映像の情報量はハンパじゃないし、想像を巡らすからアドレナリン全開。まさに映画の冒頭は“派手に、観客を引き込まなければ”意味がない。じゃあ主人公碇シンジ君はと言うと、“検体”などと呼ばれて蚊帳の外。観客と彼の視線は一致していて、見覚えのある人達なんだけど、どこかが違う。なんと14年間も時間を飛び越えて過酷な世界は回っている。衝撃的なのは時間差だけでなく、ロボット・アニメでは考えられないセリフがすごい。主人公に向かって周囲は寄ってたかって、「頼むから乗らないでくれ」、「頼むから何もしないでくれ」と職場で言われたらかなりへこたれそう。それもそのはずで、彼が世界を破壊しちゃったんだから。

 

 で、居場所を失った主人公は親父の元に逃げ込む。もともと怪しい計画を進行していた碇ゲンドウ、何やら企んでいてまたまたヘタレ全開の主人公と、前回の劇場版「新世紀エヴァンゲリオン劇場版Air/まごころを、君に」みたいな展開になっていくのか?は次回に持ち越し。前作は娯楽に徹していて、ファンを狂喜させ、まるで「スターウォーズエピソードU クローンの攻撃」のように大勢の人々に届くように作られていた。ところが今回は観客の中のコア部分にアピールしていたような。最近「マトリックス リローデッド」を見直して、分かってなかったんだなぁと思い知らされたけれど、劇場を埋め尽くした若い人たちも後々気がつくのかな?前回のノリを期待していた少年たちはさぞやガッカリしたであろう、身も蓋もない現実的な世界に生きるヘタレ少年。しかしながら、既に4回観たというオタク青年は「庵野ワールド全開ですよ、次は物語がループするんじゃないですかねぇ」だそうで、持論を展開していて楽しそうだ。

 

 中年のワシはというと、現実的なお話にノック・アウトされたけれど、“我々は21世紀に生きている”という認識を新たにするハメに。打ちひしがれる暇なんてないのだとムクムクとヤル気になる(中沢新一氏の「日本の大転換 」を参考までにオススメ)。女性キャラが大活躍しているのは現実世界に即していて、ミサトちゃんもリッちゃんも、控えめだった伊吹マヤちゃんまで逞しくなっている。パイロットの2人もアスカはパワー・アップで、歌い続けるマリは笑いのパートを独占。コネめがねの“ね・ら・い撃ち”の部分はもう一回確認したい。映画でも男のヒーローはしょせん消耗品で(「エクスペンダブルズ2」)、国際戦犯を追う検事カルラ・デル・ポンテも、戦火のサラエボに飛ぶアニー・リーボヴィッツもカッコ良く、現実に向き合うのは女性。「ヘルプ〜心がつなぐストーリー〜」「プレシャス」「WINWIN」も・・・。アニメだって女の子が主人公じゃなければ 成立しない。

 

 セミナーに行けば起業しているカッコ良い女の人たちを見かけるし、全員ではないけれど、しっかり働いている人は周囲にいっぱいいる。「タバコ吸う女増えたよなぁ」などという人もいるけれど、“それだけストレスの貯まる仕事してんだよ”と思わずにはいられない。村上龍氏のエッセイではないけれど、警告でもなんでもなくて、すべての男は消耗品である ってことに気がつかなくちゃいけないのです。村上龍氏が凄いのは今さらだけど、「新世紀エヴァンゲリオン」 はキャラクター名を「愛と幻想のファシズム 」から流用していたもんな。人によってはゲンナリで、女性キャラ大活躍を刻み、“スーパー・ロボットに乗って戦っていりゃあイイッてもんじゃないんだよ”と宣言。国産アニメは外国産に対抗しうることを見せつけた、今年を締めくくるのに相応しい日本映画でした。

 

現在(11/19/2012)公開中
オススメ★★★★☆

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 マトリックス リローデッド 

 

 余計な情報や第1作に対する思い入れから観たせいで、“見なかったこと”にしていて大損のウォシャウスキー兄弟の実力が思い知らされる1本。とにかくエポックにして日本漫画へのオマージュ全開の「MATRIX」は劇場に馳せ参じること5回、続編と聞いて待ちに待ってたのがコレか?と落胆したのは2003年。ところが余計なバイアスを取り払うと(ハッキリ言って忘れた)、“リローテッド(再度弾込め)”というくらいで、2部作の第1部としてみると実にイケる。これはもちろん「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」とご同様で、スカされて気持ちよく“やられた”と思うには年取らないとダメなのか。

 

 「つまんねえ」の大合唱に反して、映像関連の人々は狂喜したそうな。確かに映像テクニックだけでも、明らかに前作を凌駕する情報量。それだけでなく、予算倍増でキャストも豪華になった。モニカ・ベルッチはただ出ていただけではないし、ジェイダ・ビンケット=スミスも参戦で、キャリー=アン・モスも交えて華はトリプル。無彩色に近いシリーズ第3弾に続いて「スピード・レーサー」を見ると、めまいを起こしそうな極彩色に圧倒されます。「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」の冒頭部分は、ホバークラフト=ネブカデネザルがザイオンに入港するシーンを思い出させるんだよな。 
オススメ★★★★☆

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  サイレントメビウス

 

 “科学と魔術が交差するとき、物語が始まる”「とある魔術の禁書目録」に先駆け、1991年に登場した近未来オカルトSF。違いは学園都市ならぬ2028年の東京が舞台で、主要登場人物が全て女性警官(正確には対妖魔用特殊警察=AMP
のメンバー)。宿命を背負った香津美リキュールが主人公で、母を見舞いに東京に訪ねてくると、ワケの分からない事件に巻き込まれてく。「エヴァンゲリヲン新劇場版:序」の主人公碇シンジ君と、シチュエーションが似ているけれど、逃げずに立ち向かう彼女は根性入ってます。もちろん公開当時は女ばかりで、スケベ目線の描写もまさに読者サービスながら、今(2012年)となってはこれ(現実に立ち向かう女たち)が自然に映るから怖い。「エクスマキナ」のデュナンなどはよりパワフル。

 

 認知度が低いのは90年代は宮崎駿作品が台頭してきている時期で(「ルパン三世 カリオストロの城」は注目されなかったのにねぇ)、角川映画産のアニメはメインストリートではなかった。角川映画のアニメーションは「幻魔大戦」まで遡るから後発ではないんだけれど、「風の谷のナウシカ」を世に出した元祖アニメ雑誌“アニメージュ”は確固たる地位にあり、後に創刊された“ニュータイプ”は苦戦したというところか(今はどうなっているか分かりません)。上映時間も短く、確か2本立てだったような。まだOVAの市場も未開拓で、内容も原作の紹介にとどまる。この辺は「ファイブスター物語」にも通じるんだけど、TVアニメ以上劇場版未満の位置。ただし「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」と並行鑑賞すると、日本アニメーションの情報量がどれだけ増えたのかは一目瞭然。でも物語はコチラの方が時代に即している。
オススメ ★★★☆☆

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