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 合衆国のエンターテインメント・ウィークリー誌が発表“過大評価されているアカデミー賞受賞作18本”という記事が出ていて、「英国王のスピーチ」より「ソーシャル・ネットワーク」だろうと書いてあった。確かにねぇワシも「英国王のスピーチ」を観る前にはそう思ってたけど、作品賞をあげるのに“偏った”のではなく、“まん中辺”のチョイスをされると“落ち着くところ”に落ち着いたと感じる。ではこのサイレントの新作「アーティスト」はというと、古臭い手法がかえって新しい映像体験を生んだ偏った1本。

 

 これを観て“懐かしい”という感情が湧く人はよっぽどの高齢か、映画を研究している人かのどちらかでしょう。サイレントなんて劇場でお目にかかったこともない。ものすごく新鮮で、スクリーンに釘付けになった。“ああなるほど、これが映画なのね”と素で感動する。以前ロスアンゼルスで「L.A.コンフィデンシャル」を観た時、字幕ないから画面を凝視、映画ってのは観てりゃあ分かるもんだなと痛感。モノクロの映画は劇場では「ルネッサンス」以来で、家で見た「コントロール」もなかなかだけど、ジム・ジャームッシュ「ストレンジャー・ザン・パラダイス」「デッドマン」の肌触りには適わない。観ていて「生きるべきか、死ぬべきか」を思い出したんだけど、なかなかモノクロを活かせる人っていないのだ。 

 

 直近でサイレントはリュック・ベッソンの「最後の戦い」があるけれど、厳密な意味でのそれではない。だって“実験的な雰囲気”を出すことに使っているけれど、サイレント映画の持ち味を活かす物語とは違う。いかにもサイレントの新作を撮ったかのように見えるのが、なんと言ってもこの作品の売りで、物語はシンプル。“目で観て分かるのが映画なんだ”と言わんばかり。売れっ子の男と売り出し中の女が出会い、トーキーの出現で一方は斜陽に、一方は輝ける場への階段を駆け上がる。でも恋が二人を結びつけて・・・。シンプルって良いなぁ、映画ってたぶんこうなんだろうなぁ、とつくづく実感。出てくる犬がまた上手くて、「人生はビギナーズ」に負けず劣らず。時代も「モダーンズ」の頃で、目前に大恐慌が迫っているけれど、粋です。主演の二人もバッチリだ。パンフレットにはダグラス・フェアバンクスがモデルだと書かれていたけれど、ワシの場合はジョージ・ヴァレンティンに扮したジャン・デュシャルダンがショーン・コネリーに重なる。今では通用しなくなったけれど、伊達男の典型的な顔。女優さんも口が大きくなくちゃ、ベレニス・ベジョは可愛い。脇で出てくるジョン・グッドマン(「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」)もジェームズ・クロムウェル(「ブッシュ」)も文句なし。

 

 ジェームズ・キャメロン「アバター」以来、イヴェント映画は3Dが相場。ゲームの映像表現に負けちゃあいけないから、情報量は増える一方。今のところ量に限っていえば「トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン」がトップかもしれない。でも3Dを方便にして、スティーヴン・スピルバーグ「タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密」で相変わらず冒険活劇を実現させている。動いていなくちゃ映画じゃないのだ。トーキー到来で失われたのが、見て分かる“大げさな動き”。踊りを重要視する流れはヴィム・ヴェンダースの「Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち」がそうだし、周防正行の「ダンシング・チャップリン」などは“映画へのオマージュとはこうだ”と言わんばかりの傑作。セリフが映画をダメにしたわけではないけれど、セリフに頼る演出家は残念ながら・・・。日本映画でお気に入りの北野武荻上直子などもセリフで映画を成立させていない。

 

 「ヘルプ〜心がつなぐストーリー〜」がそうだったけど、ビカビカのデジタル上映ばかりを観ていて、たまにフィルムでの上映に出くわすと、これもアリだよなとしみじみ見入ってしまう。省くことが新鮮に映ることもあるのだと痛感。出ている人々が生き生きと動き、劇伴がそれを彩る、映画にとってはそれで十分なのでしょう。「ヒューゴの不思議な発明」は舞台がフランスで、フランス人が撮った本作がアカデミー賞獲得。今年のムードかもしれないけれど、サイレント映画の出来不出来なんか分かりっこないんだから、つい賞をあげちゃうのもうなずける。もちろん賞は宣伝だから、効果は絶大でヒットするでしょう。少なくとも映画の面白さを見直した。

 

現在(4/9/2012)公開中
オススメ★★★★☆

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関連作

 ダンシング・チャップリン

 

 「それでもボクはやってない」が2007年だから、4年空けてお目見えの周防正行監督作品。とてつもなく素晴らしい1本で、銀座に行った時観ときゃよかった。ヴィム・ヴェンダースの「Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち」に驚いている場合じゃないですね。日本映画の監督だって、キチンと21世紀の感覚を持っている人がいる。チャップリンをバレエに置き換えて演じているルイジ・ボニーノと、草刈民代を共演させその過程をドキュメンタリーで描く。振付師は実際にチャップリンに会った人物で、彼と監督のやり取りは見応えあります。まぁねぇ「Shall We ダンス?」以来の草刈民代が主演だし、宣伝もその効果を利用しなくちゃなんないけれどさ・・・。村上龍も「KYOKO」を撮っていますが、ダンス映画にして“映画へのオマージュとはこうだ”と言わんばかり。ドキュメンタリーとダンス部分の2部構成ですが、どちらの特性もきちんと活かしている。「パリ・オペラ座のすべて」「東京画」の合体技と言ったらよいでしょうか。周防正行のテイストで料理されていて、以前からのファンも納得されるはず。それにしても売れっ子プロューサー亀山千広が一枚かんでいるとは。ま、「誰も守ってくれない」しかりか?
オススメ★★★★★

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