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アルゴ

   アルゴ

 

 前作の「ザ・タウン」で監督としての知名度を広めたベン・アフレック(ジェレミー・レナーがアカデミー賞にノミネートされたし)。残念ながら処女作は未公開ながら、第3弾は楽しみだった。製作にグラント・ヘスロヴとジョージ・クルーニーの名前を見つけたので、今度は政治ネタなのかな?と思ったら案の定で、かなり生々しいイラン革命が背景にある実録スパイ映画。ちなみにグラント&ジョージのコンビは「グッドナイト&グッドラック」「ヤギと男と男と壁と」「ラスト・ターゲット」「スーパー・チューズデー〜正義を売った日〜」を生み出しており、「ラストターゲット」を除いて時系列で見ていくと社会派ドラマにどっぷり浸かって、世界情勢に触れた気になれます。

 

 でも同じような視点ではジョージの新作を待っていれば済むので、ベンには違うアプローチを期待。冒頭いきなりニンマリしてしまったのは、旧ワーナー・ブラザーズのロゴマーク(映画青年魂だね)。続いて“傀儡政権を打倒してイラン革命が勃発”という歴史のお勉強。撮影のロドリゴ・プリエト(「BIUTIFUL ビューティフル」)の手腕で、画面に釘付けになる。政権が変わると既存の勢力は一網打尽に滅ぼされてしまうので、仲良しだった国の大使館は慌ただしくなる(「キリング・フィールド」)。群衆に包囲されて真っ先にやることは証拠隠滅。「英雄の条件」はあくまで軍隊賛美のマッチョ映画ですから、国旗が大切でしたけれど実録だけに命を優先。命からがらカナダ大使の自宅に逃げたはいいけれど、出国はとてもじゃないし・・・。そこで呼ばれてくるのが救出作戦のプロで、ベン扮するトニー・メンデス。たまたま息子と電話で話していて、眺めていた「猿の惑星」から作戦のヒントを得る。“映画のロケハンってことにして逃がしちゃえばいいじゃん”作戦、上手くいったから良いようなものの、コケれば闇に葬られるキワドイ代物。

 

 デタラメな作戦のようで、お役人(国務省だし)の思考法は緊急時には役に立たない。そもそもみんな揃ってイラン革命を予測できなかったんだから。「レッドオクトーバーを追え!」でもジャック・ライアンだけがソビエト原潜艦長の真意を見抜きますが、本作の主人公トニーもまたしかり。CIAだけに顔が広く、ハリウッドのメイク・アップアーチストとプロデューサーを焚きつけて、宣伝まで打って準備を整える。映画製作なんてデタラメもいいところなのは「ワグ・ザ・ドッグ ウワサの真相」が典型ですけれど、ハリウッドで関係する2人ジョン・グッドマン(「アーティスト」)とアラン・アーキン(「サンシャイン・クリーニング」)はヤリまくりで笑わせてもらった。気楽なハリウッドとは対象的に、緊張が続くのがイランで、大使館員を演じる人たちは見知った顔がないからやけに生々しい。スクープ・マクネイリー(「モンスターズ 地球外生命体」)なんて、まず見分けられない。

 

 監督として成長したベン・アフレックでしたけれど、役者としても魅せた。「カンパニー・メン」までとは一味違った風情で、過度に緊張もせず淡々と任務を遂行する諜報員を演じ映画を背負った。内勤と外勤がうまく連携すると極秘任務がうまくいく(「スパイゲーム」)実例で、内勤のジャック・オドネルを演じたブライアン・クランストン(「リンカーン弁護士」)も映画を支えた。出国するシーンはパスポートのチェックやら詳細に描かれていて、やけに現実的でハラハラする。ちょっとサービスし過ぎかとも思えるけれど、娯楽なんだから「パッセンジャー57」みたいなトコ入れてもいいでしょ。テレビの向こう側で起こったホントのことを、映画が伝えないでどうするのか(しかも映画界が一枚かんでいるんだから)。ベン・アフレックのために取って置かれたお話にして、アカデミー賞ノミネートも十分あり得る。

 

 同じく実録の「フェアゲーム」と比べると分かりやすくて、民主党政権下ならではの作品(「エアフォース・ワン」)。当時の大統領ジミー・カーターまで引っ張り出してきて、宣伝かと言われるかもしれないけれど、国に尽くした公務員と友誼に応えたカナダを称える映画。ちなみに世間を映画で欺く「カプリコン・1」が公開されたのはカーター政権下だったりして。イラン映画「別離」などもありますから、国が“悪の枢軸”と名指ししても、いい加減に描くわけにはいかず、かなり冷静な視点を保つ努力は払われている。スパイ活動は国家のためでCIAは悪さばかりしているわけではないし、賞賛されて当然の人のことが伝えられない例もある(「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」)。実話を元にした感動作より、ウソのようなホントの話(「エリン・ブロコビッチ」とか「ハンテイング・パーティ」)路線でベンには次回作を期待したいところだけど、さてどうなるだろう。過度に何かを批判するのではなく、ひたすら任務=仕事を全うする大人の映画に見えたのはラストシーンのせいですかねぇ。

 

現在(11/7/2012)公開中
オススメ★★★★☆ 

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カプリコン・1 

 

 ピーター・ハイアムズの代表作なのに、今(2012)に至るまで見ていなかった傑作。サスペンスの棚が相当だけど、ハードSFとしても有効な内容。「アポロ13」でも世間様の関心が薄いことが描かれましたが、こちらにはモロに反映されている。事故があるから計画が中止(「アポロ18」)になるんじゃなくて、金がないからのギブ・アップ。デッチ上げは政府の十八番ながら(「ワグ・ザ・ドッグ ウワサの真相」)、疑惑の目がNASAに向かうのに十分なヤバイお話。ものすごく生々しいメデイア批判にして、国家に対して物申している。「大統領の陰謀」、「チャイナ・シンドローム」しかりでジャーナリストに信頼がおけた70年代をも同時に示している。

 

 「M★A★S★H」もいいけれど、万年映画青年ジョージ・クルーニーに好かれているエリオット・グールド(「オーシャンズ1112」)は、若くていかにもブン屋って感じがカッコ良い。宇宙飛行士の一人に扮したジェームズ・ブローリンは男前だけど、息子(「メン・イン・ブラック3」ジョシュ・ブローリン)はそっくりだね。後に撮影も手がけるピーター・ハイアムズなれど、本作では監督に専念。ヘリと小型飛行機のチェイス・シーンは見せ場で、やたらとスラング連発のテリー・サバラス登場でしまる。音楽のジェリー・ゴールドスミスは鳴り響くと確かにこの時代の雰囲気。砂漠の描写とかは後に監督の「2010年」にも反映されている。
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