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ネイビーシールズ

  ネイビーシールズ

 

 以前チャーリー・シーンとマイケル・ビーンが主演した同名タイトルがあったけれど、中身をほとんど忘れてしまった。ところが本作は後々エポックとして記憶されることになりそうな、現代の戦争を描いた1本。現代の戦争は市街戦が中心で(「英雄の証明」「キラー・エリート」)、国家の軍隊と言えど対するのは麻薬王の抱え込んでいるゴロツキだったり(「マイアミ・バイス」)、原理主義者が無理やり仕立てた人間爆弾だったりする(「ハート・ロッカー」)。特殊部隊も21世紀に対応するべく、小隊単位で意志決定がされている。スパイ映画とポリス映画の合体技のように見えるのが特徴で、軍隊映画に見えない。

 

 官僚組織や軍隊組織はトゥリー状のハイアラーキー(:強い統一を仮定した上で、樹木状に整然とした分岐をしていく権力機構:EV.Caf をご参照ください)をしており、対置する考え方がリゾームなのだそう。インターネットが普及するまで、このことを理解できなかったけれど、日常で使用する今となってはおぼろげながら分かってきた。中心を持たない小規模集団に大軍団で襲い掛かっても勝利は望めない。もちろん手をこまねいていられないのが合衆国の現実で、ビビれば敵の思う壺ながら対抗していかなければならない。そこで投入されるのが海軍特殊部隊ネイビーシールズというわけ。

 

 で、登場するのが本物。それは動き一つとってみても一目瞭然で無駄がない。たいていの映画だとドラマ仕立てだから、部隊内にわだかまりがあったり(「世界侵略 ロサンゼルス決戦」)、役者さんが出ているから迷彩のメイクしていても誰かは分かる(「ティアーズ・オブ・ザ・サン」)。闇夜にまぎれて進む彼らは誰が誰だか判別不能。拉致されたCIAエージェント救出が最初のミッションで、そこから導き出された黒幕とその計画に迫っていく。チームにはそれぞれスペシャリストが配置されていて、チームのトップは階級が大尉。彼が決断してメンバーが活動を開始する。まさにここが21世紀型で、世界に冠たる装備をフルに活用して、ソマリアであるとかメキシコなどで作戦は少人数で進行する。潜水艦も空母も最新のものが使用されていて、軍事マニアはさぞや楽しめるでしょう。あの装備を見たら、“中国が空母建造”のニュースに接しても安心していられる。そして本作を観に行く最大の動機であるのが企画協力のトム・クランシー。キナ臭い地域を実態に即して描けている、と感じさせるのは彼の功績でしょう。だてにジャック・ライアンシリーズ(「レッドオクトーバーを追え!」「パトリオット・ゲーム」「今そこにある危機」)を書いていない。

 

 見どころは宣伝文句そのもので、実際の戦闘を追体験している感覚に襲われます、ぜひご覧になってご確認を。「ハートロッカー」を観た時に確実に戦術が変わってきていると感じました。戦争映画も様変わりしたものだ、ではなく戦闘そのものが変化していて、それに適応している部隊が存在すると言う事実をまざまざと見せつけた一本。村上龍氏の「櫻の樹の下には瓦礫が埋まっている。 」によると、ヒューマニズムという概念があるかないかで、兵士の強さにも差が出てくるのだそう。ここに出てくる兵士には家族があり、ヒューマニズムをしっかり持っている。それでも非情な任務に命を懸ける姿はどこか「炎のメモリアル」 に登場する消防士に通じる。

 

 兵士は家族のために命を懸けるのであって、エライ人間のためではない。本作の優れた処理がここで、もう一方の悪役が顔を出さない。悪党は麻薬王と原理主義者だけで、法人の代理人=議員やら、〜司令長官とかは影も形もない。たいてい特殊部隊の足を引っ張るのが、現場知らない間抜けな政治家(「英雄の条件」「大いなる陰謀」)。戦争起こらないように努力するのが政治家の仕事なのに、世界のあちこちで戦闘が繰り広げられているんだから能力が欠如している(「ブッシュ」)。実際の戦闘を基に「ブラックホークダウン」も作られていますけれど、クリント・イーストウッド「ハートブレイクリッジ 勝利の戦場」が戦闘シーンだけを見ても優れているかは分かる。戦争映画をこの後に作るのは、さぞかし根性のいることになりそうです。ぜひ合衆国には兵士たちを落胆させない国家であってもらいたい。民間軍事会社に出向したり(「ルート・アイリッシュ」)、野に下ったら「沈黙の戦艦」よりとんでもないことが・・・。

 

現在(6/23/2012)公開中
オススメ★★★★☆

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  パトリオット・ゲーム

 

 劇場で観たのはずいぶん前で、「ネイビーシールズ」の後にまた見ると、世界のことを分かっていなかった自分を発見。「レッドオクトーバーを追え!」のアレック・ボールドウィンに代わってハリソン・フォードがジャック・ライアンに扮する。この人なぜかシリーズもののヒーローやりますね(ジョーンズ教授ソロ船長)。IRA と言っても一枚岩ではなく、より過激な手段に訴えるグループは英国王族殺害を企てる。ところがたまたま居合わせたライアンが、防いでしまい最悪の事態にならずに彼はヒーローに。ところが弟を殺されたテロリストは執念の復讐を実行していくことに・・・。テロリストに扮したのがショーン・ビーン、後の「スタンド・アップ」が信じられないくらいの悪役ぶりで、ハリソン・フォード扮するライアンと因縁の戦いを繰り広げる。

 

 で、脱走して再度ライアン一家に襲い掛かろうとするテロリストたちは「バーダーマインホフ」にも登場のアフリカで訓練。もちろん世界の情報全てを網羅しているCIAは居場所を特定できちゃうわけで、一気に急襲。現場を描いたのが「ネイビーシールズ」だとすると、命令する側だからモニター越し。並行観賞すると対比がクッキリします。もっとも現場を知っているライアンの表情はこの時厳しい。物語ですから家族のために戦う者同士という構図に収束しますが、おまけとして世界の実情に触れたような気にもなる。ここがトム・クランシー人気の秘密なのでしょう。もともと大人向けで、中年になったので余計楽しめる、確かにオッサン映画ってことなんだけど、サミュエル・L・ジャクソン出演のおまけつき。
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