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  パニック映画をスケールでっかく描く場合、どーしても避けて通れないのがCG。見せ方というより、“見せなさ加減”に監督の技が試される21世紀。でも大変だろうが実写でやっちゃえばコレに適うものはないのです。リドリー・スコット「ロビン・フッド」も“実写チャンバラ”の威力を見せつけた一本でしたが、弟のトニーも負けていない。兄弟監督は上手くいく例(最近では「デイブレーカー」)が多いですけれど、兄弟揃って第一線で活躍し続けているのは稀。

 

 で、今回トニーが挑戦したのがトレイン・パニック。レンタル屋の棚が一番分かりやすいんですけれど、飛行機のパニックはかなりありますけれど、列車というと数はない。CGやらミニチュアでやるならまだしも、実際の列車を使って映画にするとなると大変です。日本だって「新幹線大爆破」 くらいしかないんだから。

 

 更に列車を題材に映画を撮るというのは、映画監督として資質を問われる。蓮實重彦氏の「映画に目が眩んで 」(500ページ参照)に感化されていたので、列車の描写はけっこう注視していました。なにせ“鉄道の撮れる監督は一流で、撮れない人は二流”と断言しているんだから。確かにクリント・イーストウッド「父親たちの星条旗」もトッド・ヘインズの「アイム・ノット・ゼア」も列車が登場するシーンは印象的で、候孝賢(「珈琲時光」)も素晴らしいし、「瞳の奥の秘密」だってハイライト。

 

 で、もちろん娯楽作のパニックだからといって、トニー・スコット の新作は決して手を抜いていない。ありとあらゆるベスト・ショットを試しているみたいに緊張感を盛り上げる。もちろん専門家ではないから、細かいところは分かりません。けれど、鉄道マニアもけっこう楽しめるんじゃないかと思います。だって明らかに日本の鉄道会社とは異なる世界がのぞける。冒頭のシーンはカッコ良かった。

 

 祖父が国鉄職員でしたから、キチキチ・カッチリ(時間にうるさい)が信条の鉄道員が固定したイメージ。しかしこの作品の主人公はずいぶんと違って、貨物列車を運転しますからラフなカッコ。でも長年積み重ねてきた経験は伊達じゃなくて、デンゼル・ワシントンはまさに適役。“真実一路男”はブルー・カラーの熟練男もピタッとはまっています。またコンビのクリス・パインは「スタートレック」のはみ出しエリート、カーク艦長のイメージが微塵もない精悍なルーキー。若造と熟練男、この取り合わせは永遠のパターンだけど、悪くない。

 

 もちろん展開はパニック映画の王道で、些細なことが大事件に発展。もう「タワーリングインフェルノ」の鉄道版を観ているよう。ただ豪華共演を可能なかぎり排して、ヒーロー2人に焦点を絞ったことは大正解。ハッキリ言ってポール・ニューマンとスティーブ・マックィーンのトコだけで良いんです。更にビンビン・ビュンビュン映画を撮ってきたトニー・スコットならではの展開は劇場のクォリティ。音と画の迫力は「3Dなんかいらん」と言ってしまいたくなる。もちろん家で見るなんて不可(ま、正確には不十分な体験に終わってしまいます)。

 

 デンゼル・ワシントントニー・スコットコンビは5作目で、一番無駄がなくてよかったのではと思います。ホントに伏線なんかちょっぴりで、ないよりマシ程度でこの種の映画は十分。ただちゃんとコントロール・センターで仕切っているのが女性という時代記号は欠かせません。2人のヒーローもカッコ良いけど、上役に食ってかかる現場責任者のロザリオ・ドーソンは凛々しい。10年早ければアンジェラ・バセットかグレン・クローズが似合いそう。

 

現在(1/7/2011)公開中 
オススメ★★★★☆ 

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関連作

  新幹線大爆破

 

 「野性の証明」 以降の高倉健さんしか知らないので、犯人役は貴重(子供の時に見てはいたけれど、分からないよ)。千葉(真一、治郎)兄弟の共演部分は迫力がある。併走する列車どうしてやり取りするところ。千葉弟はなにせ「仮面ライダー」の“滝”だからして。千葉真一も宇津井健も額に汗滲ませて職務を遂行。「タワーリングインフェルノ」とか「サブウェイ・パニック」とくらべれば、クールではないかもしれないけれど、お父さんの必死の仕事ぶりは子供ながらに伝わってきた。もちろん「止まったら爆発するぞ」という脅迫は「スピード」に流用されている。でもラストはハリウッド映画にはない日本映画らしさが出ていて必見。
オススメ★★★☆☆

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