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トゥルー・グリット

トゥルー・グリット   トゥルー・グリット

 

 ジョン・ウェインの名作「勇気ある追跡」コーエン兄弟リメイク。事前にオリジナルを観ましたけれど、面白かったし、脇で登場する二人の名優(ロバート・デュヴァルとデニス・ホッパー)の若い頃まで拝めたお得な1本。もちろんコーエン兄弟ですから、ただのリメイクにしないだろう事は想像がつきます。ですからどうゆうアプローチでくるかと楽しみだった。リメイクする余地も残っていたし、トニー・スコット「サブウェイ123/激突」みたいに自らのテイストを出してくるのは間違いないと思いきや、けっこうオリジナルに気を使っているというか、かなり近い部分が見て取れる。連中にとってもジョン・ウェインは不可侵なんでしょうか。

 

 でもさ、ジェフ・ブリッジスが出ると言われてオリジナルを観たりすると、彼にはピッタリ。「クレイジー・ハート」に続き、呑みっぱなし、吸いっ放しの成れの果てみたいで何言ってるんだからぜんぜん聞き取れない。それにしてもジョン・ウェインのオリジナルに良く似ていて、スター性で一歩譲ってしまうから、没個性的に見えたりします。しかしそこが計算の範囲内で、このリメイクの焦点は主人公の少女マティに絞られている。オリジナルも主人公は父の敵を討つ彼女なんだけど、美味しいところはジョン・ウェインがさらってしまう。そこをマティの魅力に置き換えたのが監督の心意気ってところでしょうか。ぜひ見比べていただきたい(もちろんたいていのレンタル店にあるからぜひどうぞ)。

 

 完全に宣伝の戦略にハマって観たもので(チラシやらポスターが分かりやすい)、主人公を演じるヘイリー・スタインフェルドの魅力にやられてしまいました。賞を獲得するものうなづける実力者。女の子が魅力的な作品はここ最近の傾向(「17歳の肖像」「プレシャス」)ですけれど、ジェフ・ブリッジスマッド・デイモン、ジョシュ・ブローリンといった濃いオッサンの中に混じって輝いている。決して美人といわれるようには見えないけれど、焚き火の明かりに浮かぶ彼女の表情は絶品。厳しい自然の中にあってもクッキリと彼女が刻印される。またマッド・デイモンもジョシュ・ブローリンも完全に脇に徹していて上手い。更にオリジナルでロバート・デュヴァルとデニス・ホッパーが演じた役がソックリで、ニヤニヤしちゃった。

 

 少女の魅力を引き出すなんてコーエン兄弟作品には珍しいですけれど、それだけじゃなくて既存の西部劇がどれほどスケールを大きく、美しく自然を取り入れて描いているかが2作を見比べるとクッキリしてきます。新たに伝統のジャンル=西部劇に挑戦するのだから、“オレらなり”の一本を撮ってやろうとしたのかもしれない。ジム・ジャームッシュジョニー・デップの傑作「デッドマン」だってオマージュと“らしさ”が見事融合していた。ワイアットアープ(「トゥームストーン」は大好き)やジェシー・ジェイムスじゃなくて、傑作に“原作を再現する”という形で挑んだ野心作といっても良いかもしれません。

 

 とかくコーエン兄弟は野心とかは作品に反映されない監督ですけれど、「ノーカントリー」の延長線上とも見える荒野の描き方は、寒さがにじむ感じで悪くない。「ミラーズ・クロッシング」のように森の描き方も美しかった。合衆国の映画監督である以上、一度は伝統のジャンルに挑戦してみたいという気持ちがこの兄弟にもあったんですねぇ。西部劇は2009年の「3時10分決断の時」以来だから、貴重です。

 

 なお上映作品が減っている今ですが、子供たちが観る作品を優先させるのは当然。観ることが出来ただけでもありがたかったです。

 

現在(3/25/2011)公開中
オススメ★★★★☆

 

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 勇気ある追跡

 

 コーエン兄弟「トゥルー・グリッド」の元ネタなので、確認するためにも観てみた。めっぽう面白いアイディア勝負の1本で、やはり西部劇は馬に乗れる役者さんが不可欠だと痛感。しかし目を引いたのは冒頭の役者のクレジット。なんとデニス・ホッパーとロバート・デュヴァルが出ているじゃないですか。もう目が釘付けで、どこに出てくるか興味津々。若き日のデニス・ホッパーはカート・コバーンを思わせる風貌で、ちっちゃい役だけど印象を残す。そして更に驚くべきはロバート・デュヴァルで、悪党の親分だもんね。そしてこの頃から××だった!「ゴッドファーザー」のトム・ヘイゲンやった時も屋根(頭髪)は危うかったけれど・・・。

 

 ジョン・ウェインのファンには申し訳ないけれど、あのだらしなさはモロにジェフ・ブリッジスに移し変えられるんじゃなかろうかと思った。「史上最大の作戦」とか「グリーン・ベレー」の印象が強いので、だらしない感じのジョン・ウェインは実は初めて。またコーエン兄弟なら別のアプローチで迫れるかも。「サブウェイ123 激突」 みたいに余地が残されている。カチッとハマッた傑作は手をつけるとエライことになるけれど、お手本を軸に“やらかしてくれる”ことを期待できる。まさか正攻法ではくるまい、それなら作る意味ないからね。
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