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ピザボーイ 史上最凶のご注文

  ピザボーイ 史上最凶のご注文

 

 ジョセフ・ゴードン=レヴィット「メタルヘッド」に出たように、ジェシー・アイゼンバーグも見ているそばから“おいおい大丈夫か?”という珍品に出演。「スモーキング・ハイ」に近い“ご近所・ショボ系”とでも言ったらよろしいでしょうか。あの「ソーシャル・ネットワーク」に出演して“飛ぶ鳥を落とす”勢いになるはずの“次世代型”なのに・・・。“「ゾンビランド」の監督と再びタッグを組んで”という宣伝文句が効いてるんだか、いないんだか。日曜日なのに客席はまばらでちょっと寂しい。レンタル屋もそうだけど、安い日にしか人が来なくなっちゃうから、料金はやたら下げちゃダメなの(元に戻せなくなる)。

 

 さて、シノプシス(あらすじ)だけ決めておいて、勢いで作ってしまったような本作。主人公は宅配ピザのアルバイトで、小学校の先生している友達がいる。そんな彼らがどういうわけか銀行強盗をするハメに。身体に爆弾を巻きつけられて、情けなくも仕方なく凶行に及ぶ。「テイカーズ」のようにスタイリッシュにハデでもなく、腕に液体爆弾を仕掛けられて、決死のカーチェイスを繰り広げる「トランスポーター3」とは程遠い。迫真の「ザ・タウン」からすると街の銀行を襲うもんで、ぜーんぜん緊迫感もない。悪役がまた恐ろしくショボくて、ピザ屋に犯行を強要するのは情けないオッサン。ダニー・マクブライドは「俺たちステップ・ブラザース-義兄弟-」みたいな、いい年こいて親にたかっているダメ中年。狙っている金も親が当てた宝くじの残金で、それを元手に何をするかと言えば日焼けサロンの経営&×××。

 

 ことごとく大通り映画に許されないどころか、映画としてあるまじきスケール感のなさ。お話の緻密さは優等生映画「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」や本気モードのテレビドラマ(「CSI」とか「ボーンズ」)の足元にも及ばない。ところが昨今の大通り映画が目指している方向とは真逆の、しまりのない作品になぜか愛着を感じてしまいます。それはまず劇場で観ていることが第一で、いい加減な設定でもみんなでワイワイ言いながらの観賞が可能だからかも。「コップアウト」「トラブル・イン・ハリウッド」「カウボーイ&エイリアン」もB級、C級は自分で良いトコ探さないと時間の無駄になってしまう。大作は興業収益が第一だから、外さないで映画を組み立てているような印象がある。分かりやすいのがシリーズ、メイクで、飛びぬけたヒットは媒体の露出頻度の成果に過ぎない。そんなことは百も承知の関係者や役者はテレビドラマにシフト。ジェリー・ブラッカイマーリドリー・スコットもテレビシリーズを手掛けている。

 

 じゃあショボいから見所はないかといえば、けっこう楽しみました。ダニー・マクブライドは昨今ちょいちょい顔を見せるようになった人で(「マイレージ、マイライフ」)、実に曖昧な悪役を真顔で演じている(「YOUR HIGHNESS」は公開されるんだろうか?)。彼を小心者に見せるための父親=少佐がフレッド・ウォード(「アーマード 武装地帯」)で、出なくても別に構わないんじゃ?という殺し屋にマイケル・ペーニャ(「世界侵略:ロサンゼルス決戦」)などが本気で挑んでいるところが笑える。もちろんジェシー「ソリタリーマン」と比べれば格段に大人っぽくなった。なにせ「ソーシャル・ネットワーク」主演のクセに“フェイス・ブックは退会した”などと言ったりして。相棒役のアジズ・アンサリは今後映画で売れていくのかは未知数だけど。

 

 更に引用ではなく、監督の好きな映画を延々と羅列しているようなセリフにいちいちうなずいたりして。「リーサルウェポン」「ダイハード」は分かりやすいけれど、「ハートブルー」は最近貸し出されないから若い人にはぜひオススメしたい。爆弾外すんだから「ハートロッカー」も出てくるか。ただなんと言っても楽しかったのが「ビバリーヒルズ・コップ」のパロディ。“the heat is on”をガンガン鳴らしながらのカーチェイス。アレだけのために主人公の設定があるかのよう。オマケに乗ってる車はフェアレディZ!(と思いきや、ダットサンなんだってしくしく)。ヒットしたけど「ゾンビランド」だってかなり無理やりの映画。だってゾンビの国になって電力供給があるワケないじゃん。ま、「デート&ナイト」が未公開で、本作が劇場でお披露目されるのは主演のネーム・バリューなのかは正直分かりませんけれど、ラストは意外にちゃんと見せてた。もし2本立ての1本だったら文句なし。

 

現在(12/4/2011)公開中
オススメ★★★☆☆

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  俺たちステップ・ブラザーズ -義兄弟-

 

 製作にもタッチしている2人の主演(ウィル・フェレル、ジョン・C・ライリー)がヤケクソ気味にダメ中年を熱演で笑える。もっとも20代が見たら「キモい」の一言で片付けてしまうかもしれない。連中の親の役をリチャード・ジェンキンスとメアリー・スティーンバージェンが“いつもの範囲”を超えてハミ出しているのが楽しい。主演作「扉をたたく人」でさえ、無色透明に演じてしまうリチャード、アホ全開の2人に呼応して激しい、激しい。

 

 そりゃあいつまで経っても親離れしない中年のバカ息子が鼻先にいたら、たまんないよね。「バック・トゥザ・フューチャーPART3」から時が止まっているメアリーは「あなたは私の婿になる」の路線かと思えばハメ外しています。ラストのウィル・フェレルが披露する歌声が意外にちゃんとしていることに驚く。また彼の弟夫婦がやりたい放題。それだけでなく、後の「グリーン・ホーネット」=セス・ローゲンまで出ている豪華共演。ジョン・C・ライリーは“脇で輝く人”(「今宵フィッツジェラルド劇場で」「マグノリア」)だと思っていたけれど、バリバリのメインだね。
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