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テンペスト

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 学生時代はシェイクスピアの授業を履修していたので、“ハムレットの冒頭部分を暗記する”などと言う課題があった。この面倒臭い課題を除けばまずまずの授業だったので、シェイクスピアに関しては初歩的なことは多少知っていました。もっとも無理強いされると逆らう性質なので、戯曲を読んだりはしませんでしたけれど・・・。ところが不真面目な学生も、何度かシェイクスピア映画を観るうちに楽しむようになった。

 

 ケネス・ブラナーの超大作「ハムレット」、「世にも憂鬱なハムレット」(ごめんなさいDVDレンタルありません)、「から騒ぎ」メル・ギブソン・バージョンの「ハムレット」などで徐々に、英文学の歴史に燦然と輝く劇作家に触れるようになった。オマケとして劇作家本人に迫る「恋に落ちたシェイクスピア」や作品の演技メソッドに迫る「アル・パチーノ リチャードを探して」、有名なセリフからタイトルをいただいちゃった「生きるべきか 死ぬべきか」 などもサイコー。

 

 英語圏の人々にとっては基礎的な教養でもあるシェイクスピア、ところが貧相な教養しか持ち合わせが無いので、戯曲テンペストは見たことも聞いたこともない。でもこの作品には賞賛されている戯曲を知ろうが知るまいが、行かなくちゃなんない事情がありました。監督がなにせ「アクロス・ザ・ユニバース」のジュリー・テイモアだからして。

 

 加えて旨味がありそうなのが主演のヘレン・ミレン。「RED/レッド」のスッゴイおばさんも、女王陛下 も演じる彼女ですけれど、やはり英国の演技派、彼女抜きにはあり得ない。監督は一度「タイタス」で、大胆な改変を施してシェイクスピアを映画化をしていますが、今回はむしろ控えめな描き方。「タイタス」 がセットや建築物を多用したのに対して、自然の中で演じさせている。

 

 実はこの方法はシェイクスピアへのアプローチとしては正しい。授業で習ったところによると、当時は舞台装置などないし、セリフが全て。ゆえに役者は延々と舞台の説明込みで話していかなければならない。よって長くなるのが常ですけれど、観客を飽きさせちゃマズいから、セリフに“仕掛け”がある。ラップがやってる“韻を踏む”ってやつで、聞いてる方も言ってる方も“入っちゃえる”のがシェイクスピア最大の魅力。彼が文学史に燦然と輝くのもこの部分。確か授業で習ったのはこんな感じ(間違ってないと思う)。更に発音が肝心で、英国人ならではの独特な言い回し「アル・パチーノ リチャードを探して」でも触れられていた(正式名称忘れちゃった)、は米国人にもちょっとやそっとでは真似できないのだそう。ですから日本語訳をしても長くてうっとうしいだけ(野田秀樹のエッセイ「ミーハー―この立場なき人々」に思いっきり書いてあった)。もし翻案するなら黒澤明の「蜘蛛巣城」とか「乱」が正解(コレも授業で聞いた)。

 

 内容に関してはシェイクスピア・ライトユーザーなので敷居が高かった。復讐劇で、骨肉の争いで、“そりゃあないだろ”という三大悲劇と呼ばれる作品とは異なるエンディング。シェイクスピアのファンで、英語圏の人ならかなり楽しめるのかも。少なくとも貫禄の芝居で“入っちゃってる”ヘレン・ミレンは魅せてくれました。脇役もかなりワシ好みで、クリス・クーパーとデヴィッド・ストラザーン(「グッドナイト&グッドラック」)ですから。ただコレだけ英会話教室が溢れているんだから、英語を最も楽しめるはずの演劇の映画バージョン、教養の一つとしてためしにご覧になっては(ま、あんまりいないか)。

 

現在(6/17/2011)公開中 
オススメ★★★☆☆

 

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    タイタス

 

 かなりハードなシェイクスピア悲劇。「リア王」とかに比べると残酷さがバージョン・アップしていて凄いです。舞台をローマにしているだけに、陰謀だけでなく、民族独特の凄みも効果的に利用したのかもしれない。監督はセリフだけいただいちゃって、作品世界を大胆に改変。MTV感覚やら、衣装やら目を楽しませる要素を持ち込んでいる。もちろん英国演技派のアンソニー・ホプキンスが柱になってて、やはり“この人さえ出てくれればシェイクスピアになる”ことを証明、主人公タイタスを難なく熱演。英国の俳優にとっては基礎中の基礎ですからね。

 

 柱がシェイクスピアの世界を堅持しているので、脇に合衆国の人を持ってきてもOK、ジェシカ・ラングもやりたい放題で、息子を殺された女王をかなりヤバ目の芝居で、さぞや嬉しかったことでしょう。で、物語がクライマックスに近づくと、それまで英国演技派の顔になりきっていたアンソニー・ホプキンスが変身、“あの博士”をほうふつとさせるシーンは見応えあり。その辺はご覧になってご確認を。シェイクスピア劇に出てもアレ を期待されちゃうのは気の毒だけど、目が釘付け。

オススメ★★★✩☆

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