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ミッション:8ミニッツ

  ミッション:8ミニッツ

 

 × の部分クリックすると作品出ますけれど、ご観賞後にされた方が無難です。

 

 “映画通ほど騙される”とはなかなかの謳い文句で、通じゃないから、目まぐるしく楽しませていただきました。前日に遅ればせながら「月に囚われた男」を見て、もしやこの人は相当な才能なんじゃないか?と期待していたら、バッチリでした。もちろんこれは個人的な感想なので、一般的じゃないかもしれませんが“お気に入り”登録するのはジェイソン・ライトマン「マイレージ、マイライフ」)以来のダンカン・ジョーンズ。

 

 核心に触れないのは宣伝コピーとしては当然で、関連作探しに血眼だけに、いやはや「アレじゃないか?、コレじゃないか?」と気は休まらない、頭まわりっぱなし。「インセプション」が実に思った通りで、ヴィジュアルを楽しんでいたのがよくわかる。基本構造は「恋はデジャブ」、仕掛けとして「×××××××××」をまぶしつつ、「××××××・×××」に近い。「恋はデジャブ」以外はちょっとその辺のレンタル屋さんにないから、積極的にオススメするのはためらわれますが、ワシが見てきた作品で想起されるのはこんな感じ。

 

 もちろん「クライシス・オブ・アメリカ」も思わせるし、予告編ではデンゼル・ワシントン「デジャヴ」 を想定していましたが、ことごとくスカしてくれて爽快。映画通も評論家も“語る余地”あるから大喜びでしょう(もちろんワシも)。しかし監督の技量は前作同様、様々な要素を自分なりに消化していて品がある。

 

 前作と共通している監督のテイストは、“孤独”とか“密室”なんだけど、「CUBEキューブ」を模したようなインディ系っぽさ=貧乏臭さがない。そうかと言って高尚でもなく、狙いがミエミエのところがない。物語が展開されるのが列車の車内で、日常的な描写も楽しめる。「アンストッパブル」「ツーリスト」ほど“予算がタップリ”とは見えないけれど、申し分のない描き方。JRの快速アクティーみたいに2階建てなんだけど、広々していた。

 

 もちろん現代に生きている我々が納得できる範囲で、技術も時代記号も取り入れている。技術はこれこそ核心に触れてしまうので、割愛せざろう得ませんが、「攻殻機動隊ghost in the shell」「マトリックス」を経ている人々が得心のいくもので、「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」ともども××が主人公とは限らない、ぜひご覧になってご確認ください、この目の付け所はさすがです。時代記号はどうしても合衆国が避けて通れない“爆弾テロ”ながら、「4デイズ」 と同じ視点を持っている監督の時代感覚は信用できる。犯人は・・・とは限らない(伏字ばっかりになっちゃうな)。

 

 「プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂」以来のジェイク・ギレンホールは案の定、メジャーとインディ系を行き来しながらキャリアを築きつつある。今回は監督の信頼も篤かったのでしょう、彼にお任せのシーンは多々あって、映画を保ってる。それはヒロインのミシェル・モナハンにも言えて、最近はチラリ出演(「SOMEWHERE」「デュー・デート」)が多かったけど、「イーグルアイ」を超える代表作を獲得。彼女の着メロが「月に囚われた男」のめざまし曲、チェズニー・ホークスの“The One And Only”なんだけど、次回作でまた鳴ったら面白いかもしれない。

 

 ジェフリー・ライトはやはり彼にしか出来ない役回り(「ブッシュ」)。大好きな吉田秋生のマンガ「イヴの眠りにも似たラストを効果的に盛り上げるのがヴェラ・ファーミガで、「マイレージ、マイライフ」のジェイソン・ライトマンともども“女優の趣味”でもこの監督は好きになった。そういえば「約束の葡萄畑 あるワイン醸造家の物語」 はいつになったらリリースされるんだろう?

 

 メイン・キャストは4人ながら無駄がなく、サスペンスフルにして、現代のハードSFとして通用するものにしている。大好きな×××・×××ッ××の要素と神経ネットワークを、ココまで鮮やかに取り入れた作品にはお目にかかっていない。それだけでも文句なしなのに“家族の絆”まで自然に取り込んでしまう贅沢さがある。今年の洋画ナンバー・ワンと心に決めている「わたしを離さないで」と迷ってしまいます。もちろん ×5は当然。

 

 現在(10/28/2011)公開中
オススメ★★★★★  

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関連作

   月に囚(とら)われた男

 

 映画の世界に“親の七光り”は通用しないが、“育ち”はかなり色濃く反映される。ソフィア・コッポラ(「SOMEWHERE」)が分かりやすくて、独特の環境は他と違った世界を生みやすい。もっともこの監督ダンカン・ジョーンズがどういった影響を、デヴィッド・ボウイから受けたかまでは判然としませんが、素晴らしい処女作。見逃していたことを、ものすごく後悔させる絶品の正統派SFです。

 

 近未来ものとかエイリアンものは結構見ていたけれど、ハードSFと呼ばれるものは最近ご無沙汰。公開当時の宣伝は監督の実力より出自に焦点が当たっていたので“二世だろ”とばかりに見過ごした。昨今のSFの流れではないし、地味(「プラネテス」)だと受け取られてしまう関係上、売り文句も大変なのでしょう。

 

 “月に一人しか人がいない”などという設定からして、ジワジワくる恐怖を感じさせる演出になるかと思いきや(「アイ・アム・レジェンド」)、冒頭からB級がついやっちゃう“息苦しさ”がない。むしろ淡々と地球のために“エネルギーの素”を採掘しているごく健全な印象。「ウォーリー WALL E」みたいな仕事をせっせとこなしている従業員がサム・ロックウェル(「コンフェッション」)、相棒はロボットで声を担当しているのがケヴィン・スペイシー。この2人はお任せできる実力者。

 

 パクりではなく、本当の意味でのハードSFへのオマージュが散りばめられている。孤独な主人公の話し相手はあの名作「2001年宇宙の旅」のHAL9000を思わせ、植物に水をやっているのは「サイレント・ランニング」、「惑星ソラリス」も匂わせて、物語が進行すると、“個と個を分けるのは記憶である”=「ブレードランナー」 の要素も入ってくる。ラストは感動すらしてしまう絶品。そしてなんと言っても監督の品性を感じさせるテイストには感銘する。
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