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さすらいの女神(ディーバ)たち

 さすらいの女神(ディーバ)たち

 

 お気に入りの俳優で、作品に“お墨付きを与える”と勝手に思っているマチュー・アマルリック。当てになるのはアルノー・デプレジャンの作品(「クリスマス・ストーリー」「キング&クイーン」)に出る時だけでなく、「アデル/ファラオと復活の秘薬」だったり、「007慰めの報酬」だったり。「潜水服は蝶の夢を見る」は泣かされたし、「ジャック・メスリーヌ2」でも実力発揮。キャリアは出演だけでなくスタッフもこなしている人で、フランスでは彼の監督作は上映されているのだそう。外国産の輸入が激減しているので、我が国では初お披露目の彼の監督作、実に興味津々。

 

 俳優が監督するケースは見過ごされがちだが、実は演出のプロなのだそうです。「映画狂人、神出鬼没」の受け売りですけれど、ウディ・アレン、ジョン・カサヴェテス、クリント・イーストウッドの方がルーカス、スピルバーグより優れているとのこと。ま、有名どころではないにしても、昨今良いなぁと思った「扉をたたく人」のトーマス・マッカーシー、「再会の街で」のマイク・バインダーはぜひ監督業に専念してもらいたいし、出てきても面白いけれど「アイアンマン」のジョン・ファブローは売れっ子(「カウボーイ&エイリアン」)。「ザ・タウン」ベン・アフレック「グッドナイト&グッドラック」を撮ったジョージ・クルーニーなどは、今後合衆国映画を背負っていくのかもしれない。後はブラッドマットくらいか?俳優一筋のジョニー・デップ(「ブレイブ」)にだってあるし、ロバート・デ・ニーロ(「ブロンクス物語」「グッド・シェパード」)にもある。やめやめ、無駄に長くなる。

 

 俳優さんが監督する場合、間近で仲間の仕事ぶりを見ているわけだから、個性を引き出しやすい。ジョージ・クルーニーの作品なんかはギャラの面でも大助かり(たぶん)。ただしコレは合衆国の場合で、フランスの国際派にして曲者俳優の場合はどうか?なんとダンサーのプロを連れてきて、その舞台裏の生々しさを映画にしているみたい。大人の遊びを知らないので、“バーレスク”がいったい何なのかサッパリ分からず(クリスティーナ・アギレラのアレ未だ見てないんだよな)、最初は“デブ専”のストリップに見えた。欧州の人間はボクシングでさえ食事をしながら見ている(「ボクサー」)。あの手の世界(「リトル・ヴォイス」)はまるで縁のない日本人にはサッパリ・・・かと思いきや、“舞台の袖”、“舞台の裏”がメインで描かれるトコに魅力を感じた。

 

 賑やかさを提供している人は“静けさ”を好む。レンタル屋は一日中、有線などで音楽をかけ続けていて、好きとはいえさすがに一日中はしんどい。閉店してから音がフッと途切れた時のあの静寂は何ものにも代えがたい。主人公ジョアキムがホテルのロビーとかで「テレビ消してくれないか?」という気持ちは分かる(もちろん消したい過去という意味のほうが大きいけれど)。

 

 踊り子さんたちを何とか売り込もうとしているジョアキムは、見た目通りのいかがわしい経歴の持ち主。テレビ・プロデューサー“くずれ”だから、「トラブル・イン・ハリウッド」と似たような感じで中途半端な仕事中毒。顔はぜんぜん似てないんだけど、髭のせいかマチュー・アマルリックがハーヴェイ・カイテル(「Be Cool/ビー・クール」)と重なる。この手の役だったらきっとハーヴェイはやってくれるでしょう。「クリスマス・ストーリー」とか「キング&クイーン」のイメージがあるから、デタラメさを見せるにはもってこいの役者なんだけど、憎めないというより、未だ中年になりきってないような印象がマチューにはある。しかしコレが肝心で、踊り子さんの方が“大人なのよ”の部分に説得力を持たせることが出来る。

 

 「ザ・コミットメンツ」のように本物を出すことにこだわった監督の仕掛けは、ショーの時にちゃんと開花します。確かに太めだが、引き締まっている肉体は官能的で“大人の遊び”ってこうなのねぇと妙に感心しちゃた。移動が生活の中心である芸人さんたちは、ホテル住まいだから「SOMEWHERE」のようにどこかに空疎な“定位置を持たない”者特有の悲しさを漂わせる。舞台裏を描くとすったもんだは当然で(「オーケストラ!」)、コメディの味つけにもなっていてこの辺は完全に好み。バレリーナの心理的葛藤(「ブラックスワン」)になると、気楽にはいきませんけれど、けっこう楽しかったなぁ。あの国際的な演技派曲者俳優の世界観がこういう感じなんだってのも収穫でした。

 

現在(9/27/2011)公開中
オススメ★★★☆☆

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 ブロンクス物語

 

 「なかなかの佳作だよ」と言われて、観ないで何年経ったのか。ロバート・デ・ニーロは好きだったのに、見過ごしていた。ブロンクスが舞台だから監督の体験も盛り込まれているだろうけれど、脚本担当のチャズ・パルミンテリがこの作品のキモ。彼の舞台が原作で、マフィアのカリスマ親分に扮している。「狼たちの街」などしか印象にないけれど、「ゴーストドッグ」に通じる地元ヤクザの感じが出ていて良い。物語の主人公は大人ではなく、60年代のブロンクスに育った少年。彼の憧れはマフィアかベースボールプレイヤーで、「グッドフェローズ」にも近いけれど、もっと現実味のある描写が丁寧で、監督の独自路線を出している。基本的に“父と子の物語”で、少年カロジェロには2人の父親がいることになる。外がマフィアのソニーで、家がロバート・デ・ニーロ扮するバス運転手。

 

 日本人には分からない下町の事情が物語を動かす。同じイタリア系が暮らす地域だけに、仲間意識は切実で少年はソニーを助ける。堅実なバス運転手も息子つながりで、ヤバイ世界に踏み込む誘いがある。断固堅気に踏み止まり、息子にも徹底させようとするけれど、近所だけにままならず息子はヤクザの世界へ。しかし仁義の男ソニーは命拾いさせてくれた少年を可愛がり、あわやというところで救い出す。ラストは“ソニーを助けた件”で関係のある男としてジョー・ペシが出てくるけれど、ビビーンときました。ぜひご覧になってご確認を。

 

 「シンパシー・フォー・デリシャス」で脚本家と監督の真剣な芝居は良いなぁと思っていたけれど、ここでもデ・ニーロとチャズは白熱している。時代の変遷(イタリア系がアフリカ系に押されつつある)も取り入れられていて、申し分のない作品ながら、ただ一点だけ難があるとすればロバート・デ・ニーロ。自然なブロンクスが完璧だけに彼は目立ち過ぎ、だってあなた「ゴッドファーザーPARTU」のヴィトーですからね。でも見ないで損した本物の佳作。
オススメ★★★★☆

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