関連テーマ

サイドボックス

ここにテキスト


出し

ラブ&ドラッグ

  ラブ&ドラッグ

 

  「ラストサムライ」で日本人でもないクセにサムライ映画を撮って、「ブラッド・ダイヤモンド」でアフリカの現実を我々に見せ、ナチに対抗したレジスタンスを「ディファイアンス」で描いた監督エドワード・ズウィック。前作は小ぶりだったけれど、まさかラブ・コメに挑戦するとは意外や意外。まさかこんなに笑えて泣ける絶品に仕上げるとは、思いもよりませんでした。実に素晴らしい出来栄え。

 

 もう冒頭からまるでキャメロン・クロウの「シングルス」かと思える軽くて笑えるノリでお話はスタート。口は上手くて育ちは良いジェイク・ギレンホール=ジェイミーはお坊ちゃんだけど、きちんとしている若者で、家電量販店辞めて製薬会社の営業マンに。21世紀“ヤク絡み”は最も儲かるお仕事「リミットレス」「カンパニー・メン」「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」

 

 さぞや「ブラッド・ダイヤモンド」の監督だけにマイケル・ムーア(「シッコ」)と違ったアプローチで、“製薬会社の暗部”をえぐるのか?と構えていたら全然そんな気配がない。むしろクリニックに食い込む必死の営業活動で、バッチリ“ファイザー製薬”を宣伝しているみたい。「コンテイジョン」もそうでしたけれど、“〜が悪い”という描き方を控えた方が効果的。

 

 「サンキュー・スモーキング」みたいに、その会社の活動をそのまんま追っていけば、笑えるところは多々ある。あのアホ丸出しの研修風景は今でこそ通用しないけれど、バブル期の日本ではよくあった(バカバカしいの一言に尽きる)。更にライバルを蹴落とすための接待は重要で(「そろばんずく」)、事務の職員を“たらしこんじゃう”のはお気楽コメディの様子。以前運送会社で肉体労働していた時、医療事務やってたと言う人が上役で、いろいろ聞かされました。

 

 料理屋さんに裏話を聞くのと似たようなもので、“知らぬが仏”でいたかっけど、かなり生々しいエピソードがあった(お医者さんは厚生省のお役人にデレデレとか)。それに比べれば本作は全然ニュートラルな視点。それにしても「ミッション:8ミニッツ」の表情を一度も見せないジェイクは凄い。感じの良い営業スマイルはホントに通用しそうだもん。

 

 前半から本来ラブコメに不可欠なヒロインがなかなか出てこない。これは勿体つけているんじゃなくて、やはり“一捻り”したかったんでしょう。アン・ハサウェイが出てきた瞬間に目が釘付け、スクリーンに映える本物です。美女は彼女の前にもいっぱい出てくるんだけど、一瞬で目を奪われる。彼女は育ちの良いお坊ちゃんが、一発で参ってしまう魅力を備えた女の子で(「(500)日のサマー」)、説得力あったなぁ、「プリティ・プリンセス」のあの娘がいつの間に・・・。

 

 クールで当らず触らずに生きてきたエリートが、結局深みにハマってしまうという良くあるパターンながら無理がない。ところが実は彼女は病を患っていて・・・。彼女との間に進行する恋模様は、大胆かつ今風です。ベッド・シーンなどはもう21世紀ですよ、アレくらいでちょうど良い。むしろ20代を思い出したなぁ、サカリのついた犬や猫みたいに、至る所でナニが繰り広げられた「抱きたいカンケイ」も“そうそうあんな感じ”と感心してしまいましたが、「ラストサムライ」の監督は出来るんですねぇ。

 

 ココまではこの作品のラブコメの側面、でも本当に素晴らしいのは感動作としての部分で、ぜひご覧になってご確認ください。アン・ハサウェイ扮するマギーが患っている病気、薬をカナダに買いに行く現実や医者の本音、そして本当の愛とは?まで文句なし(オリバー・プラットも好きだし)。この内容で“都内一箇所の上映”とは信じられない。ウィル・フェレルやアダム・サンドラーに負けない下品なギャグ満載でゲラゲラ笑っていたのに、次の瞬間にはポロポロと泣いているなんて。

 

 デートムービーにして感動作、若い人たちには特にオススメ。目が大きい2人の主演、ジェイク・ギレンホールアン・ハサウェイはあんまり注目していなかったけれど今後も楽しみ。ジェイクは「ミッション:8ミニッツ」も良かったし、日本での認知度が上がると良いなぁ。アンはこの作品の後「パッセンジャーズ」を見たけど、段階を踏んで成長していたわけだ。彼女の後にはアナ・ケンドリック(「50/50 フィフティ・フィフティ」)とかエマ・ストーン(「ラブ・アゲイン」)が続いてるんだけど、一歩リード。もう次のバットマンにキマッてるんだっけ?

 

現在(11/21/2011)公開中
オススメ★★★★★ 

 Amazon.com

DMM.com

 

前のページ  次のページ

 

top

 

関連作

    パッセンジャーズ

 

 女優アン・ハサウェイ の成長過程を知ろうと、見てみたら実に良くできた発見の1本。なんで貸し出しが良好だったのかを後で気がつくとは・・・、レンタル屋としては勉強不足でした。“パッセンジャーズ”つまりはタイトルが全てを語っていて、ラストまでご覧になると納得されるはず。「××ー××」「×××××」のようで、やはり「××××××・×××」っぽかったりして×印のクリックはぜひ観賞後に。つまりは「×××××:×××××」に近く、「ラブ&ドラッグ」 の共演者と似たようなネタに、成長著しいどんぐり眼の女優は挑んでいたわけです。ただし可愛さを前面に出すラブコメではなく、サスペンスタッチなのでキュートさを完全に封じて、カウンセラー役が凛々しい。

 

 飛行機事故で生き残った人々をケアする医師なのだけれど実は・・・。謎を追っていくうちに真実にたどり着く、王道の展開ながらラストは予想できなかった。ぜひご覧になってご確認を。予想できなかったのは、通常の合衆国作品とはちょっと違ったからかもしれません。それは監督が南米出身のロドリゴ・ガルシアで、テイストは新鮮。スキのないドイツ勢(「ツーリスト」「RED/レッド」)とはまた違う“大人の雰囲気”があります(「瞳の奥の秘密」)。「特攻野郎Aチーム THE MOVIE」ではなく、「恋とニュースのつくり方」のラインの芝居を披露のパトリック・ウィルソンや、デヴィッド・モース(「アトランティスのこころ」)、ダイアン・ウィースト(「リトルマン・テイト」 の彼女が好きだ)など映画好きとしては美味しい脇固め。 
オススメ★★★★☆

Amazon.com

DMM.com

ホームページ テンプレート フリー

Design by

inserted by FC2 system