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 衝撃的だったスウェーデン発の吸血鬼映画「ぼくのエリ 200歳の少女」。文句なしの内容だから合衆国でリメイクするのは納得(「ドラゴン・タトゥーの女」も控えているしね)。この傾向はシリーズもの、“実話を基にしたもの”が多産される中で3番手くらいになるでしょうか?「ツーリスト」が一番分かりやすいし、コーエン兄弟(「トゥルー・グリット」)もトニー・スコット(「サブウェイ 123激突」)も挑戦している。クセのある巨匠は独自のテイストを盛り込んで、自分の映画に仕上げるけれど、そうでないノーマルな監督は完全移植させて、合衆国の観客にオリジナルをアピールしているみたい。旧作が自在に拝める時代ですから、“並行観賞”といった楽しみ方も成立します。「バニラ・スカイ」とか「幸せのレシピ」とか映画通には“オリジナルの方が”と突っ込まれてしまうかもしれないけれど、未完成の脚本を見せて“金出す人々”を説得するより、オリジナル見せたほうが早い。何よりお客さんを楽しませる確率は高いし、“全く新しいもの”と思い込んでいても、えてして古かったりします。

 

 さて新しすぎたのか、サービス精神が足りなかったのか、人によってはもの凄く評判の悪い「クローバーフィールド」。けっこう好きだったけど、監督マット・リーヴスの技量はいまひとつ分からなかった。しかしこの作品で彼の才能は確認できます。恐ろしくオリジナルに似ていて、合衆国であんな雰囲気出せるとは予想を超えていた。ジャングル・ジムとか団地とか完全に再現されているように見える。オリジナル見てから時間経っているので、細かいところは思い出せないけれど食い入るようになった。ただし完全移植といっても監督らしさは散りばめられていて、83年に時代が設定されていますから、デヴィッド・ボウイとかカルチャー・クラブとかオッサンがニンマリする曲がかかったりする。“オレのテイスト”が出過ぎると作品世界を台無しにしてしまいますけれど、抑制を効かせていて“雰囲気を大切にする”戦略は吉と出ています。

 

 もちろん作品の雰囲気を担うのは2人の主演で、ビックリした。子供とはいえ役者根性入ってます。「キック・アス」のヒット・ガールを演じ、一発で20代の女優さんたちを抜いてアクション俳優の地位を手に入れたクロエ・グレース・モレッツちゃん、悲しい運命を背負った吸血鬼に見事化けました。「キック・アス」の貸し出しは順調で、彼女の認知度は上がっている。なんと年端もいかぬ少女が、お客さん呼び込む宣伝文句に使えるんだもんねぇ。実際「(500)日のサマー」でも、ちゃんと芝居できることは証明していたし。もちろん彼女だけでなく主人公を演じる少年がしっかりしていないと成立しない。「ザ・ロード」のコディ・スミット=マクフィー君、恐れ入りました。前作ヴィゴ・モーテンセンと2人で映画を成立させた実力は伊達じゃない。もう典型的な“内気な男の子”にして“いじめられっこ”。ただ完全移植だったので、いじめっ子が最後どうなるか知っているので、気の毒になったんだけど・・・。ホラーだけに「ベストキッド」 のようにはいかない。

 

 さて2人の子役だけでも収穫ですが、決定的にこの作品を好きになったのは脇で出てくる2人のオッサン。もっとも子役からすればジイさんになっちゃうんだけど。リチャード・ジェンキンスとイライアス・コティーズ。出てくればなぜかその作品が好きになるリチャード・ジェンキンス、死ぬんじゃないか?と思える派手なシーンやってしました。また「恋しくて」のスキンヘッドの不良も、変態映画「クラッシュ」も好きだったイライアス・コティーズも枯れた役がハマるようになったんですねぇ。この二人は役柄が似ているので、まず共演なんか望めないけれど見事に収まった。映画好きが監督に拍手したくなるニクイ小技です。

 

 店のお客さんで「ぼくのエリ 200歳の少女」のDVDを海外から直に取り寄せようという人がいて、何でかなぁと思っていたらパンフレットを読んで納得(ぜひ買って読んでみて)。“ぼかし”に関してのことなんですけれど、「愛のめぐりあい」の論争などより深刻な問題をはらんでいる。実はこの作品は完全移植なんだけど巧妙に××した部分を削っていた。を読めばもっと分かりやすくなるかも(宣伝してんなぁ)。イヴェント映画がシネコンのスクリーンの大半を占めているこの時期ですが、涼しくなれるこの種の映画は、もっとあってもよいのでは?スリラーとはいえ“倒錯した”雰囲気があると、寒さが増す効果あることを確認した1本でした。以前「キスト」っていう倒錯恋愛映画を観た時も味わった、えもいわれぬ感触に似ているような。ごめんなさい残念ながらDVDレンタルありません。

 

現在(8/8/2011)公開中
オススメ★★★★☆ 

 

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  キスト

 

 単純に主演女優が好みだったから観に行ったけれど、中身は背筋も凍る究極の純愛映画。「1999年の夏休み」も観たことを大っぴらにしたくないけれど、これもご同様。まさかシネスイッチ銀座で、この手のネタ(ネクロフィリア=屍体愛好)をやるとは思わなかった。劇場を後にした時、冷房で冷えた身体がしばらく温まらなかったりして。もちろん描き方がキレイなので、ホラーではありません。むしろ淡々と自らの性癖を受け入れ、日々を過ごしている主人公はマトモに見える。ところが彼女を好きになってしまった男が取る究極の手段はなんと・・・。ビックリしたなぁ、倒錯って意味を少しだけ分かった気になった。主演女優のモリー・パーカーはその後も活躍していて、「ひかりのまち」とか「アドルフの画集」などに出ていて、「ザ・ロード」 でコディ・スミット=マクフィー君と共演。寒々とした気分になりたい方にはオススメです。
オススメ★★★☆☆

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