関連テーマ

 

 


    

 

サイドボックス

ここにテキスト


出し

奇跡

    奇跡

 

 好きな映画監督の場合、1作、2作ダメでも次があるさと思って見に行くことがあります。リュック・ベッソン森田芳光もズッコケちゃったのがあっても(タイトルは内緒)、「アデル」「武士の家計簿」も待っててヨカッタの1本。ま、コーエン兄弟とかデヴィッド・フィンチャーとかスティーヴン・ソダーバーグは“腐れ縁”に属する監督さん。ところが北野武荻上直子押井守是枝裕和 は脳内に“最優先事項”として登録されているので、新作が公開されると身体が勝手に劇場に行くことになります。この人たちに関しては“良し悪し”はあまり関係がない。共通しているのは劇場で一回観るだけで“お腹一杯にしてくれる(脳裏に焼きつく)”、レンタル屋としては問題ですが、DVDで何度も見直すことがない(押井守だけは別だけど)。

 

 さてお気に入りの映画作家是枝裕和の最新作、素晴らしかった。彼は「誰も知らない」で子供たちを描きましたけれど、あれは観賞後に“鉛を呑んだよう”な気分にさせてくれましたが、今回はまったく逆の感動をくれた。「歩いても 歩いても」でも彼が描く子供たちは、ホントに活き活きしてて、意志のある瞳をしている。長時間TVを見たり、高性能CPUを搭載したネット端末ディバイス=ゲームをやっているうちになる“白痴顔”が1人もいない。主演の2人は漫才師だそうですけれど掛け合いは得意技。ほとんど素で芝居しているように見えるけれど、「めがね」 と同じく、脇に回った大人の役者が背景に徹し、映画として成立させている。全員演技派で主演作もある人々なんだけど、入魂の芝居でごく普通に見えるように化けた。自然に見えるように描くのは練りに練った戦術なのか?流れを察知した方向づけか?監督の技量は計り知れない。

 

 “両親の離婚によって鹿児島と福岡に引き裂かれた兄弟”の物語ですから、涙を誘うベタなものになるはずが、もっと全然別の部分で涙が止まらなかった。「それでも生きる子供たちへ」の一編で、空き缶を集めて回る兄妹に負けていない。子供たちの自然な所作、会話に笑い、彼らの小さな冒険にワクワクしながらポロポロと涙が出てくる。優れているのは子供たちだけを描くことではなく、観ている大人が懐かしささえ感じるような日常の描写。注意深く見ると丁寧に省いていいものを省いている。携帯電話も九州新幹線開通も時代記号だけど、街の陰惨な景色を構成する“液晶画面に見入る人々”が出ていない。ですからファンタジーにすら見えた。それはもちろんタイトルにもなっている“奇跡”が起こるから。観た後で奇跡なんか起こらなかったという人あり、いっぱいあったという人あり、たぶんそれぞれでしょう。わたしくめの場合は子供たちを泊めてあげた老夫婦の部分。「幻の光」を思い出させる髪を梳かすシーンがヨカッタ。“思い出し笑い”ならぬ“思い出し泣き”しそうで帰りの電車で困った。

 

 シネコンのちっちゃい方の劇場だったけど、8割がた入っていてビックリ。平日の昼間にアレだけ人が入っているのを見たのは初めてで、いつもは一列丸々独占していることが多いから、靴脱いでひっくり返って観ている。ところが両隣の人はハンカチ出して号泣だった。「赤ずきん」の場合はデートムービーだから大丈夫か?と思ったけど、これは日本人の多くの年代に響く優れた1本。この作品にコレだけ人が集まっているんだから、日本もまだまだ捨てたもんじゃないなと妙なところで感心したりして。是枝裕和の作品は「ワンダフルライフ」以来渋谷のシネマライズで観ることが多かったけど(「大丈夫であるように-Cocco 終わらない旅」 )、ジワジワきてヒットすると良いなぁ。店の貸し出し状況を見ていると、この人のファンは確実に存在している。よって製作ペースが衰える心配はないけれど、広範囲の人々に向けた作品も“らしさ”を貫いて作れることを証明。“〜映画祭〜賞獲得”という宣伝文句がなくても、それぞれの人に響く内容なら大丈夫なはず。

 

 なお新幹線をモチーフにしなくちゃなんないから出てくるけれど、サラッとしていてよかった。むしろ嬉しくなっちゃうのはローカル線の方で、新海誠どころか「珈琲時光」に負けないショットに大満足。日本版「スタンド・バイ・ミー」ならぬ、広範囲の年齢層に響く感動作。今のところ「わたしを離さないで」が洋画ナンバー・ワン候補最有力で、これは邦画版、やはり分かりやすい感動作には弱いのです。

 

現在(6/13/2011)公開中 
オススメ★★★★★ 

 

Amazon.com

DMM.com

 

前のページ   次のページ

 

top

関連作

  スタンド・バイ・ミー

 

 もちろん問答無用の“少年時代のあの夏の日”を描いた傑作。公開から20年以上経過するも、定期的に貸し出されている。タイトルにもなっているテーマ曲が流れればこの作品のシーンが脳裏に浮かぶ。ただこの映画に触れるまでは、スティーヴン・キングと言えばホラーの人、というのが固定観念だった。学生時代、「キングの描く風景が良いんだよ」というファンの同級生がいて、ホントかよと疑っていたけれどこの作品を見て納得。もちろん少年たちの冒険が“死体見つけにいこうぜ”で始まっているので更に納得だった。“怖がり”だからホラーを書いているベストセラー作家だけに。でもこの映画で一番覚えているのは、まるで花火みたいに××を噴出すとんでもないシーン。ロブ・ライナー監督作品では「恋人たちの予感」 の次に好きな一本。
オススメ★★★★☆

Amazon.com

DMM.com

ホームページ テンプレート フリー

Design by

inserted by FC2 system