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英国王のスピーチ

  英国王のスピーチ

 

 「ソーシャル・ネットワーク」が獲得すると思っていた今年のアカデミー賞 。「なんだよ合衆国の映画好きは、時代について行けないのかよ」と思ったのは観賞前。なるほどねぇさまざまな要素を取り混ぜつつ、自然に、やり過ぎないこちらを選ぶのもうなづける。

 

 さまざまな要素とは王室を描いた偉人伝で、障害を乗り越える人の感動作で、融通の利かない生徒を鍛える“師と弟子”もので、背景に戦争がある。それぞれ独立した作品になる要素ながら、観客が意識しないように自然に物語に組み込まれています。これはもちろん監督の手腕もあるし、主要なキャストがいつもよりむしろ“控えめ”に見えるところが好印象。

 

 ホントに久しぶりにヘレナ・ボナム=カーターの美貌が堪能できたのは嬉しい。あのティム・バートン「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」「アリス・イン・ワンダーランド」で化けてしまっているので、可憐な「眺めのいい部屋」の彼女が・・・、とチョット残念でした。ティム・バートン作品以外にも「ターミネーター4」とかね。しかし王であるジョージ6世を支える妻は、年齢にふさわしい役柄で良かった。ジョージ6世を演じたコリン・ファースは「ブリジット・ジョーンズの日記」が一番メジャーでしょうか(「シングルマン」見てないんだよね)、“かっちん玉”は彼の十八番。しかし今回は融通の利かなさだけではなくて、内に秘めている部分をやり過ぎないで見事に演じきっている。

 

 そして何よりジェフリー・ラッシュが師の役を演じるのが面白かった。この人は実在の人物を演じることが多いですけれど、どっちかっていうと世話焼かせちゃう人が多い。「シャイン」「ライフ・イズ・コメディ!ピーター・セラーズの愛し方」などがまさにそれ。当たり前ですけれど「パイレーツ・オブ・カリビアン」でも彼に求められるのは“オーバーアクト”。才能がある方を演じてきた彼が、今回は受け手に回っている。医者だけど芝居好きで、オーディション落っこちたり(「アルパチーノ リチャードを探して」を参考までにどうぞ)するけれど、患者に対しては妥協することなく忍耐強く対処していく。優しく暖かい眼差しをこの人がするなんてね。

 

 ジェフリー演じる医師が忍耐強く治療しなければならないのが、英国王。既にラジオが普及していて国民に直接語り掛けなければならない。現在と違って当時は大英帝国がその最後の光芒を放った時期だけに責任は重い。国内だけでなく、オーストラリアもニュージーランドも・・・。迫りくる総統ヒトラーに対して、人々を鼓舞しなければならない。ところが演説しようにも王様は吃音という障害があって・・・、その辺はご覧になってご確認を。

 

 王様だって人間で、克服しなくちゃなんないものがいっぱいある。まして帝国最大の危機を迎えている時ならなおさら。第二次世界大戦を描くとなると、どうしても総統にスポットが当ります。しかし反対の立場の人々が勝利しての今日、その中心にいた人物を描いたものは興味深い。また観ていてやはり“水戸黄門の国民”だけに“お忍び”が発覚するところがワクワクしちゃって、へへっーて医師の奥さんがなるところは楽しかった。テレビの時代にはまず無理だからね。

 

 吃音に対しての我々の認識を改め、王室に対して正しい敬意を払うことが出来るようになる。しかも師と弟子の間に生まれた友情の物語でもある。イギリスの作品だけに盛り上げすぎないクライマックスも素晴らしい。よく作品賞になったなぁと思ったけれど、合衆国の映画好きは目が肥えているのかも。作品賞納得の1本でした。

 

現在(3/4/2011)公開中
オススメ★★★★☆

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  シンパシー・フォー・デリシャス

 

 予告編を見て行くしかないと思った1本。ところがレイト・ショーのみの公開で、地方都市に住んでいるだけに、泣く泣くあきらめるしかなかった。実際にリリースを待ちに待ってた甲斐あって素晴らしかった。「ゾディアック」とか「ブラインドネス」 で目立ちこそしないものの、なくてはならない役をキッチリ演じることの出来るマーク・ラファロ。彼の初監督作というだけでも映画好きとしてはワクワク。実はそれだけでない逸話がこの作品にはあって、特典映像のインタビューはぜひご覧ください。本作の脚本にして主演のクリストファー・ソーントンという人は見たことのない人だけど、彼もこの作品には不可欠な存在。2人の芝居は見応えあります。脚本家と監督が渾身の芝居を披露する瞬間って、合衆国の映画では余り見られないインディ系ならではの贅沢さ。

 

 更に監督の役者仲間を集めたのでしょう、ローラ・リニーもジュリエット・ルイスもオーランド・ブルームも美味しすぎる。みなさんトレンドとはちょっと距離をおいてますが、出演作が絶えることがない。ローラ・リニーはとにかく大好きな人だから、インディ系に出てくると嬉しくなります。「マイ・ライフ、マイ・ファミリー」なんか最高だった。ジュリエット・ルイスも初期の雰囲気から、期待されるヤバイ役に次々チャレンジ。「ローラーガールズ・ダイアリーズ」とか「デュー・デート出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断」なんて「ギルバート・グレイプ」の頃と比べるとずいぶんと変わっていて楽しい。またバンドネタでもあるから英国の発音を持つ美男子が必要で、オーランド・ブルームは見事変身。「ロード・オブ・リング」のエルフ、「キング・ダム・オブ・ヘブン」の王子様も、ややジャンキーがかったボーカルは更なるステップか。「ニューヨーク、アイラブユー」 でもオタクやってたし、3Dの「三銃士」 で悪役にチャレンジだからまだまだ楽しみ。ヘイデン・クリステンセンも彼のパターンを踏襲すると化けるかも。

 

 さて物語は「路上のソリスト」でも描かれた街のスラムから始まります。車椅子のホームレスである主人公ディーンは元DJで、神父さんに施設に入れと言われても、つまらんプライドが邪魔をして頑なに拒む。もっとも元の自分に未練があるので“インチキ宗教”の集会に行ったりする。ところが彼に“神の天恵”が訪れ、お話は急展開。「聖者の眠る街」 でも救いがたい状況の中、わずかだけど主人公に“癒す力”が授けられる。ところがこの作品は奇跡がもっと露骨で、物語の方向が変わっていきます。ディーンの能力が凄くて“奇跡とたかり”に発展していってしまう。人々が集まって熱狂の果てに、ワケが分からなくなっていく様子を最も表現しやすいロックバンドの物語に移行。才能を持つ者の“成功と失墜”から実は最後の本物の奇跡に至るまで、様々な仕掛けがごく自然に盛り込まれていて文句なしでした。だから初監督作品は楽しみなのです。

 

 構成要素は“神の恩恵”とか“障害を乗り越える人”とか裁判ネタまで入っているのに、アカデミー賞にかすりもしないのは不思議。ノミネート作品が満たしている要素のほとんどがだいたい入っているのに。分かりやすい感動作の重要な部分が欠けているからでしょうか?「英国王のスピーチ」 と違って、実は主人公には“××”が欠落している。そのことを主演であり、脚本と監督の2人、クリストファー・ソーントンとマーク・ラファロは熱演で刻んでいたような・・・。ぜひご覧になってご確認ください。映画自体が“××”で成立しているのに、なかなか一筋縄ではいかない新しい作品です。
オススメ★★★★★

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