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ちいさな哲学者たち

ちいさな哲学者たち

 

 医療(「わたしを離さないで」)、食(「フード・インク」)、エネルギー(「100,000年後の安全」)そして今度は教育を題材にしたドキュメンタリーが登場。これは別に唐突な流れではなく、「未来の食卓」をご覧になると分かりやすいかもしれません。子供たちの“食の安全”を真剣に考えるフランスの親たちは、幼稚園児に哲学を教えることに抵抗はないみたい。ま、もともと哲学的な国民だからして当然かも。

 

 ただ「パリ20区、僕たちのクラス」をご覧になるとより明白で、もう中学校の段階になったら“手遅れになってしまう”かもしれない教育の現在。「メディア・リテラシー―世界の現場から」を読んだ時も痛感しましたが、無意味に溢れる情報から子供たちを守るには、彼ら自身の力を伸ばすしかない。実際に英国とカナダではメディア・リテラシーを国語の授業で教えているそうですけれど、決して“やり過ぎ”ではない。

 

 我が国の現状はもっと深刻で、教育産業の前には成す術がない。実際に教材を売って回ったことがありますので(金に困ってのアルバイト)、教材を商品として捉えた場合、これほど優れたものはない。ハッキリ言って教材の効果ってどのように計れるんですか?学校の点数が上がったら?偏差値の高い学校に入れたら?本当に教材の効果だったの?DVDのレンタルだったら一発です、見れなきゃ途端に怒鳴られる。商品としては極めて費用対効果が曖昧な代物ながら、儲かるもんだから予備校とかのテレビCF多いですよね。

 

 多くの先進国が頭を抱えている、持て余して、先送りにしている教育。しかし放っておくと、街中至る所に陰惨な光景が繰り広げられることになります。吸血鬼映画「デイブレイカー」でもチラッと出てきますけれど、日本だってコンビニの前に子供が座り込んでる光景は、見ていて気分のいいものじゃない。是枝裕和「奇跡」は現代日本ではあり得ないくらい奇跡的場面の連続で清々しいけれど、首都圏じゃ・・・。気分を害するくらいならまだいいですけれど、就職活動している大学生が掛け算できなかったら・・・、かなり暗澹たる気持ちになります。ぜひお父さんたちにご覧になっていただきたい。お母さんたちは何だかんだ言っても、子供たちと直接向き合わなくちゃなんないし、溢れる情報にさらされています。実際に何人もお話を聴きましたからねぇ、並みの苦労じゃあないですよ。

 

ま、フランスとはいえ幼稚園児ですから日本とそんなに変わりがない。子供を実際に教えている現場を覗けるんだから、授業参観よりよっぽど参考になる。もっとも子供たちが映っているからといって、微笑ましくも心和む場面ばかりではありません。その辺はさすがフランスで、間近で幼稚園児たちを見ていると、変形動物ドキュメンタリーのよう。当たり前ですけれど絶対にじっとしていないし、テレビの子役じゃあないですから、あっち向いたりこっち向いたり。先生の話を聞いていたかと思ったら、コックリコックリしていたり。もっとも酷暑の中、冷房が効いてきた映画館では観ているこっちもウトウトしたりして。でもさ、国によっては銃の使い方しか教えられないし(「ブラッド・ダイヤモンド」)、インチキ宗教を刷り込んだりするわけですから、ぜんぜん有効な方法のように感じます。

 

 「大いなる陰謀」にしても「ヤバい経済学」にしても作品の中に教育を描き、先送りにさせないよう注意を喚起している。もはや金八先生が通用する牧歌的な時代ではありませんから、大人が真剣に考えないと。少なくともフランスは始めている。何年後かに確実に自分たちの首を絞めかねない、緊急かつ今日的なプレゼント・イシューでした。

 

現在(7/15/2011)公開中
オススメ★★★★☆

 

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関連作

  パリ20区、僕たちのクラス

 

 「中学校をずいぶん前に卒業して、知らん顔している大人の皆さん“現実世界へようこそ”」と言われたような気になる、現代の教育現場を冷静に描いた傑作。さすがはカンヌ映画祭で、ちゃんと賞をあげている(もちろんアカデミー賞にもノミネート)。「誰も知らない」とかに近いですかねぇ。もの凄く生々しい“教育の今”が眼前に繰り広げられます。教師が太刀打ちできないロジックを、イヤと言うほど備えている子供たちVS規則でがんじがらめになった先生。「ワイルド・チェンジ」のように猛烈な校長が、徹底的に叩き直すなんてやり方は通用しない。

 

 パリの移民が多く通う学校では、もの凄く複雑かつストレスが溜まる出来事が次ぎから次ぎへと起こります。三者面談でお母さんと直接話しができない、宗教の違いから〜は食べられない、だいたい授業がマトモに進行しない。「大人は分かってくれない」の国なのに、「ザ・カンニングIQ=0」のようなスチャラカ時代を経て、教師が痛めつけられる(精神的に)学校が出現。ほとんど音楽などもかからず、ドキュメント・タッチで凄い。何だかんだ言っても合衆国産には希望が垣間見える(「プレシャス」でさえ)。「フリーダム・ライターズ」とか「ミュージック・オブ・ハート」のような心温まる“師と弟子”ものではなく、21世紀、教育の現実を真正面から描いています。
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