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50/50 フィフティ・フィフティ

  50/50 フィフティ・フィフティ

 

 日をまたいで2本立てというのも可笑しいけれど、“次世代型2本立て”(と勝手に悦に入っている)の2本目。ジェシー・アイゼンバーグ珍品だけど、ジョセフ・ゴードン=レヴィットはインディ系の得がたい感動作に出て、代表作を見事獲得。「インセプション」みたいなクールな男もできるけれど、運悪くガンになってしまう。几帳面で大人しめの男もキッチリ演じられる彼は今回、「ツレがうつになりまして。」堺雅人に印象が近い。

 

 合衆国で難病を扱った映画は「私の中のあなた」みたいになりますが、こちらは欧州寄り。「潜水服は蝶の夢を見る」のように患者の視点で周囲の人々が描かれていく。人によっては嘆いたり、悲しんだり、さまざま。果ては見捨てるのが同棲している彼女。「恋のスラムダンク」でもポーラ・ハットンが“美人は薄情”の典型を演じましたけれど、本作ではブライス・ダラス・ハワード。結局離れていってしまうフツーの“ヤリ”に扮していて、「ヒアアフター」の少ない出番ながら印象的だった女性とは真逆。“裏稼業”が止められない巨匠(ロン・ハワード)の娘は一味違います。

 

 予告編でてっきり彼女役かと思ったアナ・ケンドリックは研修中のカウンセラー。「ラブ&ドラッグ」アン・ハサウェイともども“強い”顔をしている彼女は「マイレージ、マイライフ」に近い感じだけど、輝き始めた。「トワイライト 初恋」では“出演者の1人”でしたけれど、もう少し文学っぽい作品に出たら化けるかも。片付けられないインテリ女と患者の組み合わせなんて、デートムービーの要素を軽やかに盛り込める重要なパートを担っている。

 

 また主人公のお母さん役、アンジェリカ・ヒューストンはさすがですね。ジョセフ・ゴードン=レヴィットとのやり取りは「クリスマス・ストーリー」のカトリーヌ・ドヌーヴとマチュー・アマルリックみたい。ジョセフも相手がオスカー受賞のベテラン女優ですから、気合の入った芝居を見せる。もっとも「アダムスファミリー」の彼女が一番認知されているんだよな。旦那がアルツハイマーを患っていて、オマケに息子はガンに冒される。でもこの作品はあくまで患者の視点を大切にしているので、“息子を想う母”ではなく、“母への気づかい”がミソ。そこにカウンセラーもさりげなく関わってくる。何気ないようですけれど、説得力のある重要なポイント。

 

 そして本作品中で最も注目させられるのがセス・ローゲン。それはご覧になるとお分かりになります。ヒーロー(「グリーンホーネット」)を演じてもアホ全開のこの男はウィル・フェレル(「主人公は僕だった」)を超え、アダム・サンドラー(「再会の街で」)に迫る実力者。あの「スーパーバッド 童貞ウォーズ」の仕掛け人とは到底思えない。本当に得がたい親友をごく自然に体現。そりゃあそうです、本作は脚本家の実体験だけど、彼もその当事者なんだから。つらつら思い返してみれば、彼の携わった作品は“友情”が中心に据えられている。「スーパーバッド 童貞ウォーズ」しかり「グリーンホーネット」しかり。マーク・ラファロの「シンパシー・フォー・デリシャス」のように、この作品もセスと脚本家ウィル・ライザーの友情が結実させたもの。

 

 宣伝では“実体験”となっていますけれど、スケッチ風でインディ系ならではの軽やかな描き方は、典型的な“難病もの”のパターンを覆した。笑いの要素も盛り込まれていて、年取った犬とかは後でちゃんと効いてくるし、セス演じる親友のはた迷惑さもラストにはグッとくる。ま、音楽好きじゃなかったら「マイケル・スタイプみたいじゃん」のネタはREMから説明しなくちゃなんないけれど・・・。やはり若さは武器で、「ソリタリーマン」みたいに老境の元ダンディとは違ってヤケクソになったりしないし、「BIUTIFUL ビューティフル」のような覚悟を決めるのとも違う。タイトルが示している通り難病だけど五割なんだから。もちろん楽しいシーンばかりではなく、恐らくあっただろう体験も差し挟まれていてさすがです。難病ものだが家族の絆を描きつつ、デートムービーとしても推薦できる得がたい1本。カップルでも良いし、1人で観ても良い。ジョセフ・ゴードン=レヴィットのファンなら文句なし。この作品でセス・ローゲンはぜひ見直されて欲しい。もっとも合衆国じゃあとっくで、「俺たちステップブラザースー義兄弟-」のメイキングでも監督は出番の少ない彼を絶賛だった。遅ればせながらワシも同感。

 

現在(12/5/2011)公開中
オススメ★★★★★

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関連作

  ソリタリー・マン

 

 タイトルが独り者には応えるインディ系のキチンとした1本。“寂しい男”に扮するのがマイケル・ダグラス。 若い頃は「チャイナ・シンドローム」の勇ましいカメラマン、大人になったら「ロマンシング・ストーン」でロマンスを展開。中年になるとエロティック・サスペンス「氷の微笑」とか「ウォール街」のどぎついゼニゼニ男、そして今回は老境を迎えた“ほぼじいさん役”を演じることになった。彼の勇姿はなんと言っても「ブラックレイン」なんだけど、アレだって清廉潔白ではないのがこの人の持ち味。本作では孫がいるのに若い女を物色、おじいちゃんと呼ばせない虚しい努力したり。ところがやりたい放題のダメ爺でも“病気の気”があると聞いた途端、ヤケのやんぱち、愛人の娘にまで手を出す始末。

 

 ま、愛人に扮したメアリー=ルイーズ・パーカー(「RED/レッド」)の出番が少なめなのが残念ながら、娘はゴージャスなイモージェン・プーツ。「サウンド・オブ・サイレンス」くらいまでだったらやってなかった、弱気な若手にナンパを指南する様はこの作品ならでは。指南されるのがジェシー・アイゼンバーグで、典型的な“坊や”ながら、師匠を立てる真面目さは彼ならでは。ダメ男でもいちおう周囲は彼に好意的で、「春が来れば」のよう。特に本当の娘は彼のことを真剣に想っているし、別れた妻も古くからの友人も。古くからの友人はダニー・デヴィートで、通ってた大学近くの食堂を次いだ店主が良く似合う。ぜひ彼がスターに扮した「ゲットショーティ」と見比べていただきたい。更に「ウォール・ストリート」が初共演かと思いきや、この作品が先だったスーザン・サランドンがいなければラストが成立しない。インディ系ながら豪華共演にしたのは、スティーヴン・ソダーバーグ が一枚噛んでいることによるものか?でもホントにマイケル・ダグラスは父、カーク・ダグラスとは違う俳優人生を歩んできましたな。
オススメ★★★☆☆

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  スーパーバッド 童貞ウォーズ

 

 「ポーキーズ」とか「アメリカン・パイ」を見る年じゃないからスルー。ところが「50/50 フィフティ・フィフティ」のセス・ローゲンが凄いと今更ながらに驚いて、見てみたら爆笑の掘り出し物。後々豪華共演になったのは「エリザベス」だけど、これも現在進行形でドンドン株が上がっている。だってあなた、「マネーボール」のジョナ・ヒルと「JUNO/ジュノ」のマイケル・セラと「ラブ・アゲイン」エマ・ストーンが共演していて、「キックアス」のクリストファー・ミンツ=プラッセまで出ている。これを先に見ていれば、彼らの起用が当然なことが良く分かる。もうどうしようもなく身近な高校生のバカ話。男子高校生の頭の中なんて誤った“女のコト”でいっぱい(吉田秋生著「河よりも長くゆるやかに 」)。スケベ妄想が脳内の90%以上を占めているダメな3人組が主人公。

 

 親が喜ぶ模範的高校生が出てくる「トワイライト 初恋」とか「アイアムナンバー4」みたいな健全な人々のパーティにもお呼びがかからない。たかだか酒を買いに行く“パシリ”にされて大喜びなんて・・・、思い当たる節がありすぎて恥ずかしい。ところが偽造IDでビビリながらも買いに行った店で強盗に遭遇したり、ワケの分からない乱痴気パーティにもぐりこんだり、なぜかパトカーの警官と・・・。ごく日常であって不思議でないショボイ冒険が展開。ところがなぜか友情を確かめ合い、美女と上手くいったりして。テイストは後のセス・ローゲン作品に受け継がれていく。ラストもショッピング・モールで、「モール★コップ」などもそうだけど、これこそ庶民の等身大のコメディなのです。それにしてもジョナ・ヒルとエマ・ストーンの頭突きシーンなんか、後々お宝に化けるかも。トム・ハンクス&メグ・ライアンのベスト「めぐり逢えたら」 みたいな作品で2人が再共演したら・・・、でもその確率は高い。 
オススメ★★★★☆

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