デュー・デート 〜出産まであと5日！史上最悪のアメリカ横断〜
デュー・デート出産まであと５日!史上最悪のアメリカ横断
「ハングオーバー！ 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い」のダメな義理の弟役の記憶も生々しいザック・ガリフィアナキス。あのキャラクターを更に発展させて、１本撮っちゃおうという下心は健全。まあとにかく迷惑な人ですよ、でも多少の誇張はあるにせよ、現実にいますからねこの種のヤツ。観ている我々はロバート・ダウニーＪｒ． の怒り炸裂する部分に共感せざろう得ない。
もうスタートからロバート扮するピーターには暗雲が立ち込める。鞄を取り違えられて、ボディ・チェックで怒られて、テロリスト扱いの果てに自動車での合衆国横断を余儀なくされる。飛行機がダメで渋々列車に乗るロバート・デ・ニーロ(「ミッドナイト・ラン」)にはまだ強みがあったけれど、はた迷惑なヤツ＝イーサンの車でなければならない。真面目なピーターは情けないことこの上ない。それもこれもタイトルになっているデュー・デート＝出産に立ち会うという妻との約束のため。まぁ珍道中の詳細に触れても仕方ありませんし、ご覧になるのが一番です。もうホントに抱腹絶倒の連続で、「メリーに首ったけ」以来の下品極まりない××××ねたをもってくるとはさすがトッド・フィリップスですね。また感動作の必須アイテム＝“子供、犬”を徹底的に笑いのネタに使用。自主規制ラインすれすれをいってます。
もちろん“かけあい漫才の珍道中”だけではつまらないから、各ポイントにお楽しみキャストが控えている。ボディ・チェックでロバート・ダウニーＪｒ．にストップをかけるのはRZAで、「ゴースト・ドッグ｣にチラッと出てきたけれど、本業(ウータン・クラン)はどうしているのかな？などと思ったりして。「ローラーガールズ・ダイヤリー｣でも久しぶりだったジュリエット・ルイスも嬉しかった。そしてとっておきはジェイミー・フォックス。「路上のソリスト｣でロバート・ダウニーＪｒ．扮するジャーナリストと友情が芽生えた天才演奏家を演じてました。彼が出てきたのはあの作品へのオマージュでしょうか。更に「ビッグ・リボウスキ｣でも××をコーヒー缶に入れてましたけれど、あのギャグ一緒にやっちゃうんだものな。最後で効いてくる不道徳ギャグにもジェイミー・フォックス は貢献。
キャストを２人に絞った戦略は今回正解で、漫才ロード・ムービーとして実に良くできている。「ハングオーバー！ 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い」の未整理な印象を払拭していて、スッキリ。どちらかといえばこちらが好み(ハッキリ好きという方もいるはず)。はた迷惑なヤツ＝ザック・ガリフィアナキスはもう売れっ子確実で、中年になって“被り物”に出たロバート・ダウニーＪｒ．ともども今後が楽しみ。それにしてもいつの間にかロバート・ダウニーＪｒ．は若造に振り回される役になったんですね。「エア・アメリカ｣の時はメル・ギブソンに面倒見てもらっていたのに。この作品を通じて監督の認知度が上がってくれることを切に望む。“レンタル屋ストレート”は悲しくなってしまうのです。劇場を後にする時、実はちょっと感慨深くなってしまった。それはコチラ→
現在(1/24/2011)公開中
オススメ★★★★☆
関連作
｢リーサルウェポン｣でも語られている、合衆国の非合法活動の一端を担う組織＝エア・アメリカ。ベトナム戦争中であることは冒頭ニクソン大統領がTVで演説しているシーンでも分かりますけれど、方や命がけの戦闘(「プラトーン」)を繰り広げている影で、実にうさん臭い暗躍を隣国ラオスで展開。搬送物は武器弾薬で、送り届けるのは命がけ。山賊だかゲリラみたいな連中がうようよいる地域で、いつ撃ち落されるか分からない危険地帯。しかも非合法だから存在しないことになっている。
しかしやばい所が大好きなクレイジー・パイロットはこの時期のメル・ギブソンの真骨頂で、実に嬉しそうに操縦している。で、そこへ初々しいロバート・ダウニーＪｒ．がやってくる。L.A.では陽気な型破りで意気揚々だったけれど、場所が場所だけにエライ目にあっちゃう。エライ目ってのは麻薬がらみで・・・、ぜひご覧になってご確認を。上院議員が世間知らずで間抜けなのは「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー｣でも出てきましたけれど、将軍をかばん持ちに間違えちゃうんだモンね。しかもその将軍役の人、後に「キス・オブ・ザ・ドラゴン｣で見かけたりして。バディものとしてもイケるけれど、実写の飛行機映像はやはり迫力が違います。
オススメ★★★☆☆