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約束の葡萄畑 -あるワイン醸造家の物語

約束の葡萄畑 あるワイン醸造家の物語 約束の葡萄畑 -あるワイン醸造家の物語

 

 しっかりした内容で好きだった「クジラの島の少女」「スタンドアップ」。監督のニキ・カーロはお気に入りでしたので、新作が待ち遠しかった。「スタンドアップ」が2006年だから、もう4年経ったんですねぇ。今回の題材はワイン醸造家の物語。ワインは嗜むので、「サイドウェイ」にしろ「プロヴァンスの贈りもの」にしろ物語以外の部分も楽しめちゃう。ま、知識ないし、高い物はとてもじゃないけれど手が出ない。ハッキリ言って別世界なんだけど、飲んでる酒がワインなのでそそられるポイント。

 

 更にもうたまらない設定だったのが、天使がお告げをっていう部分。「ベルリン天使の詩」「ドグマ」「コンスタンティン」も大好で、驚くべきことにこの3作品の要素がチラチラ垣間見えるので興奮。おまけに天使が主人公に「〜すれば・・・」と言うところはどこか「フィールド・オブ・ドリームス」を思わせたりして。原作は文学作品なんだそうで、文学者たるもの“図式的”に執筆することなく己の妄想を頼りに面白い物語を産み出してもらいたい。

 

 で、天使に扮しているギャスパー・ウリエル君、女性の皆様必見です。天使役だけに「コンスタンティン」のティルダ・スウィントンと同じく人外の美貌を備えていなければなりません。彼はバッチリ。ただ天使は天使でもちょっと“変わった天使”だけに、後半とても興味深い展開になっていきます、その辺りはご覧になってご確認を(「ドグマ」観てたので分かってしまいました)。「ロングエンゲージメント」では第一次世界大戦に出征する少年だったのにねぇ。

 

 またビックリしたのが主人公の奥さん役で「クジラの島の少女」の運命の少女を演じたケイシャ・キャッスル=ヒューズが出ている。大人になっちゃいました、「マイティ・ハート・愛と絆」「ベッカムに恋して」 のアーチー・パンジャビが大人になっているのにも驚きましたけれど、時の経つのは早い。更に「マイレージ、マイライフ」ジョージ・クルーニー をノック・アウトしちゃうお相手役のヴェラ・ファーミガ、伯爵夫人が似合う。彼女は現代でも治せないある病気にかかっちゃうんですけれど、女性監督ならではの手術の描写、あれは男は怯んでしまう。

 

 主人公は小作農だけど野心的な若者で、既存の製法では満足せず、美味いワインを目指す。山あり谷ありの人生で、時にはナポレオンのロシア遠征に参加。扮するジェレミー・レニエは“恋する青年”から“家族のために出征する夫”、さらには城付きのワイン製造の責任者になり、“娘の結婚を心配する父親”までごく自然に年を取っていく役をみごと体現。

 

 ただ彼の“老い”をより完璧に見せるため、ギャスパー・ウリエル扮する天使を効果的に使っている。天使は出来事があるごとに登場しますが、美貌は変わらず話し方も不変。この辺はモータル/イモータルの要素が盛り込まれていて完全に好み。しかしど根性のお百姓さん物語であることは、冒頭の彼の指の描写から始まることで証明されています。天使との部分も既存の構造をあっさりスカして、「ベルリン天使の詩」とも違うユニークなもの。

 

 構成要素は抜群に好みを満たしてくれているニキ・カーロの最新作。もちろんニュージーランド出身の血も作品には流れていて、丘から見下ろす風景はどこか「世界最速のインディアン」に通じるものを感じました。ま、セリフも英語だし舞台をフランスにする必要なんかないじゃないか?とおっしゃる方がいても当然。しかし伝統的ワイン作りの土地でフランスを外すなんて考えられないし、天使が出せるのはヨーロッパならでは。

 

 実はその部分を除いてしまえば完全なフィクション(大ボラ)として成立するユニークな品。今年はキャスリン・ビグロー(「ハート・ロッカー」)、イザベル・コイシェ(「ナイト・トーキョー・デイ」)、荻上直子(「トイレット」 )と好きな女性監督の作品が観られてラッキー。なおニキ・カーロはフリー・ペイパーの表紙を飾るくらいの美人です、上映されている劇場にありました。渋谷の外れにある閑静な場所で、マダム御用達の“芸術”を感じさせるトコ。正直今までここで観た作品で、好みに合うのがなかったんだよなぁ。

 

現在(10/25 2010)公開中 
オススメ★★★★☆

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  フィールド・オブ・ドリームス

 

 野球映画ではあるけれど、特に男性にオススメの“父と息子”の感動作。ホントにドバドバと涙が出た。劇場で観なかったことを後悔の1本なんだけど、アレだけ泣いて映画館から出てきたらと思うと・・・。父親と息子に“話すこと”はそんなになくて、「キングス&クィーン」のラストが分かりやすいですけれど、伝えるべきことの一生分は美術館で話し終わっちゃう。もちろん違うと言う方もいらっしゃるでしょうけれど、親父と延々と話すことってあんまりない(女性はもっとか?)。しかし肝心なことを言わずに後悔することもあって、それがこの作品のポイント。

 

 “野球映画に出ると当たる”というジンクスがケヴィン・コスナーにあったのはこの辺りでしょうか。キャッチャー役の「さよならゲーム」もピッチャー役の「ラブ・オブ・ゲーム」もなぜか良い。ジェームズ・アール・ジョーンズが演じる隠棲している作家は、原作では思いっきりJ.Dサリンジャー(「小説家を見つけたら」にしろ人気作家の代名詞ですな)。広く遍く支持されるかは分かりませんけれど、“心の中の1本”になる可能性のある、一番泣いた最初の“見逃しの非レンタル屋ストレート ”。
オススメ★★★★★

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