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ロビン・フッド

ロビン・フッド   ロビン・フッド

 

 リドリー・スコットラッセル・クロウの5本目のコンビ作で、「グラディエーター」に続いての“史劇的コスプレ”。実はロビンフッドのお話は有名で、西洋の方々にとっては何度も見たことがあるのだそう。しかしケヴィン・コスナーのリメイクかメル・ブルックスのあほなパロディしかキチンと観たことがない。

 

 よってどこが改変されていて、定番と違うかが分かりませんでした。手掛かりになるケヴィン・コスナー版 は、なにせ彼は当時“色男の代名詞”だったから、泥臭さはぜんぜんなく、キレイでファンタジックな作りだったのをうろ覚え。この作品では最初からロビン・フッドじゃなくて、ラッセル扮するロビン・ロングストライドは十字軍に参加している射手として登場。冒頭王様が目をかけるから、「グラディエーター」とおんなじかよと思ったけど、あっさり予想を覆すところはさすが。しかし城攻めのシーンは猛烈で、火攻め弓攻めてんこ盛りの凄い戦闘シーン。ところが王様が死んだとなるや、さっさと逃げ出してしまうのは12世紀ならではもあるけれど、現代が反映されているような。

 

 時代感覚は決して衰えていないリドリー・スコット、“21世紀の現実”を作品のそこかしこに投影しています。孤児が村の外に逃げ出していて、盗んだりすることしか出来ないでいる様は末期症状の先進国そのもの。だてに「それでも生きる子供たちへ」の一編を撮っていない。またイングランドの王様は「ブレイブ・ハート」にも出てきましたけれど、映画の場合暴君の代名詞。良い王様って「キングアーサー」くらいしか“史劇的コスプレ”で観たことがない。英国って女系じゃないと上手くいかないんですかねぇ(「エリザベス・ゴールデンエイジ」)。人から税をとるのが当たり前、というトンチキが王様になってしまったから、磐石とはいえないイングランドは内部分裂へ(21世紀はマスコミが仕掛け人)。そこへつけ込むのがフランスで、権謀術数が繰り広げられるストーリーはなかなか。通常の“史劇的コスプレ”では、あんまり複雑にはなりませんけれど、スパイと推理小説の国ですから「エリザベス・ゴールデンエイジ」だって宮廷に陰謀が入り乱れ。

 

 で、トンチキの王様と陰謀をめぐらすスパイ役が極めて上手い。王様役のオスカー・アイザック、スパイ役のマーク・ストロングはスター2人に太刀打ちできる演技力が求められる。特に「シャーロック・ホームズ」でもハマッていたマーク・ストロングは、最もマッチョなスタンリー・トゥッチのような、憎々しげな風情が作品を背負ってます。ガタガタの老人役で出てくる「潜水服は蝶の夢を見る」のマックス・フォン・シドーを非人情にも手をかける凄み。

 

 そんな脇役にも恵まれたオーストラリア出身の売れっ子2人もがんばっていた(初共演は意外)。ラッセル・クロウは乗馬の腕前はなかなかで、「3時10分、決断の時」でも証明されていますけれど、颯爽と馬を駆る姿は決まっている。ただどこから見ても中年ですから無理やり若い娘を持ってくるわけにもいかず、ヒロインは後家さん。ま、女王陛下を演じたこともあるケイト・ブランシェットなら美人だし、彼女の熱演があれば魅せられる。それにしても細いよなぁこの人。ただ20代で「マディソン郡の橋」を観た時、メリル・ストリープクリント・イーストウッドのキス・シーンはちょっと厳しかったので、これを見る20代の人々にはどう映るんだろう。

 

 もちろん監督の腕の見せ所は合戦シーン。ヴィジュアル派の真骨頂でカッコいいー、キタキタキタ、すげぇと身を乗り出す瞬間がクライマックス。CGも使ってはいるだろうけれど、この国の大河ドラマが絶対にマネができないスケールは圧巻。それはぜひ劇場でご確認を。上陸作戦だから「プライベート・ライアン」みたいだったりするけれど、「レッド・クリフ」に負けてない。

 

 パート1イヤーだから、これもプリークァルに属するかもしれないけれど、リドリー・スコットは確か続編は撮ったことがないはず。けっこう設定は定番のものをひっくり返しちゃってるみたいだけど、「ブラックレイン」の人ですからなんでもアリ。どことなく「キングアーサー」っぽいけれど、「キングダム・オブ・ヘブン」のオーランド・ブルームより骨太(首も太いが声も太い)の中年ヒーロー=ラッセル・クロウを得て、合戦シーンをより効果的にする“権謀術数”を交え、大満足でした。中年だけに同じ日に観た「トロン:レガシー」よりこちらの古臭い方が好みなのです。

 

現在(12/21/2010)公開中        
オススメ★★★★☆ 

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  ロビン・フッド(ケヴィン・コスナー版)

 

 なんと劇場で観てから20年経った、アドベンチャー冒険活劇(現在は2011)。ロビン・フッドの映画というより、当時はみんな揃ってケヴィン・コスナー主演だから劇場に行ったのよ。今観ても彼は“王子さま”に見えるし、無理やり役を“こさえた”ようなモーガン・フリーマンも“思慮深さ”は今と変わらないけれど実に能動的。この人の場合「ドライビングMissデイジー」から観ているので、年取ってないような気がします。で、ホントに久しぶりの観賞はオッサンになっただけに“別角度”で楽しめた。ま、20代だったら初心なので、製作者の思惑通りに憎々しげに演じている悪代官=アラン・リックマンにムカつき、ロビンを応援。

 

 ところがバイアスがかかると、悪代官の必死のコメディ演技に終始笑ってしまう。もうやりたい放題で、笑いとりまくり。「シャンプー台の向こうに/BLOW DRY」だと無気力演技で、コチラでは力み過ぎがたまらない、さすが演技派。更にマイケル・ウィンコット(「トラブル・イン・ハリウッド」)がやはりワルのサイドで、「三銃士」とほとんど変わらない役というのもイケた。こういう観賞が正しいか否かは分からないけれど、作品の出来が良いから悪くない。で、最後にノン・クレジットのさる大物が英国王として登場するんだけど、声を聴いただけでやはりビックリ。モーガン・フリーマンとの貴重な共演作で、ケヴィンは「アンタッチャブル」 で一緒だった。
オススメ★★★☆☆

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