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プレシャス

  プレシャス

 

 合衆国の子供たちが実は悲惨な状況にあることを浮き彫りにしたのが、オムニバス映画「それでも生きる子供たちへ」のスパイク・リーの一編。教育の実態も実は深刻になってきていることを「大いなる陰謀」でも描いている(決して他人事ではないと思う)。しかしダメな人もいるけれど、ポジティブないかにも“made in U.S.A”もいるわけで、大変な思いをしている人を見ると、つい助けたくなっちゃう人(「しあわせの隠れ場所」)、辛抱強く現実に立ち向かっていく人(「ミュージック・オブ・ハート」「フリーダム・ライターズ」)、感動作の王道ですけれど、彼らを描くと観るたびに泣かされてしまいます。

 

 既に80年代に絶望的な状況にあった合衆国。問題はホームレスだけでなく(「聖者の眠る街」 (ごめんなさいDVDレンタルありません))、教育の場だってかなり危機的。“都会の悲惨さが詰まってます”っていう舞台としてニューヨークは重宝されますが、もちろんそんな逆境にめげない人がしっかり生きているのもあの都市の素晴らしさ。

 

 さて本作も“どん底”と言ってよい境遇にある少女が主人公。10代で2人目の子供がお腹にいて、母親は働きもせず娘をこき使う(身重の彼女を!)。コレに比べると「ジュノ」はまさに日常の1ページ。教育も満足に受けられないから字もろくに読めないし、おまけに・・・。不幸のフル・コースみたいな主人公だから、観客の同情を誘う“瞳のキレイな女の子”でラストの感動に持ってくのがパターンですけれど、この作品はまったく逆。

 

 主人公はクール・ビューティーとは絶対言われないごく普通の女の子、ガボレイ・シディベちゃん。彼女を導く先生役のポーラ・パットン(「デジャブ」 に続いて美貌全開)を引き立てるかのよう。しかし彼女こそがこの作品には不可欠で、ありがちなウソ臭さを払拭。それだけでなくまるでCNNのドキュメントを見ているようなんだけど、時折差し込まれる彼女の“サクセス妄想”が笑いを取ったりして侮れません(笑うのが不謹慎だなんて思っちゃダメなんだよなぁ)。

 

 また可能な限り現実的に描こうとマライア・キャリーレニー・クラヴィッツ 、2人の大物ミュージシャンも気合が入っている(「リリィ、はちみつ色の秘密」にしても有名ミュージシャンの出る映画は良い)。レニー・クラヴィッツはさすが音楽家の優しさが前面に出ていて看護師がぴったり。この国なら山崎まさよしとかスガシカオがやったらハマりそう。そして合衆国音楽界の頂点!マライア・キャリーは絶品。スッピンが話題になっていますけれど、ホントにいそうなソーシャル・ワーカーの役。確かに表情は疲れているけど、辛抱強く現実に向き合ってる公務員そのもの。もちろん最大の功労者は母親役のモニークで、「誰も知らない」のYOUともども同情の余地がない悪役を見事演じきっている。ま、芸達者だから「主人公は僕だった」「リリィ、はちみつ色の秘密」のクィーン・ラティファみたいな懐の深い役を次回作では期待。

 

 男の出る幕がなくなってしまった今世紀。「アリス・イン・ワンダーランド」にしても「17歳の肖像」にしても“女の子”が成長する物語はどれも良く出来ていて勇気をくれます。当然のことながらアカデミー賞にもノミネートされる(まともですよここ数年)。この作品が未完成に見えるのは前世紀の人間ゆえで(もうチョット作為的であってもかまわなかったんじゃないかな?)、たとえ絶望的な世界にあっても彼女の踏み出す一歩は感動的。

 

現在(5/7/2010)公開中
オススメ★★★☆☆

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  ワイルド・チェンジ

 

 “永遠のいぶし銀”モーガン・フリーマンの貴重な熱血教師もの。もの凄く猛烈な校長役で、ずーっと怒鳴っている。メタメタになった学校を立て直すんだから、あのくらい根性入れてやらないと手も足も出ないのでしょう。学校の端から端まで叩き直し、果ては消防署長と喧嘩まで。「ミュージック・オブ・ハート」の先生もじっくり生徒を教え込みますけれど、これくらい熱心な人がいてくれれば、「プレシャス」みたいなことはないのに・・・。まだ人間らしさがあったころの感動物語。「ロッキー」「ベストキッド」の監督ですから盛り上げ方は過剰かもしれないけれど、目頭が熱くなる。

 

 合衆国の荒廃はモロに子供たちの世界に露呈して、先生は自らを犠牲に取り組まなければならない(「フリーダム・ライターズ」)。「デンジャラス・マインド」なんて元海兵隊員ですからね。もちろん学校を追い出されると、直接“死の危険”にさらされるのは「ギャングスターズ/明日へのタッチダウン」でも描かれました。国中を叩き直さなければならない21世紀のわが国は、学校どころではありませんけれど、こと学校に関して言えば見るべきところは多々ある。“対生徒”だけでなく、“対教員”、“対保護者”と主役が校長だけに対処するべき難問は多岐にわたる。しかし昨今のモーガン・フリーマンの役柄とは真逆の猛烈熱血男は必見。未公開はもったいないし、今やその辺のレンタル屋にはないんだよねぇ。
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