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ニューヨーク、アイラブユー

ニューヨーク, アイラブユー

 

 「パリ・ジュテーム」の延長線上の企画なんだそうですけれど、このくらい顧客満足度を優先してくれるとたまりません。タイトルこそ“パリ、愛してる”から“ニューヨーク、愛してる”になっただけですけれど、中身はちゃんとひねってあって、既存のオムニバスとはちょっと違う。オール・スター監督で臨んだオムニバス、「10ミニッツ・オールダー」「それでも生きる子供たちへ」もそれぞれの監督がテーマに沿った短編を撮り、つなげた短編集の趣。もちろんそれだけでも映画好きとしては“事件”なんですけれど、この作品は更に変化を加えて、ロバート・アルトマンの「ショートカッツ」やポール・ハギスの「クラッシュ」のようになっている(好きな方はお分かりになるニュアンス)。

 

  別個のお話なんだけど、パラレルに成立させるんじゃなくて、ニューヨークっていう都市で括ってる感じですかねぇ。ニューヨークだけにジム・ジャームッシュ の「ナイト・オン・ザ・プラネット」みたいなイエロー・キャブのシーンから始まる冒頭も、「スモーク」 を思わせる情景描写も良いなぁ。監督やってる人たちもこの人種の坩堝である都会に対してそれぞれの思いがあるんでしょう、独自の目線で切り取ったそれぞれの短編は絶品で愛おしい。

 

 また次々に出てくる役者さんたちが好きな作品に出てきた人ばっかりで、観ているとスクリーンを指差して“あっ×××だっ”、“あっ×××もこんなトコに出てる”って感じで叫びそうになりました。彼らは実に良いポジションにいる人々で、スターだけど露出が控えめ。S級スターですとプロモーションに駆り出されて、本業がおろそかになりガチ。実際テレビ・タレントじゃないんだから、台本なけりゃ喋れないし、役者に映画全体のこと聞いたって仕方ないのに・・・責任者の監督に聞けばいいのに・・・。

 

 ほとんどみんな大好きな短編ばっかりなんですけれど、なかでもシャイア・ラブーフとジュリー・クリスティ(「あなたにだけ言える秘密のこと」)の出てくるお話と、ロビン・ライト・ペンクリス・クーパーのお話は短編だけに“結”の部分が見えなくても良いって造りがすがすがしい。監督もしたナタリー・ポートマン「Vフォーヴェンデッタ」に続いてまたまた丸刈りだったり、「マイティハート愛と絆」「スラムドッグ$ミリオネア」のイルファン・カーンが出てきたのも、「燃えよピンポン」のマギーQを出演させた監督のイヴァン・アタル(「ぼくの妻はシャルロット・ゲンズブール」)も、おっと「ラッシュアワー1、23」 の監督ブレット・ラトナーも「フロムヘル」の監督アレン・ヒューズも「エリザベス・ゴールデン・エイジ」 の監督シェカール・カプールも良い。ヘイデン・クリステンセンもイーサン・ホーク もアンディ・ガルシア もオーランド・ブルームも・・・・。いやいや言い出したらホントにきりがない、オムニバスで一番好き、まさに福袋そのもの。

 

現在(3/1/2010)公開中 
オススメ★★★★☆ 

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  バカヤロー!私、怒ってます

 

 気楽に、なーんにも考えずに映画を観ていた頃が懐かしくなってしまうけれど、DVDでリリースされていない、笑い満載の和製オムニバス。4話で成り立っていて、各エピソードの主人公は散々な目に遭わされて、プッツン(死語登録済み)。決めのセリフがもちろん“バカヤロー”。森田芳光が先を見据えて製作したのか?キャストで言えば室井滋と小林薫が、夫婦役なのが公開当時すでに美味しかった。なにせ2人は村上春樹原作の数少ない映画化作品、「風の歌を聴け」で共演していたからだ。データを漁るとなんと「SPEC」「MY HOUSE」の堤幸彦がその第4話を担当。小林薫扮する気弱なサラリーマンは必死で英語を学び、上司にいびられ、怒りが爆発。結果ペラペラと罵倒した挙句、トドメにバカヤローならぬ“×××× ×××!”は爆笑だった。

 

 大地康雄演じるタクシー運転手の第3話も、「ナイト・オン・ザ・プラネット」より早く、車内の空気がおかしさを醸し出す空間であることを証明。イッセー尾形が同業者に嫌がらせをする男で、「太陽」とはホントに別人。消滅しつつある日本の光景が、刻印されている映像資料とも言えますし、不変の人の営みも同時に露呈します。遠距離恋愛も、ダイエットも、英会話に執着するエライ人も。なおDVDは存在しませんが、DMM.comの動画配信では観賞可能です。「ニューヨーク、アイラブユー」の2010年には不可能だったことがやすやすと・・・。秒進分歩の21世紀ですな。基本的に時制を前後させないため、載せるページを考慮していますが、掟破りです(10/29/2013に書いてます)。
オススメ★★★☆☆

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