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キック・アス

キック・アス   キック・アス

 

 「スタートレック」の傑作パロディ「ギャラクシー・クエスト」みたいな映画かと思いきや、実にしっかり作ってあって、恐れ入りました。笑えるばかりか、「マチェーテ」の言語道断な痛快アクションも交え、感動もありの贅沢な娯楽大作。ま、面白いものはちゃんと探さないと、「オーケストラ!」 のように見逃してしまうことになります。

 

 さて平均年齢が高いアメコミ映画「アイアンマン2」ですと、比較的主人公はしっかりしていますが、21世紀の今“しっかりした10代”はうそ臭い。冴えない男連中には身に覚えのあることをしている、ただの憧れだけのボク。先生を“オカズ”にしているという描写は自主規制ラインを完全に割っていてマトモ。ただもちろんいずれヒーローになるんですから、主演のアーロン・ジョンソン君(「ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ」)には化けてもらわなくては。ちょっと前ですと「プリティ・プリンセス」アン・ハサウェイちゃんが演じていたシンデレラ・ストーリーを21世紀は男の子たちがやってます。

 

 これが今や出世街道で、「(500)日のサマー」ジョセフ・ゴードン=レヴィット「インセプション」「トランスフォーマー」シャイア・ラブーフ「イーグルアイ」「ウォールストリート」「ハンティング・パーティ」「アドベンチャーランドにようこそ」ジェシー・アイゼンバーグ「ソーシャルネットワーク」と外見上はそうは見えないけれど、作品を背負って立つことができる実力者。レオナルド・ディカプリオでさえ大人に見えるようになってきた昨今、彼らは次世代型

 

 しかしこの作品でタイトルにもなっている主人公は完全にダシ。やはり21世紀ですから女の子にこそ希望がある。それにしても驚きの“年端もいかぬ女の子”、クロエ・グレース・モレッツちゃんは凄い。感動作で人々の涙を誘い、演技力を証明するという従来のパターンを覆し、バタフライ・ナイフで悪党を串刺し(「荒川アンダーザブリッジ」のステラを思わせる)。「マチェーテ」とおんなじで、すげぇったらありゃしない。ところがこれがたまらないのだ、握り拳で画面に釘付け。まさか“年端もいかぬ女の子”が繰り広げるアクションにエキサイトするとは。ま、彼女の場合「(500)日のサマー」でもダメ兄貴を慰めてたけど、既にアンジェリーナ・ジョリーに肉迫(20代の若手女優さんは悔しいでしょう)。

 

 もちろん主役に華を持たせるためにも脇役が肝心で、かなり気合入ってます。父親役のニコラス・ケイジは嬉々として“被り物”ヒーローを熱演。「ゴースト・ライダー」もやっちゃうくらいですから、よほどアメコミが好きなのでしょう。「魔法使いの弟子」より更に脇役に徹しているけどアクションは決まっている。また彼(ビッグ・ダディ)とヒット・ガールの“父と娘の絆”が感動作としてこの作品をワン・ランク上げている。

 

 で、映画好きが嬉しかったのは悪役で、アメコミ映画だからといって手を抜いていない。ボスに扮したマーク・ストロング「ロビン・フッド」で観たばかりでしたけれど、現実的な凄みはマーティン・スコセッシのマフィア映画に今すぐ出るべきだと感嘆。また手下の面々が“いい面構え”ばかりで、彼らの熱演がなければ、ヒットガールのアクションが成立しない。だてに「スナッチ」のプロデューサーはしていないマーク・ヴォーンの力量は、こんなところでも発揮されている。またブラッド・ピットも一枚かんでいて、彼の製作した「きみがぼくを見つけた日」「食べて、祈って、恋をして」ともどもキャリアの彩りになりそう。

 

 「アイアンマン2」の貸し出し状況を見ていると、“アメコミ映画好き”が増えているというより、この国にもなじんできたのかと思える今日この頃。「ダークナイト」を経てしまった今(2010年)、半端な描き方だと笑われてしまう。しかしちゃんと現実を描くことに成功。「クロッシング」にも出てきた、公団アパートを巣にしているギャングを串刺しにするのも、傍観している人々も生々しい。21世紀、何に対してヒーローは立ち向かうのか・・・、それはご覧になってご確認を。

 

 次世代型俳優の実力をダシに、ベテランの熱演に支えられたヒーロー=ヒットガールの誕生はまさに娯楽大作にふさわしい。「(500)日のサマー」から始まった2010年、なんと同じ出演者の映画でしめるとは、良い一年でした。

 

現在(12/27/2010)公開中
オススメ★★★★☆

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  ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ

 

 ミュージシャンでありながら、単純にその範囲で語り尽くせないジョン・レノン 。合成映像で「フォレスト・ガンプ一期一会」に登場したり、「アニー・リーボヴィッツ レンズの向こうの人生」では射殺される前に会った、カメラマンの証言を聞くことも出来ます。「陽のあたる教室」でリチャード・ドレイファス演じる先生が、ジョンの死を聞いて悲しむシーンは印象的。「キリング・フィールド」 のラストでかかる彼の“イマジン”はアルバム “SONGS FOR JAPAN”の1曲目でもある。「バックビート」は熱狂的に売れる寸前のビートルズが描かれていて、ドキュメント「Let It Be」で解散に至る部分を垣間見ることも出来る。彼ら主演の映画も多数あって、映像資料には事欠かない人ですけれど、その“人となり”を知る手掛かりとなる作品がコレ。

 

 複雑な家庭で育ったことが、彼の音楽に多大な影響を与えていることが良く分かります。伯母に預けられた少年ジョン・レノンは伯母から愛されるだけでなく、産みの親からも溺愛されている。むしろ過剰な愛が“行く場所のない”彼にしてしまった。もちろんそれにはワケがあって、悲しくも残酷な事件が幼少のジョンにはあった。もちろんそれはご覧になってご確認を。「クレイマー・クレイマー」でダスティン・ホフマン演じる父親が、踏みとどまったラインを超えてしまっている。「アクロス・ザ・ユニバース」 にはジョンのそんな過去が、反映されていたんだなぁとしみじみ思っちゃいました。ジョンに扮したアーロン・ジョンソン君、さすがです。「キック・アス」を先に観たので、ヘロヘロ坊やが似合うかと思いきや、喧嘩っ早いジョンになりきっている。曲から察するとそんな印象はなかったけれど素行不良で成績不良、ポール の方が音楽家志向だったわけですね。
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