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食べて、祈って、恋をして

食べて、祈って、恋をして   食べて、祈って、恋をして

 

 タイトルがいやにそのまんまという感じで、どうして気の利いた邦題をつけないのかと思っていたけれど、実際に観て納得。確かにこのタイトルでなければならない。主人公はイタリアで食べて、インドで祈って、バリで恋をするんだから。見事な3部構成で、上映時間の長さをまるで感じない。もはやトップ女優のジュリア・ロバーツ、“売らなくちゃなんない”映画に出ないで済むので、納得の題材だと本気で臨む。宣伝を自ら買って出るのもうなずけます。トム・クルーズしかり、ブラッド・ピットしかり。

 

 で、今回彼女が演じるのは作家で、物書きだけに浮き沈みのある不安定な精神の持ち主。バリで受けたお告げが気になっちゃって、突然離婚して若い男に走ったりして、それでも未だなんか物足りないので旅に出る。動機づけの部分でクドクド説明不要にしてしまうにはもってこいの主人公。「幸せの1ページ」でも「主人公は僕だった」にしても奇行、奇癖は当たり前に映るのが作家。

 

 ニューヨークにいても停滞したまんまだから広い世界へ飛び出す、ただの旅行ではなくちゃんとアパートを借りて滞在するってところがミソで、映画として目を楽しませてくれます。作家の目線だから観察は鋭くて、歴史的建築物も、そこで暮らす人々も、余すところなく好意的にキッチリ描写。「リミッツ・オブ・コントロール」で描かれたマドリードほどではないにしても、観光映画とは程遠いです。もちろん肝心の食べ物は「マーサの幸せレシピ」に負けない、実に美味そうに映っている。食べ過ぎれば太るのは当たり前で、ジーンズがきついってのもあるんだけど、イタリアの食い放題でちょっとステップ・アップ。良く言って人生を謳歌することにかけてはイタリア人には適わない。

 

 更にインドで悟りを啓こうとするんだけど、そこに登場する口うるさいオッサンがなんとリチャード・ジェンキンス。予告編でなんでジャン=リュック・ゴダールが出ているんだろう?と思っていたら(出るワケないけど)、彼なんですねぇ。主演作「扉をたたく人」では無色透明な主人公を演じ、今回はめがねを外しても彼だと分からなかった。旨いよなぁ、この人が出てくるとその映画が好きになってしまうクセがあるので、いやはや嬉しいかぎり。

 

 さて、恋に落ちるバリではハビエル・バルデムが登場。「ノーカントリー」のターミネーター的殺し屋より「それでも恋するバルセロナ」みたいな色男が似合う。いい年して未婚という無理やりなキャラじゃなくて、ちゃんと立派に成長した息子がいる。またその息子が「独身になって10年だろ」などと言ってくれる良く出来た子で、溺愛のダメ親父ぶりが可愛らしく映ります。そして彼といよいよ・・・の部分はご覧になってご確認を。

 

 今回ジュリア・ロバーツは男優に恵まれました。残念ながら彼女とバランスを保つ男を見つけてくるのは実は難しい。「プリティ・ウーマン」の頃からおっさんと共演してきたけれど、とにかく年上でないと男優さんが子供に見えちゃうんだよねぇ。ヒュー・グラント(「ノッティングヒルの恋人」)やジョージ・クルーニー(「オーシャンズ1112)でさえなんか物足りない。「アイ・ラブ・トラブル」のニック・ノルテイくらいのジジイでちょうどって感じなのです。 しかし今回は彼女と美貌でつり合う年下のジェームズ・フランコ(「スパイダーマン3」がウソみたいに自然)も、変身したリチャード・ジェンキンスも、ラテン系色男役のハビエル・バルデムも申し分なし。「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」では彼女の美貌を堪能できなかったけど、現在進行形の等身大の代表作をジュリア・ロバーツは手に入れました。

 

 ジュリア・ロバーツが主演だし、ソニー・ピクチャーなんだけど、ミニシアター系っぽさは好感度高し、「ホノカワボーイ」が近いですかねぇ。ちゃんと21世紀の“時代記号”も入っていて、ネットで援助を呼びかけるトコは良かった、あれがなくちゃ“今の映画”にならない。最新テクノロジーにこき使われている光景は、日々目にしていて“げんなり”するけれど、たまに使う程度が健全。正直10代の若者には「おばさんの自分発見なんて」と言われてしまうかもしれないけれど、同い年の彼女に勇気づけられた。癒し効果があったかどうかは分からないけど、観ていてホッとして、笑って、清々しくなって劇場を後にできます。

 

現在(9/19/2010)公開中
オススメ★★★★☆

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  それでも恋するバルセロナ 

 

 映画作家ウディ・アレンの海外シリーズ。ニューヨークを拠点に国内で撮ることが多かった、役者から好かれる監督ナンバー・ワン。その男がただの観光映画を撮るわけはなくて、スカーレット・ヨハンソン、ペネロペ・クルスをダシにして、バルセロナを素敵に描写。もちろん象徴的な“現地の人”としてハビエル・バルデムとペネロペ・クルスの情熱夫婦ぶりは笑えます(ホントに結婚しちゃったもんな)。

 

 しかし2人の注目女優ではなく、彼女たちに比べると地味目に見えるレベッカ・ホール に華を持たせるところはさすが。「男と女の不都合な真実」とか「あなたは私のムコになる」のような幼い恋愛映画にしないのは、ウディ・アレンの手腕で、ロケーションがバルセロナである必要があったのもうなずけます。それにしてもハビエル・バルデムの変貌はスゴイ、なにせ「ノーカントリー」のイメージが強かったから、ビックリしましたね。
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