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私の中のあなた

私の中のあなた  私の中のあなた

 

 最近のアメリカ文学は優れた作品に恵まれているらしく、「リリィ、はちみつ色の秘密」には本当に泣かされてしまったけれど、今回も実に“得がたい時間”を過ごせた秀作が誕生。ニック・カサヴェテス監督の「私の中のあなた」は素晴らしい。現代の文学は“実話を基にした作品”とか“ドキュメント ”に溝を開けられちゃったのかな?と思っていたけれど、2本の優れた作品が“映画の素材”として、文学がまだまだ有効であることを証明してくれました。

 

 邦題は詩的ですけれど、原題は即物的で、“my sister's keeper”となっております。「21世紀の医療は“ドナーを人工的に産む”まで進化している」という恐るべき現実と、それを日常としている合衆国。「闇の子供たち」でも触れられていた臓器移植にまつわる事柄は、もう身近な“考えなくちゃいけない”問題なのですね。ただ本当のテーマは現代の医療批判でもなんでもなくて、不変的な“家族の絆”。また現代の家族をテーマにするからこそ、この題材が必要だったともいえます。

 

監督のニック・カサヴェテスは実体験を基に「ジョンQ」でも医療を扱いましたけれど、描き方はハンパじゃないですね。その “生々しい描写”には目を背けたくなる。“抗がん剤”を使用された姉=ケイトがやつれ、衰えていく様は正視に耐えない。しかし口当たりの良い描き方をしたって、病人を抱えた家族の姿は観客には伝わりませんものね。それにしても本当にかわいそうで見ていられなかった。

 

 さて難病で見ていて気の毒な姉とは対照的に、元気だけどある意味“親のエゴ”によって産み出された妹は弁護士を雇って親を訴えます。もちろんワケがあってのことなんですけれど、それはぜひご覧になってご確認を。妹に扮したアビゲイル・ブレスリン、「リトル・ミス・サンシャイン」の女の子が、いつの間にか「幸せのレシピ」「幸せの1ページ」と着実に成長して“しっかり娘”が板についてきた。またついに“お母さん”役になったキャメロン・ディアス「マスク」から「メリーに首ったけ」「チャーリーズエンジェル」を経て、キチンと芝居が出来る女優であることを証明してみせました。

 

 それにしても子供が頼るのが弁護士(「依頼人」と良く似ている)、家族のことをゆだねるのが判事(「再会の街」のドナルド・サザーランドと同じく、演したジョーン・キューザックはどこか“おごそか”)というのはいかにも合衆国ですね。以前だったらSFが扱うような題材なんだけど、今や現実。ただ基本的に「アイ・アム・サム」「綴り字のシーズン」「フェアリー・テイル」「ボビー・フィッシャーを探して」、などに通じる“家族のお話し”ですから素晴らしいのです。

 

現在(10/11/2009)公開中     
オススメ★★★★★

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  ジョンQ-最後の決断-

 

 感動作としても、サスペンスとしても成立する人間の“魂の叫び”を描いている素晴らしい1本。アメリカ医療制度の不公平を、監督のニック・カサヴェテスの実体験を元に赤裸々に語っております。監督の熱意に主演のデンゼル・ワシントン 以下、豪華演技派も応えており、特にジェームズ・ウッズの芝居はファンとしてはたまらなかったですね。小さいお子さんをお持ちの方には特にオススメ。
オススメ★★★★☆

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