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イングロリアス・バスターズ

イングロリアス・バスターズ   イングロリアス・バスターズ

 

 人類の敵=ナチ(ドイツ人じゃない)をぶっ殺す特殊部隊が主人公で、ブラッド・ピットが主演。とことんB級ラインを追及しているから、「ワルキューレ」が超えられなかった“一線”を軽々とまたぎ、滅茶苦茶な展開を経て、善悪もくそもない、もうやりたい放題。燃え上がる映画館、機関銃の雨あられにさらされるナチ、良識ある人々の“非難轟々”を待ち構えているような作品。コーエン兄弟「バーン・アフター・リーデイング」)だってここまで確信犯的に駄作(って言われます間違いなく)に心血を注いだりしない。だてに「パルプ・フィクション」やら「キル・ビル」の監督はしていないですね。まさにわが道を行く個性派。

 

 冒頭はどういうわけかマカロニ・ウェスタン風で(ここで笑っちゃうんだけど)、ナチの極悪非道とバスターズの野蛮極まりない蛮行(頭の皮をナイフで削ぎとったり、バットで殴り殺したり)も描かれるんだけど、延々と登場人物たちはおしゃべりを繰り返す。観終わった後、USネイビーが(横須賀で観たもので)「セリフ多すぎっ!」“too much dialogue!”って言ってたけど、この作品のポイントは案外ここにあるかも。というのは多言語のヨーロッパじゃあ、あんな風なんだろうなぁと想像できる。これはチェ・ゲバラ2部作(「チェ28歳の革命」「チェ39歳別れの手紙」)でスティーブン・ソダーバーグがこだわったことなんですけれど、原語でいかなければ、出せない雰囲気というのも確かにある。それにしてもあれだけ画面いっぱいの字幕は初めて見た。

 

 さて、延々と繰り返される無駄なおしゃべりで退屈かといえば、そんなことはなくて、その間中“おフランス女優”メラニー・ロラン のアップで観客に大サービス(ま、女性にはまったく関係ないですけれど)。映画マニアだけに可燃性フィルムを仕掛けに使ったり、掘り出し物映画の引用だらけだったり、徹底してます。だいたいこの作品自体どこをどう見ても、ナチス・ドイツに対抗する “戦意高揚映画”で、21世紀にスター!ブラッド・ピット 主演でこんなもの作ろうという根性がスゴイ。しかし意味とか興行収益を追求する作品が多い昨今、この無意味さこそ貴重なのです。

 

 看板のブラッド・ピット やダイアン・クルーガー(どういうわけかインディペンデント「ハンティング・パーティ」「マンデラの名もなき看守」が好きな美人で、才女=三ヶ国語以上話せる)をダシにして、“知られざる実力派”の知名度を上げるのはお得意のタランティーノ監督、今回はナチの象徴とも言うべき“ユダヤ・ハンター”に扮したクリストフ・ヴァルツと、監督がメロメロなのは火を見るより明らかなメラニー・ロラン嬢は今後売れっ子でしょう。いやはや不道徳なんだけど、痛快でしたね実にひさしぶりに。

 

現在(11/22/2009)公開中 
オススメ★★★★☆

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関連作

パルプ・フィクション パルプ・フィクション

 

 とにかく有名人大量出演の豪華巨編で、今(2010年)や伝説の一本。上映時間はけっこう長いけれど、ぜんぜん退屈しない。そういや同じ日に「ショート・カッツ」 も観ているけれど、豪華な2本立てだったわけだ。サミュエル・L・ジャクソンジョン・トラヴォルタが延々とジャンク・フードのことを“議論”したり、ビング・レイムスがカマ掘られちゃうとこはブルース・ウィリス 込みで抱腹絶倒。クリストファー・ウォーケンが真顔で話す“お父さんの時計”のトコも、ハーヴェイ・カイテルが後始末にくるトコも、挙げればきりがない映画好き大満足の1本。またしょーもないギャグ満載で撮ってしまった、クェンティン・タランティーノの一番のお気に入りはパッケージの表紙にもなっているユマ・サーマン。で、彼女の出番はなんとオーバー・ドーズ(麻薬の過剰摂取)でぶっ倒れちゃって、トラボルタをてんてこ舞いさせる元女優くずれ。いやはや最後の一言、「ケチャップ」は何ともいえない感じ。
オススメ★★★★★

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  生きるべきか死ぬべきか

 

 映画通がこぞって“ベスト10”にあげるのもうなずける。このギャグの間合いは芸術だ。緻密に練られた形跡すら認められない本物。体裁は戦争コメディ なんだけど、サスペンスフルな展開もあって、そこに笑いの要素が自然に盛り込まれている。こんな芸当が出来る監督はなかなか現れないわけですね。クエンティン・タランティーノが好きで好きで仕方ないのも良く分かるし、リメイクは不可。オリジナルのフィルムをリマスターすれば、ぜんぜん観ることが出来るクォリティ。「イングロリアス・バスターズ」は本当のオマージュ。個々のギャグを模倣することは、まったく意味をなさない。外枠を頂くだけで十分なのだ。総統をはじめナチスを徹底的にコケにしている。チャップリンの「独裁者」は感動でしめくくるんだけど(ホントに泣いた)、こちらはアッサリ粋な終わり方でどっちも素晴らしい。ホントは名作に触れたくないのだけど、あまりの面白さについ・・・。コレを観た後でタランティーノのアレを観ていたらと思うと残念で仕方ない。
オススメ★★★★☆

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