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チェ39歳別れの手紙

チェ39歳別れの手紙  チェ39歳別れの手紙

 

 前作「チェ28歳の革命」ではフィデル・カストロ氏と共にキューバ革命を成功させるまでが描かれました。本作ではチェ・ゲバラ氏が死に至るまでが、彼の日記を基に忠実に再現されているのだそうです。パンフレットで監督のスティーブン・ソダーバーグが語っているように、本来描きたかったのはこちらの方で、かなり力の入った素晴らしい出来栄え。しかし観る人によっては“手抜き”しているかのような静かな場面が連続します。実はココが肝心。

 

 革命が成功したキューバを後に、ボリビアに渡って革命を起こそうとゲリラ活動をしていた彼が軍に捕えられ、処刑される。映画として幾らでもドラマティックな展開が可能なのに、敢えてそれを捨て、彼の実像に迫ろうとする描写は高度な技術を必要とします。風がそよぎ木々を鳴らし、虫の鳴き声が響く中、ゲバラに扮したベネチオ・デル・トロ は殆ど小声のごく普通の会話に終始(「21g」 以来の名演!)。

 

 確かに銃撃戦も展開されますし、アメリカの後ろ盾を得たボリビアの大統領が、CIAを使って画策する場面も登場するのですが、全編に詩情すら漂う静かな雰囲気に引き込まれていきます。革命家を描く映画となると人々を演説で鼓舞し、率いる場面は当然のように挿入されますが、この作品には全く出てこない。それはチェ・ゲバラ氏が本当に人々の為に革命を起こそうとしていた人物であることを強く印象づけます。

 

 今年「007/慰めの報酬」でも先進国の“悪党”がボリビアを喰い物にしているお話しでしたけれど、40年前の出来事なのに事態は21世紀の今日でもあまり変わっていないようです。チョムスキー教授 によれば合衆国の中南米に対するテロ行為は依然として無くなっていないんだそうで、ゲバラ氏の訴えていたことは“かつて”のことではなく“現在も継続中”のことなのでしょう。確かに彼は敗れたけれども、その理想を求める“信念”は永遠なのですね。あれだけ静かな2時間の映画なのに全然退屈しなかった、まさに傑作です。

 

現在(2/1/2009)公開中 
オススメ★★★★☆

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 モーターサイクル・ダイアリーズ

 

 ある意味では“チェ2部作”のプロローグといえる作品。若き日のチェ・ゲバラを描く青春ロード・ムービー。若者が“外の世界を見てみたい”と欲するのは万国共通みたい。アルゼンチンから出発して、チリ、ベルーなどをバイクで移動するはずが、途中で壊れちゃって徒歩で旅する羽目になる。しかしお坊ちゃん育ちのゲバラはめげるどころか、若さでもって先へ進む。山あり谷ありの旅程が、後の革命家に様々な影響を与えたことは紛れもない事実。南米の美しい風景も絶品だけど、対象的に過酷な現実の中を旅する2人。隔離病棟の部分は医者の卵であったゲバラを描く場合重要で、最も印象的。

 

 だんだんチェ・ゲバラの顔になっていくガエル・ガルシア・ベルナル(「アモーレス・ペロス」から着実に成長)はさすが。読書を欠かさないマジメな若者だけど、人を引きつける魅力を併せ持っている。なんと年食ってても万年映画青年しているロバート・レッドフォードが製作総指揮。自身で監督したかったんじゃ?それくらい魅力的な題材だけど、監督のウォルター・サレスでなければならなかった。本当に魅力的な人だったんだなぁと痛感、彼の日記が元になっているのにね。
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