ウォーリー
「トイ・ストーリー1&2」、「モンスターズ・インク」までは観ていたけれど、その後ご無沙汰だったピクサーのCGアニメ。ま、今となってはCG映像は映画の中で溢れているし、題材が子供向けなので敬遠しがちだったのがその最たる理由。しかし今回はまず題材に引きつけられてしまったので、いそいそと劇場に行くことに。結果は大満足のSFラヴ・ストーリーの1本となっておりした。冒頭まず驚かされるのは人類が見捨てた地球で、見渡す限りのゴミの山。その光景たるや圧巻でしたね。
「ベオウルフ」の時もそうでしたけれど、非常に精緻に描かれたCGは、実写を見ている錯覚に囚われます。健気なお掃除ロボット“ウォーリー”がコツコツ処理している場面は秀逸で、「アイ・アム・レジェンド」を超える現実的な未来像。しかし好きになっちゃった“イヴ”にくっついて銀河の果てへと宇宙旅行するシーンは一転してファンタジックで、目を見張るステキな映像。
ココのところくらーい近未来が主流の現実路線SFとは一味違います。ところが待っていたのが恐ろしく現実的な未来で、銀河の果てで暮らしている人類は1人の例外なく肥満体で、ベッドに横たわり、常時テレビを見ている。もしCGじゃなかったらかなりグロテスクな光景で、一歩間違うとあの「マトリックス」になっちまいそう。見ているチビッコたちにはそれほどピンとこないかもしれませんけれど、大人が見るとかなりキツイ描写。
さて幾多のトラブルを経て希望を感じさせるラストで締めくくってくれる本作ですが、そこに至る過程で見せつけられる光景は実に新鮮なSF映画として成立しております。確かに「スターウォーズ」 と「スタートレック」 と「2001年宇宙の旅」を踏襲しているお行儀のいい作品かもしれませんが、700年後のこの未来像は今まで見たことがない出来だと思います。子供向けだといって侮れない。
更に喋ることが出来ないロボットが主役ですから、全編無駄なセリフ(ほらあのありがちなオーバーなやつ)が削られていて、映像を堪能できる実に映画的な1本と言えましょう。ま、SFの設定としては突っ込みどころがあるのは仕方ないですけれど、子供向けのCGアニメに目くじら立てたってねぇ・・・。
恐らく子供たちはロボットの動きに魅せられるでしょうけれど、大人もそのSF世界と健気なロボットのラヴ・ストーリーを十分に楽しめる一本。「なんだ子供向けだろ」と言って見ないのはかなり損ですマジで。
現在(12/5/2008)公開中
オススメ★★★★☆
関連作
おもちゃを大切にしましょう、という泣かせるテーマが根底にはあります。ですけれど、この手のおもちゃで遊んでいたのは今の子供たちより大人の年代の方々ではないでしょうか。今はお人形さんよりもITを駆使した玩具が主流ですものね。ですからぜひお子さんをダシにお父さん、お母さんご覧になってみてはいかがでしょう。
オススメ★★★★☆
第1作のおもちゃを大切にというテーマは引き続き根底にあるのですけれど、今回はおもちゃたちの冒険が描かれています。そしてプレミア云々といった現代人の病もさりげなく投影されていて、つくづくこの物語が子供向けには勿体ないと思います。ぜひ一度お試しください。個人的にはバズ・ライトイヤーは好きですね。
オススメ★★★★☆
英語版に限られちゃうんですけれど、声の出演の2人ジョン・グッドマンとビリー・クリスタルの掛け合いは大爆笑です。そして物語はどう考えても大人向け。子供と遭遇してしまったモンスター達のてんやわんやの大騒ぎと感動的な結末。ぜひ大人の方々にご覧になっていただきたい一品。特に子供嫌いの方「ふ―ん」と唸ってしまうかもしれません。
オススメ★★★★☆