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大いなる陰謀

  大いなる陰謀

 

 9.11 以来アフガン攻撃、イラク戦争と抜け出せない泥沼に浸かりきっているアメリカ合衆国。そんな状況を憂い、訴える作品はここ数年数多く作られてきました。「華氏911」 から始まり今年のオスカー 受賞作「ノーカントリー」に至るまで、無頓着に見える映画監督まで帝国アメリカの現在には無関心ではいられないみたい。そんな不健全ななか、万年映画青年のロバート・レッドフォードが撮った新作は素晴らしい。かつては処女作「普通の人々」で家庭崩壊を描き、「クイズ・ショウ」ではTVのやらせを題材にしたりして、監督としてはユニークかつしっかりした才能の持ち主。またサンダンス映画祭の主催者ですから、映画製作への情熱も並大抵じゃない。

 

 その大物映画作家が、トム・クルーズメリル・ストリープを出演させて、アメリカのここ数年犯してきた過ちを暴露させている。そして自身も大学教授役で出演し、合衆国が失ってきたもの、今抱える問題を浮き彫りにしてみせる。教育の低下や政治家の無能、個人のプライバシー侵害、誹謗中傷しかできない無意味な報道の存在は何もこの国だけの問題ではないのですね。トム・クルーズのいかにもエリート出身の政治家にありがちなものの考え方や、政治手法は本当に生々しい。またメリル・ストリープ扮するジャーナリストは政治に加担したメディアの代表的存在として糾弾される。この2人の芝居だけでも一見の価値あり。

 

  政治、教育 、報道、を経て実行者、つまりは戦場に赴く“現場”の人々が辿るあまりにも悲劇的な結末は、見ているものの胸を締めつけます。兵士の1人を演じたマイケル・ペーニャは「クラッシュ」 、「バベル」「ザ・シューター/極大射程」と出演作が続いてどれもなかなかの芝居を見せてくれる今後楽しみな役者さん(そういえば「戦争のはじめかた」 にも出ていました)。彼は本当に尊い1人の人間を体現しています。

 

 スターで演技派の2人と若手演技巧者、それぞれの個性を発揮しつつ現在の世界の相を映し出す。そこまででしたら昨今よく作られる一本の一つに終わってしまっていたでしょう。しかしながら見終わって勇気を得たような気になるのは、やはり監督の力量ではないでしょうか。多面的に人々を描き、アメリカの現在を鮮やかに切り取ったオスカー受賞作「クラッシュ」 さえ超える何かがこの作品にはあります。年季の違いとはこういうところに出てくるものなのでしょうか。上映時間もコンパクトだしね。とっくに爺さんのはずなのにロバート・レッドフォードの感性は若々しいなぁ。

 

現在(4/18/2008)公開中
オススメ★★★★★

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  チャイナ・シンドローム

 

 “原子力発電所の危機管理”に警鐘を鳴らす重要な1本。見る前はスリーマイル島の原子力発電所の事故が起こってから作られたと思っていたから、違和感を覚えました。しかし公開後に事故が発生して、一発でヤバイ作品に。製作もしているマイケル・ダグラスは入魂の芝居で、ロバート・レッドフォードに負けない反骨精神が滲み出ている。この時代(70年代)の“美人の典型”をジェーン・フォンダが演じているんだけど(フェイ・ダナウェイかと思った)、出演すること自体がリスキーだったのですね。美人キャスターの役割は21世紀とさほど変わらず、美味しい仕事に就きたいなら、ヤバイ仕事はパスしなさいと上から言われる。

 

 しかし結果としてのめり込んでいってしまう。そしてなんと言ってもジャック・レモンがかっこよい。「サブウェイ・パニック」のウォルター・マッソーともども現場責任者にして技術屋の役はピッタリ。「タワーリング・インフェルノ」のようなヒーロー、ポール・ニューマン&スティーブ・マックィーンには一歩譲るかもしれないけれど、素晴らしい。完璧な計算も運用する人間しだいで一気に崩れ去る。資本主義=欲望:商人主義は命を軽んじ、人心を荒廃させる。あくまでテーマは“扱っている人間”に絞られているので、単純な原発反対ものではありません。
オススメ★★★★☆

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