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 なんだ窪塚洋介の映画だろっと言って見ていなかった「ピンポン」 を、最近この作品の予習にと覗いてみたらビックリ、実に面白い。宣伝が過剰だからといって駄作とは限らないんですねぇ。で、その監督である曽利文彦の名前は「アップルシード」「ベクシル2077日本鎖国」の人という認識だったので、映像を楽しませてくれるのは間違いないはず。そんなわけで期待を膨らませて劇場へ、見事大満足の1本でしたね。

 

 年配者なら“常識”のヒーロー“座頭市”を、最新VFXを駆使してちゃんと仕上げてある。もちろん新世代の時代劇ですから、古き良きオーソドックスなチャンバラにはなっていませんけれど、キッチリ“21世紀”の映画として再生。実は主流の時代劇の影であんまり話題にはなっていませんけれど、何本かは現代の観客にもアピールする作品がチラホラあります。是枝裕和「花よりもなほ」も良かったし、日本映画の古典をリメイクした「丹下左膳 百万両の壷」だって“今”観ることが出来る時代劇として成立している(この2本はオススメ)。

 

 さて今年(2008年)、とにかくもう次から次へと主演作が公開されている売れっ子、綾瀬はるかちゃん。見事盲目の居あい抜き達人に変身。いくら売れっ子だって1年の間にサイボーグやったり、座頭市やったりする人はあんまりいません。ま、それだけ芝居も出来るフォトジェニックなんですけれど。この人の場合、映る角度によって本当に表情というかその相が違って見えるのが特徴で、「僕の彼女はサイボーグ」にしてもこの作品にしても、この人抜きには成立しないまさに本物の映画女優なんでしょうなぁ。前世紀では考えられない売り方。広くアジアを見渡したってそうそういるもんじゃない。

 

 で、引く手あまたの売れっ子を、見事悲しい運命を背負った居あい抜き達人に仕上げたのが監督の曽利文彦。殺陣の部分は本人の努力もさることながら、VFXとカメラワークを駆使して息を呑む瞬間を次々に連発。時代劇ですからここんとこがなくちゃあ始まらないわけです。しかしながらただのヒーローチャンバラでは観ていて引き込まれたりはしない。この作品ではキッチリ市の盲目の不自由さとか、差別とか、乞食みたいな身なりとかが描かれている。

 

 ここは肝心な部分で、かつて「七人の侍」を観た時もテレビの時代劇とはエラク違って、出てくる人間の着ているものが余りに粗末なのにビックリしたのを良く覚えています。もちろん人権などという概念のない時代の話ですから、不自由な人間は容赦なく差別される。それはこの作品の冒頭がよくあるカッコ良いシーンからではなく、食べ物を恵んで貰おうとするところから始まっていることからも分かります。完全娯楽活劇を貫いた北野武「座頭市」とは違うのがココ。市の悲しい物語があってこそ成立している。それにしてもはぐれものとか“不具者”とか怖くて避けて通る表現者が多い中、よく挑戦したものです。よかったなぁ。

 

 海外でもルトガー・ハウアーが「ブラインド・フューリー」 (レンタルありませんごめんなさい)で演じたこともある著名なヒーローを、21世紀の人間が見ても納得の映像クォリティで蘇らせたこの1本、オススメです、特に若い人には。

 

現在(10/26/2008)公開中
オススメ★★★★☆

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関連作

  ピンポン

 

 窪塚洋介主演ということで侮ってたことを後悔。抜群に面白いピンポン・エンターテインメント。見応えのあるものにしている功績は、もちろん数々の賞を獲得した中村獅童の怪演が第一。でも楽しかったのは「ワンダフルライフ」では美貌全開だったARATAが、地味にペコのライバルの位置にいるところ。後に「アップルシード」の監督をする曽利文彦のだけに、CG技術をフル活用のピンポンマッチもスリリング。SUPERCARの主題歌も悪くなかった。でもギャーギャーわめいている窪塚洋介が一番面白くて、チューチューとコンデンス・ミルク飲んじゃってるところは爆笑。この辺のセンスは脚本で参加している宮藤官九郎のものか。でもやっぱり天才なのだと納得させてくれる結末は素晴らしかった。
オススメ★★★☆☆

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  あずみ

 

 宣伝文句は“少女にして刺客”、原作の小山ゆうは「がんばれ元気」 が大好きだったけど、けっこう時代劇ものが得意みたい。ところが売り出し中の監督、北村龍平の手にかかると、斬って、斬って斬りまくるチャンバラ・エンタテインメントに変身。主演の上戸彩ちゃんも大健闘で、監督の編集に助けられてかものすごい立ち回りを演じきってます。最後の方はワケわかんないくらいの大乱闘が繰り広げられますけれど、真っ白な衣装で不気味な美女丸が目立ちます(オダギリジョーはかなりはりきってた)。他の脇役も豪華だし、チャンバラ映画は日本のお家芸であることを見せつける一本となっております。山田風太郎原作の「伊賀忍法帖」にしろ、「魔界転生」 にしろこの手のちょっと捻った時代劇は以外に途絶えることなく作られ続けています。
オススメ★★★☆☆

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