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4ヶ月、3週と2日

4ヶ月、3週と2日  4ヶ月、3週と2日

 

 「誰も知らない」に賞をあげることが出来たカンヌ映画祭は、再び重いテーマを淡々と描く作品にパルムドール(最高賞)を送った。表面的にはチャウセスク政権下のルーマニアを舞台に抑圧された人々を描oいていることになっている。確かに歴史的な考証を元に正確に描写されているのでしょう。冷戦構造化の共産主義社会は、我々にとって秘密のベールに包まれていたわけですから。しかしそれはあくまで“面”であって本質的なテーマは別にあります。

 

 タイトルになった「4ヵ月、3週と2日」は堕胎される胎児の生きた時間であり、この作品は妊娠中絶を取上げている。昨今訴える作品は多いですが、観客に考える機会を与える作品はあまり多くない。一つには娯楽として成立する映画で、ある出来事をニュートラルに描くことはとても難しい。死刑制度そのものを描ききった「デッドマン・ウォーキング」などの例は極めて稀。そしてここで描かれる妊娠中絶は、淡々と描かれているからこそその様はグロテスクで、自然とその是非を考えざろう得なくなる。良いか悪いかではなくて、厳然と存在する事実をありのままに示している。

 

 特に男性は見ておくべきでしょうなぁ。無関係じゃないんだから。象徴的なシーンは“堕ろし”に来た医者とのやり取り。堕胎費用は非合法だけに高額で、呼ばれてきた医者は足りない分を性行為によって払わせる。妊娠はしていない主人公の恋人はごく普通の男で、その手の話にはやはり逃げ腰。もちろんこれ見よがしに描かない分深く考えさせられてしまいます。

 

  「誰も知らない」が“西巣鴨子供置き去り事件”を扱ったように、可能な限り事実を描出することで観客に考える契機を与える映画となっております。そういえば「それでもボクはやってない」もかなり淡々としていましたよね。でもこの国の裁判制度を考えさせられた。鑑賞後の爽快感は保障できませんが、しばらくはこの命題について考えてしまうことになるでしょう。ホント3日ぐらい頭から離れませんでした。

 

現在(3/14/2008)公開中
オススメ★★★★☆

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