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イースタン・プロミス

  イースタン・プロミス

 

 そもそも変態クリーチャー映画を撮らせたら、第一人者だったデヴィッド・クローネンバーグ。「ビデオドローム」然り「ザ・フライ」然り。近未来SF「クラッシュ」、「イグジステンス」)だろうと有名カルト作家の代表作(「裸のランチ」)だろうとネチネチとした、何ともいえない不気味世界を展開。根強いファン層があるのは事実。そしてそんな映画に結構有名どころの俳優が嬉々として出演するのもこの人の特徴。

 

 ところが前作「ヒストリー・オブ・バイオレンス」には不気味な描写は影を潜め、人間を描写する方にシフトしているように見える。ま、あくまでも比較の問題なんですけれど、主演のヴィゴ・モーテンセンを得たことはある種の転換になったのかも。「アメリカン・ギャングスター」リドリー・スコットにしても、ヴィジュアルが評価され続けていたけれど、いよいよ円熟期に入ってきたんでしょうかねぇ。

 

 で、この作品は主演が続けてヴィゴ・モーテンセンだけに前作と比較されそうですけれど、様相はまるで異なります。主演自体が前作と見分けがつかないくらい変貌しているのと同様、扱っている題材が現実に進行しているやばいネタ。前作で多少は残っていたマンガチックな部分が皆無。タイトルのイースタン・プロミスとは貧しい東欧の女性が、人身売買される際に使われる言葉だそうですが、それに加えてロシアン・マフィアが描かれている。それらマフィアに扮した面々の凄みは、ごく日常的な中に溶け込んでいるだけに生々しい。刺青がねぇ、ホント怖いんですよ。

 

 また展開されるドラマは現実に起こっている人身売買に加えて、「フェイク」「ディパーテッド」の要素をはらんで進行するので、退屈しません。もっともサスペンスを強調するのではなく、あくまでイギリスで実際に起こっている“闇の部分”に焦点が当てられているのが肝。そのドラマ成立にヴィゴ・モーテンセンもナオミ・ワッツも欠かせない要素。マクロな社会的問題を問う作品は多いですけれど、ごく日常的に行われている問題に焦点を当てたドラマは少ないですから、この作品は貴重でしょう。この国にだって海外からの人身売買を請け負っている組織はあるんですから。

 

 「ロード・オブ・ザ・リング」から一転して「ヒストリー・オブ・バイオレンス」では善良に見えて実は・・・という役に挑戦した芸達者ヴィゴ・モーテンセン。今回はそれとは×××の役で・・・、それは見てのお楽しみ。イギリスの暗部をえぐったまさに大人向けの一品いかがでしょう。ただし暴力描写はスゴイのでお覚悟を。

 

現在(6/24/2008)公開中  
オススメ★★★★☆

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関連作

  デッドゾーン

 

 今を去ること20年以上前、周囲にいた映画通はこぞって褒め称えていた1本。もちろん映画好きだけにとどまらず、スティーブン・キングのファンも「見ないでどうする」と言っていた。さて今(2011年)見たらどうかというと、やはり連中の言っていた通りだと痛感。“超能力もの”として優れているだけでなく、アメリカ文学としても素晴らしい。冒頭先生役のクリストファー・ウォーケンが意外にまだ若くて、初々しさを残していることに驚き、生徒に「スリーピー・ホロウ」を読んでねと言っているのに失笑。この時は後に出演するなんて思ってもみなかったに違いない。

 

 スティーブン・キングに重要な風景もきっちり描いているクローネンバーグ。「ザ・フライ」、「ビデオドローム」のイメージを払拭して、コレと「ヒストリー・オブ・バイオレンス」「イースタン・プロミス」と連続して見たら印象はずいぶんと違ってくるハズです。スタンリー・キューブリック(「シャイニング」)の後にキング原作に挑むのだから野心的。

 

 それにしても「ヒストリー・オブ・バイオレンス」とそっくりなシーンに驚いた。それだけでなく「ピンクパンサー2」のドリュフェス署長=ハーバート・ロムにも。こん睡状態から目覚めると、他人に触れただけでその人の未来が見えてしまう超能力を得た主人公。透視だけだったら霊能力者と変わらないけれど(「ビューティフル」「シックスセンス」「ヒアアフター」)、彼が見てしまう未来に、文学者スティーブン・キングが込めたものが重要。

 

 この作品以降日常化した猟奇殺人などは彼が“先を見据えている”作家であることを証明。さらに来るべき危機をも・・・。もちろんそこはご覧になって御確認ください。キングがせっかく警鐘を鳴らしてくれたのに、21世紀の合衆国国民は誤った人物を大統領にしてしまった。パラレル・ワールドの“暗い未来”を我々は生きているのかもしれない。

 

 「ジャンパー」と比較するとハッキリしているのは主人公のキャラクター。天から与えられた能力を己の為に使うのか、皆の為か。もちろん監督は観客に対して、説得力を持たせるためにキャラクター造形をするわけだから、80年代は“自らを犠牲にしてでも”で21世紀は・・・。20年を経過していかに世界が荒んだかではなく、個人主義、資本主義がどれだけ世界に行き渡ったかは、2作品を並行観賞すると実感するかも。 
オススメ★★★★☆

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