関連テーマ

 

サイドボックス

ここにテキスト


出し

チャーリー・ウィルソンズ・ウォー

チャーリー・ウィルソンズ・ウォー  チャーリー・ウィルソンズ・ウォー

 

 TVニュースが当てになんないので、1800円払って世界の実情を知る昨今。とにかくここ数年この種の作品をけっこう観てきた。良いか悪いかは別にして、大人が見る価値を認める映画となると、どうしてもそういう傾向になるみたい。実際映画監督だって世捨て人ではないのですから、今のこの収拾のつかない混沌とした世界に“意義ある”作品を産みたいと思うのは人情。そしてそんな企画に既に富を得たスターがぞろぞろ出てくるのも肯ける現象。「マイティ・ハート愛と絆」しかり「再会の街で」しかり「大いなる陰謀」しかり。

 

  この作品でもトム・ハンクスジュリア・ロバーツフィリップ・シーモア・ホフマン (「カポーティ」 )がその実力を存分に発揮。デタラメ議員に、大富豪の美女に、うさん臭い凄腕CIAエージェント 。それぞれハマッていて恐ろしいくらい。ジュリア・ロバーツがちっとも美人に映っていないんだものな。

 

 物語の背景にあるのはソヴィエトがアフガニスタンに侵攻、かの国を蹂躙した時代。CIAを通じてアフガン・ゲリラを訓練して立ち向かわせた事実を、バッチリ描いている。皮肉にも後の敵を自ら育てていたんですねぇ。ただ非難できるのは20年後に生きている我々ゆえで、当時は賞賛されてしかるべき行動だったのではと思います。この作品でも“批判”は口にされていない。

 

 いい加減な議員でも難民キャンプを見ちゃったお陰で国の予算をぶん取り、ソヴィエト軍を蹴散らす武器をイスラエル、エジプトをたきつけて大量に輸出。見事撤退さてしまうあたりはすごいとしか言いようがない。アフガン・ゲリラにスティンガー・ミサイルを持たせて秘密兵器“ハインド”(攻撃用ヘリ)を片っ端から撃墜するシーンは圧巻。並みの戦争映画より“今の戦争”を描いているヤバイ代物。だって熱感知ミサイルにヘリが弱いことは「ブラックホーク・ダウン」 でも出てきましたけれど、あんまり知らせたくない事実ですもんね。

 

 ここのところアメリカの良心を代弁するような役が多かったトム・ハンクス、既に大スターの代名詞的ジュリア・ロバーツ共々決して清潔とはいえない人物をむしろ明るく、颯爽と演じているのはさすが。フィリップ・シーモア・ホフマン は相変わらずの曲者演技。そんな中にあって1人だけマトモに映る秘書役のエイミー・アダムス は本当に輝いて見える。だてに「魔法にかけられて」 でお姫様役は演じていない。そんな一服の清涼剤も含めてたいした作品に仕上げたマイク・ニコルズ(「シルクウッド」 )はすごい。現代の問題にも繋がる隠蔽されてきた歴史的事実を、映画として見事昇華させてしまっています。熟練の技ですな。

 

現在(5/21/2008)公開中         
オススメ★★★★☆

Amazon.com

DMM.com

 

前のページ  次のページ

 

top

 

関連作

  シルクウッド

 

 メリル・ストリープが可憐に、チャーミングに画面に映っている稀有な作品。だが内容は恐ろしく生々しい放射能汚染に関するもの。核燃料の製造過程を描いた作品としても貴重ですが、プルトニウムの危険性を訴えるメッセージが込められている。中身が余りにも深刻だからこそ、“女優根性”そのものの演技派がその美貌を封じることなく、主人公カレン・シルクウッドを活き活きと演じるのも分かる。

 

 もし“真摯に描かなければならない”という義務感に貫かれてしまうと、途端に目を楽しませる要素は激減し、観続けることがしんどくなります。けれどもさすがはマイク・ニコルズ監督といったところでしょうか、過度に訴えるだけの作品にしていない。監督の要望をキチンと把握して大女優も可愛らしく演じています。こんなメリル・ストリープは初めてだけど、ホントに怖かった。
オススメ★★★☆☆

Amazon.com

DMM.com

 

ホームページ テンプレート フリー

Design by

inserted by FC2 system