クローバーフィールド/HAKAISHA
パニック、モンスター映画 共にネタに困っている昨今。新手の怪獣を出そうが、CGを駆使して天災を描こうが、お客さんをあっと言わせるのはかなり難しい。で、「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」 の手法で怪獣映画を撮ってみたら・・・、これがなかなかに上手くいったんですね。スタッフ自身が認めているように、ニューヨークを蹂躙する巨大生物は紛れもなく「ゴジラ」。もちろん登録商標を使っちゃうと予算が高騰するし、仕掛けがバレちゃうので、予告編やらネット上でメディア・ミックス広告を打ちつつ、見事“開けてビックリ玉手箱”になっている。
素人が撮ったテープが元ってことになっているので、これ見よがしの伏線などは吹っ飛ばすことに成功。見ている我々はいきなり轟音と共に、遠くで火柱が上がったかと思えば、突然目の前に自由の女神の顔が落ちてきて、パニックの真っ只中に放り込まれる。後はビビリながら撮られたぶれるカメラを覗きつつ、恐怖を体感できます。たいていのモンスター映画 ですと、俯瞰の映像がお決まりですが、これは常に下から巨大生物を見上げる視線を維持、一体全体何が起こっているのやら・・・ここが肝心
これはスピルバーグ のリメイク版「宇宙戦争」が試みた手法を踏襲しています。また韓国の「グエムル漢江の怪物」でも用いられていましたが、攻撃総司令部の緊迫感よりも蹂躙される市民の“目線”中心の描き方は新鮮に映ります。ホント、怪獣映画にしろパニック映画にしろ好きな人は多いだけに、新鮮味を出すのは一苦労。見せ方に一ひねりした本作は成功例でしょう。また続編というか、このネタで王道の描き方(攻撃総司令部の緊迫感中心)をしたバージョンも見てみたいような・・・。
現在(4/5/2008)公開中
オススメ★★★★☆
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B級テイストてんこ盛りのすがすがしい一品。 「マッドマックス」のような舞台設定の中を傍若無人なドラゴンが火を噴いて回ります。立ち向かうのは本来は甘いマスクの二枚目《死語!》の二人。マシュー・マコノヒーとクリスチャン・ベイル。彼らが意外にもタフで熱いマッチョ男を演じているのも見所のひとつ。断然オススメ。特に男性には。
オススメ★★★★☆