潜水服は蝶の夢を見る   2/29


 アルノー・デプレジャン監督作品、「そして僕は恋をする」(すみませんレンタルありません)と「キングス&クィーン」で芸達者だなぁと感心していたマチュー・アマルリック。その彼を主演に「バスキア」のジュリアン・シュナーベルが実話を基にした感動作を撮った。と聴くとちょっと意外な感じがします。両者とも曲者で、どちらかと言うとコアなファン向けの作品を提供してきたからです。ところがこの作品はこの曲者達でなければ成立しない作品ながら、本物の感動を与えてくれる素晴らしいものに仕上がっています。アカデミー賞にノミネートされるのも肯ける。

 雑誌“ELLE”の編集長だったジャン=ドミニク・ボビーはある日突然“ロックト・イン・シンドローム”なる難病に侵され、左の目だけしか動かせなくなります。しかし彼はその動く左目だけで自伝小説を完成させる。これだけでも恐るべき実話なのですが、この作品が優れているのは映画として彼の“視線”が最大限に活かされていること。たいていこの種の難病を扱った作品では、常に見守る側の視点で描かれてきました。「レナードの朝」にしろ「レインマン」にしろ中心にいる主役の視点では描かれていない。でもたとえ身体は動かなくとも、頭脳が働く以上思考するのが人間。主役の独白は時に悲しく、時にユーモラスで引き込まれてしまいます。

 また監督は観客を飽きさせない仕掛けを駆使、彼を覗き込むのは美女また美女。奥さんも言語療法士も編集者も文句なし。特に言語療法士に扮したマリ=ジョゼ・クローズにもうメロメロ。スティーヴン・スピルバーグ 作品の撮影監督ヤヌス・カミンスキーの腕が冴え渡ります。ただこれらはあくまでも観客を飽きさせないための方便。思わず涙してしまったのは彼と父との電話のやり取り。彼の父親も老齢で家から出られず、不自由になった彼と対面することも出来ない。この動かしがたい現実は見ていて本当に切なかったですね。父親役に扮したマックス・フォン・シドーなくしては成立しない。

 フランスが舞台だけにありきたりな感動作に収まることなく、人間の尊厳をその“視点の逆転”を用いて描ききった素晴らしい1本、オススメです。

現在(2/29/2008)公開中
オススメ★★★★☆
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 レナードの朝

           
 確か日曜洋画劇場で故淀川長治氏が「俳優さんはかわいそうな役を演じたくなるものだ」と語っていたのを覚えています。実話が元になっていますけれど、二人の名優が見せる芝居がこの作品の肝。もちろんこの時は地位から言って、ロバート・デ・ニーロ が圧倒的でした。もちろん最初に昏睡状態の患者役をオファーされたのがロビン・ウィリアムズ で、デ・ニーロはその役取っちゃったんですね。しかしやり過ぎっぽいデ・ニーロとは違って、ロビン・ウィリアムスの控えめで、シャイな感じはかなり印象的でした。普段はノンストップでギャグ全開なのに芸達者です。
オススメ★★★☆☆

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