マイティ・ハート愛と絆      
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 ブラッド・ピットが惚れ込み、アンジェリーナ・ジョリーが主演」という話題だけでこの作品を観ないで済ましてしまうのは、ずいぶんと勿体ないことです。まずこの国で生きている限り得られない世界の姿と、真に素晴らしい1人の女性を目撃することが出来るからです。実話に基づく恐ろしい事件ではありますけれど、目を逸らしていては世界の現実を知ることは出来ない。

 事件は2002年にパキスタン、カラチで起きた実際のもの。ウォール・ストリート・ジャーナルの記者がテロリストに拉致され、その後むごい殺され方をした。この国でもその“むごい”部分は人々の注目を集めるので、大々的に報じられましたけれど、後は知らん顔。そりゃあそうです、伝えようにも基本的に世界のことを知らなくちゃ理解不能の事態。イスラム教のこと、ユダヤ人のこと、モサド(イスラエルの情報機関)のこと、パキスタンのことなどなど。しかし心を打つのはその複雑で困難な事態に対処していく人々の姿です。これだけは同じ人間なら良く分かること。そしてその中心にいるのがアンジェリーナ・ジョリー扮するマリアンヌ・パール。妊娠していながら、拉致された夫の捜索に果敢に参加していくその姿は実に強い。タイトルがマイティ・ハートになるわけです。またアンジェリーナ・ジョリー が本当にこの役に入り込んでいるのが良く分かる。「トゥームレイダー」とか「Mr.&Mrs.スミス」だとゴージャス美人ですけれど、まるで普通の女性に見える。それだけでなく実際のマリアンヌ・パールにそっくり。まさに実力を持った本物の女優です。

 そしてこの作品に最も肝心なのが監督のマイケル・ウィンターボトム。彼なくしては決して成立しなかったであろうことは、「グアンタナモ僕たちが見た真実」、「イン・ディス・ワールド」をご覧になればお分かりになると思います。世界が最も注目するアメリカによる侵略行為を“現地”に行って撮影している数少ない先進国の映画監督ですから。「キングダム見えざる敵」でも似たような事を描いていますが、彼でなくてはパキスタンの警察をまっとうに描くことは出来なかったでしょう。またこの作品が意義あるものであることは、参加している役者たちが本気モードで臨んでいることでも良く分かります。主演のアンジェリーナ・ジョリーはもちろんのこと、ウィル・パットン(「タイタンズを忘れない」が分かりやすいですかね)があんなに渋く、かっこよく映っていたのを見たのは初めてだし、「ベッカムに恋して」のアーチー・パンジャビがいつの間にか大人の女性に変貌していたのには驚かされました。そして現地の捜査の指揮官とも言うべき“キャプテン”を演じたいるイルファン・カーンは素晴らしかったですね。

 ここ数年世界は悪い方向へ突き進んでいる。そんな実情を訴える映画のなんと多いこと。テレビからはブラフ(重要な真実から目を逸らさせるためのニュースらしきもの)が垂れ流されている。肝心な情報を得るのに¥1800払わなければならない。しかしこの作品は決して高くはない。だって情報を得られるだけでなく、感動まで与えてくれるんですから。本年度ナンバー・ワンかも。

現在(11/30/2007)公開中
オススメ★★★★★

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