フリーダム・ライターズ   7/27


 世界中の子供達を描いた秀作短編集「それでも生きる子供たちへ」。あの作品は計らずもそれぞれの国の有様を浮き彫りにしていました。そしてこの作品も同じく、大人の醜悪なエゴに晒されて傷つけられている高校生達が描かれています。

 舞台は1994年のアメリカ、ロサンゼルスのある高校。“あの暴動”があった二年後に、どうしようもない生徒だけが集められた教室の担任をすることになる新米教師が主人公。集められた生徒達はもう言語道断の素行不良。教室内でけんかはする、マトモに授業を聞かない。ま、この程度でしたらこの国だった同じでしょうけれど、教室の外に警備員がいたり、登校途中に銃撃戦をしたり、教室の中に拳銃を持ち込んだり・・・、ある種この世の地獄が展開するわけです。こういった生徒に対抗するには「デンジャラス・マインド」では元海兵隊の隊員だった女性が奮闘したり、「ミュージック・オブ・ハート」ではバイオリンを根気強く教えたりしました。

 そしてこの作品の主人公であるエリン・グルーウェルは日記を書かせ、「アンネの日記」を生徒達に与え読ませます。この着眼点が実に功を奏するのですけれど、その辺の細かいところはぜひご覧になって確めてみてください。必ずしも情熱だけではなく、プログラムそのものが効果的でなくては意味がない、そのお手本のような事実が展開。

 本来感動作として涙を誘うようなシーンがあっても良さそうですけれど、そういった甘さはまるでない。恐らく事実をかなり忠実に追っていったんではないでしょうか。新米教師の献身さと情熱、犠牲が描かれる一方で、それ以外の大人達の醜悪さは見るも無残に浮き彫りになっていきます。親ばかりではなく同僚の教師やら教育委員会やら。この作品が文部科学省推薦にならないわけです。自腹で教科書買ってあげる先生が主人公ですものね。このように意義ある作品に製作総指揮としても関わったヒラリー・スワンク(「ミリオンダラー・ベイビー」「ザ・コア」)はさすが、だてにオスカー女優ではない。まさに奇跡的な実話を描いた本物の感動作、素晴らしいです。

現在(7/27/2007)公開中
オススメ★★★★☆

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 詐欺師的デタラメいい加減男を演じさせるととても上手いダニー・デビィート。チビでこすっからい彼がイヤイヤ陸軍の連中を教えることになる様が微笑ましくもあり、感動的です。さすがはファンタジー・コメディの傑作 「ビッグ」 を撮ったペニー・マーシャル監督。殺伐とした中にシェイクスピアを持ち込むことで、良い映画に昇華させてしまうのでした。
オススメ★★★★☆

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