ナイロビの蜂       
                 5/21


 昨年から今年にかけて唸ってしまう作品は必ずといって良いほどアン・ハッピーエンディング。「ロード・オブ・ウォー」「シリアナ」「ジャーヘッド」「ヒストリー・オブ・バイオレンス」等など。それは主人公が死ぬ、死なないに関係なく後味の悪さを含んでいるからなのですけれど、現在の世界を見渡して大人が“美味い話”がそう転がっているわけはないと知っているから、当然のことといえば当然なのでしょう。しかし僅かながらの光明が差すというところに救いがある。この作品もまさにその典型。

 さて、以前でしたらアフリカを舞台にした作品と言えばアパルトヘイトを扱ったものがあり、「遠い夜明け」 が代表的で、「ワールドアパート」という小品ながら光る逸品がありました。主に人種差別と戦う人々が描かれていましたけれど、現在は違います。それは「ホテル・ルワンダ」でも分かるし、もっと深く追求しているのは「ロード・オブ・ウォー」。そしてこの作品も基本的には夫婦間の愛がテーマですけれど、彼らが巻き込まれるのはアフリカを食い物にする先進国のどす黒いエゴ。詳細について触れてしまうと台無しになるので伏せますが、実にありそうな話で怖い。

 さて、話変わってめでたくこの作品の演技でオスカー を受賞のレイチェル・ワイズ 。強く、美しく芯の通った女性を体現していて文句なし。でも合間に「ハムナプトラ」 とか「コンスタンティン」とかにグラマー美女ぶりが垣間見れるからこの人は良い女優なんですけれど・・・。ただ彼女だけが素晴らしいのではなく、この作品で誠実な夫を演じたレイフ・ファインズを忘れちゃあいけません。「シンドラーのリスト」とか「レッドドラゴン」とかですと悪逆な役をやりますけれど、持ち味はそれだけではありません。この人が繊細で誠実な男を演じるのを見るのは「オスカーとルシンダ」「メイド・イン・マンハッタン」以来で良かったですね。元々イギリス出身で実力はありますし、ハンサムですから当然なんですけれど、彼がいなかったら成立しなかったでしょう。

 夫婦が結果的に大きな陰謀に巻き込まれながらも立ち向かっていくという物語は「存在の耐えられない軽さ」を思わせて感動的。大人はこういう“愛”の物語でなくては満足しないのでは。

現在(5/21/2006)公開中
オススメ★★★★☆

ナイロビの蜂 [DVD]

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      ワールドアパート

          
 
アパルトヘイト(南アフリカの人種隔離政策)を扱った作品としてはデンゼル・ワシントン 主演の「遠い夜明け」 が一般的ですが、小さいながらその本質を突く秀作がこの作品です。デビュー当時のティム・ロスも注目ですが、父に去られた少女役のジョディ・メイの演技が自然で思わず涙してしまいます。しかも脚本を書いたショーン・スロボの実体験ですから。
オススメ★★★★☆
ワールドアパート[VHS]
 

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    オスカーとルシンダ

      
 
今(2006年)をときめくケイト・ブランシェットの映画デビュー作(だと思います確か)。そして演技派英国俳優のレイフ・ファインズがその本来持っている育ちの良さを役柄に生かしていてる希少な作品でもあります。物語はものすごく初々しくて、可愛くて、悲しいお話です。でも最後に登場するガラスの教会はキレイで、この作品の見所の一つ。そしてあまり知られていないだけに、ぜひオススメしたい掘り出し物の逸品です。
オススメ★★★★☆

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