リバティーン
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現存する若手スターの中では、ズバ抜けた実力と人気を誇るジョニー・デップ。前作「チャーリーとチョコレート工場」も彼なくしては成立しない作品(ホント笑っちゃいますものね)。そればかりではなく、彼が出演したことで辛うじて失敗を免れた作品っていっぱいあります、「パイレーツ・オブ・カリビアン」とか「シークレット・ウィンドゥ」とか。
ショニー・デップサマサマの現在の映画界。駄作が少ないから映画好きとしても彼の作品は安心して見ていられる。しかしながら「妹の恋人」
以来、結構彼の作品を見てきた者としてはビックリ。だってあんなにマジで芝居に入っているジョニー・デップ
を見るのは、初めてですもの。もちろん彼の作品に対する姿勢が不誠実だったことはまずないし、ちゃんと役をモノにしてしまっている。常に距離をとって演技しているから暑苦しくないし、むしろ役の方から彼に近づいているような気さえする。それが大スターのゆえんなんですけれど、今回は今までとは一味違います。
猥褻な詩人のロチェスター伯爵を演じるのにまるで入りきっている。破滅の人生を歩んだ“天才”の役に惚れ込んだのでしょうか。アル中で女好きだから梅毒に冒されて、もうボロボロになっていく貴族を壮絶に演じている。変わり者ををとぼけた魅力で演じることはあっても(「エドウッド」
)、変人を魂を込めて演じるなんて彼のフィルモグラフィーには見当たりません。同じく変態を演じさせたら第一人者のジョン・マルコヴィッチ
と共に退廃的な貴族の生態をフィルムに焼き付けている。
もちろんただ貴族の非倫理だけが作品の核になっているわけではなく、“天才”の屈折した愛や忠誠心が物語の中心で興味深いところです。女優を発掘し、育て上げるなんて屈折した純愛以外の何ものでもないでしょ?この辺はアルノー・デプレジャンの「エスターカーン」
を思わせて、この作品のもう一つの魅力なんですけれど。人気、実力共に当代随一のスターの記念碑的作品といっても差し支えないでしょう、ファンの方は必見です。
現在(5/13/2006)公開中
オススメ★★★★☆
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