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花よりもなほ

  花よりもなほ

 

 見ている最中につかこうへいの「つか版・忠臣蔵」  を思い出しましたけれど、一見ほのぼのしたコメディに見えながら実は「七人の侍」に近いリアル路線の時代劇。それは冒頭のシーンを見れば良く分かります。長屋の住人がそろいもそろって汚らしい。その汚らしさといったらホームレスと寸分たがわないくらい。

 

 しかしながらかの名作「七人の侍」がそうであったように、洗濯機のない時代なのですから当然といえば当然。で、そういった路線ですから、その時代背景もリアル路線。長屋に住んでいるのが方言丸出しの赤穂浪士だったり、“生類憐みの令”の時代なのに貧乏だから犬を食べちゃったりね。

 

 で、主人公は“仇討ち”をしなくちゃいけないけれどまるでへっぴり腰のお侍。V6の岡田准一くん、端正な顔立ちなのに弱虫って役がピッタリとハマってます。近所のバカを演じた木村祐一も、主人公にたかる男の古田新太も、TVの時代劇とは一味もふた味も違って良いです。彼らが織り成す日常の出来事は、それぞれ笑いありしみじみするものありで絶品。

 

 前作「誰も知らない」がえらくハードな作品だっただけに、是枝裕和監督今回はコメディタッチでホッとさせてくれました。今年(2006年)に入って「かもめ食堂」「ナイスの森」など日本映画で良いなぁと思えるものは結構小粒ですけれど、無理して大作風にしない心意気のものは成功しています。

 

 なお参考までに是枝監督の前3作 「幻の光」「ワンダフルライフ」「誰も知らない」をご覧になってみてはいかがでしょう。他の日本映画とは一味違います。

 

現在(6/3/2006)公開中
オススメ★★★★☆

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関連作

  幻の光

 

 映画作家是枝裕和のデビュー作。もともとTVのドキュメントを手掛けてきたのに、処女作は宮本輝の文学作品を過不足なく映像化。江角マキコのたたずまいはとても美しく、絶品の風景と相まって素晴らしい。また冒頭部分だけ登場の浅野忠信にしろ、“爺さん役”の柄本明にしろ、景色に溶けこませている監督の技量は並大抵ではありません。是枝監督のファンなら文句なく必見。
オススメ★★★★☆

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  ワンダフルライフ

 

 デビュー作が文学作品だったのに、一転してドキュメント・タッチの風変わりな1本。“死後の世界”に旅立つ前に、人生最良の記憶を蘇らせる場所が舞台。出演者の中に素人さんが混じっているせいで、フィクションなんだかドキュメントなんだか判別できないのが最大の魅力。なんと伊勢谷雄介のデビュー作で、役名もそのまま“伊勢谷クン”だったりするのは今観ると驚き。主演のARATAは文句なく美青年で、女性には特にオススメ。
オススメ★★★★☆

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  誰も知らない  

 

 実際に起こった悲惨な事件「西巣鴨子供4人置き去り事件」。これに材を採り、一本の映画にした是枝裕和。非常に意義ある仕事で、カンヌ映画祭に出品は肯けます。ドキュメント的手法を駆使して描き、映画として残す。これはマイケル・ムーア「華氏911」もそうですが、TVには既に信頼がなくなりつつありますので、映画を使って訴える、という映画が本来持っていた機能を復活させつつ、新たな段階に進んだ作品とも言えます。

 

  ここ(横須賀)にいると気がつきませんが、東京では日常的な光景になりつつある事態です。こういう子供のなれの果てという人物を知っていますが、別に攻撃的でも善悪の判断が出来ないわけでもなく、ただ恐ろしく醒めていて、見た目には普通に映ります。決して自分が不幸などとは思わない。ただ自分を不幸だと感じる情緒が欠落しているだけなのです。この作品でも大人が“知らなかった”ことは描きますが、悲惨で陰惨な環境にあった彼らをどうこうしましょうとか、救ってあげましょうなどとは訴えません。この対象に対する距離のとり方はさすがです。彼らが置かれた現実は生半可なヒューマニズムを受け付けないものだからです。観ていて本当に無力感に襲われ、観終わった後はがっくりと疲れ果ててしまいます。久しぶりに観たへヴィな一本ですね。それとこういった現実にお目にかからずに済む横須賀は本当に住み易いし、いいトコです。

 

 ただこういった映画を撮ることは大いに意義があるし、訴えるために敢えてこういった手法を選択した是枝監督には伝えたいという強い意欲が感じられます。子供の出てくる映画というと、感動作と相場が決まっていますが、実は真正面から描くと、とにかく陰惨なものになりがちです。ラリー・クラークの「キッズ」という作品もそうでした。見ていること自体がしんどくて・・・。 

 

 で、観賞後にカタルシスの訪れない作品を推すのもどうかと思いますけれど、大人の方には特に必見の一本であると申し上げたい。置き去りにした母親に怒ってもけっこう。この役に挑戦したYOUの演技には舌を巻きます。この国で実際に起こった事件だし、体力のある時にご覧になってみてはいががでしょう。ただこれを見た後には口当たりのいい嘘(上質の娯楽作)が堪らなく欲しくなること請け合い。
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