トゥモロー・ワールド   11/26


 確か「大いなる遺産」は良く出来た作品だなぁという印象はあったけれど、それほど凄いとは思わなかった。しかしその監督の実力は物凄いもので、今回まざまざと見せつけられました。

 人類に新生児が誕生せず、滅亡へ向かっていくという設定だから、科学的なお話しかと思いきや、とてつもなく現在の世界情勢を余すところなく描いていて素晴らしい。「Vフォーヴェンデッタ」もそうでしたけれど、近未来を語るうえではイギリスが舞台になるものなのでしょうか。移民問題、絶え間ないテロリストと国家間の戦闘、絶望する人々・・・。

 SF というと大掛かりなセットやら、空飛ぶ自動車やらが出てくると、いちおうSFチックには見られますけれど、肝心のテーマがぼやけてしまう。しかし殆ど現在のイギリスとしか映らないゴミためのような世界の中で、主人公は必死である任務を遂行します。もちろんそれはご覧になってご自身で確めてください。その姿はまさに人間らしさそのもの。国家やテロリストが繰り広げる無意味な殺戮は本当に人類の為にはならない、そのことを明確にしています。

 敢えて商業的な作品にするのを避け、テーマをくっきりとさせた監督の勝利ですね。それを支えているのが撮影監督のエマニュエル・ルベッキ。「ニュー・ワールド」でも美しい映像でため息をつかせてくれましたけれど、今回も一役買っています。「バベル」の公開が待たれるアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督共々メキシコからは凄い才能が出てきていますね。もしアメリカ市民がまともなら、まずアカデミー賞は確実でしょう。

現在(11/26/2006)公開中
オススメ★★★★☆

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      大いなる遺産

                
 文学作品の映画は若い時にはピンとこない。これはその典型で確かに劇場で観たんだけど、グウィネス・パルトローとエンドクレジットの部分しか思い出せない。しかし文学だけに“不変性のある筋”は説得力があって、じっくり腰を落ち着けて観るには適しています。イーサン・ホークはこの当時“坊や役”だと思っていましたけれど、けっこうちゃんと大人の男に変身している。もちろん高い服が自然に似合ってしまうグウィネス・パルトローは、華麗かつ上品で、男が忘れられず、“想い続けなければならない人”。節目に登場の“ミセス・ロビンソン”=アン・バンクロフトも「冷たい月を抱く女」同様印象的で、育ての親役のクリス・クーパーともども重要パートをキッチリ押さえている。ロバート・デ・ニーロはキー・パーソンなので詳細には触れられないですけれど、まだこの頃には勢いがあったなぁ。監督アルフォンソ・キュアロンの実力は既にこの作品で証明済み、「トゥモロー・ワールド」が難なく撮れるわけです。大人の恋愛をじっくり時間を追って描く、大人向けの1本。
オススメ★★★☆☆

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