美しき野獣       
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 お目当ては「春の日は過ぎゆく」のユ・ジテでしたけれど、主演のグォン・サンウには驚かされました。野獣というタイトルがつくくらいですから、凶暴な男が登場するのは当然で、彼がその役を全身で担っているわけです。後で聞いてみますと、TVドラマや初期の作品では優しいナイス・ガイを演じることが多かったそうです。ところがこの作品で始めてこの人を見た私としましては、ジーパン刑事もびっくりするくらいのエネルギーと粗暴さに圧倒されました。もちろんお目当てのユ・ジテは日本の佐野史郎に似た風体で、冷徹な検事を彼でしか出来ない芝居でモノにしていました。情熱を内に秘めた熱血漢という感じでね。

 物語は2人の検事と刑事がそれぞれ追っていた事件で遭遇し、共に協力して巨悪に迫っていくというもの。もちろんそれぞれだけだったら、どっかで見たようなお話しで終わってしまうのでしょう。しかし物語の中に親子、兄弟、夫婦のエピソードが盛り込まれ、ドラマ性を補強しています。ただ韓国映画の多くがそうであるように、やり過ぎない、うそ臭くしないというところがポイント。

 そしてこの作品の面白さを倍化させているのがヤクザの親分で政界に転じようとしている男を演じたソン・ビョンホ。彼は凄みがあってこの作品の厚みに一役買っています。確かに2人の主役は申し分ないのですけれど、この手の作品は悪役がしっかりしていないと成立しません。実はここが肝で、見ていて唸ってしまいます。ラストももちろん韓国映画らしく、半端なハッピー・エンドではありませんし、素晴らしいと思います。もちろん好き嫌いが分かれるからこそ良いのですけれど。

 以前からナイスなグォン・サンウのファンの方には、ちょっとハードな作品かもしれませんけれど、男性には断然オススメ。もはや安全でコミカルなアクションばかりのハリウッドには飽きてきていますものね。
 
 現在(2/23/2006)公開中           
 オススメ ★★★★☆
美しき野獣 [DVD]

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     友へ チング

 

どうしてこれがカンヌ映画祭に出品されないのか、
もはや水準は日本など足元にも及ばないかもしれない
韓国映画待望の一作

 とうとう日本はおいてかれてしまったいつまで経ってもアホな国会議員のあって当然のスキャンダルを暴露してちっちゃな自己満足のメディア。そんな我が国とは裏腹に着実に映画製作の実力を向上させてきた韓国。「シュリ」、「ユリョン」、「リベラ・メ」、「イルマーレ」ときていよいよその真価を見せつける作品、それがこの「友へ チング」です。確かに類似している作品を列挙することは出来るのだけど、作りそのものがしっかりしているので、とても猿真似には見えない。確かに過去の優れた作品を持ち出して比較すれば、それなりに日本の方が良いような気分になれるかもしれないけれど、現時点(2004)での優劣は明らかです。
 
 韓国映画が急成長した理由は国家政策もあるのだろうけど、クォリティがここまで向上した理由は説明できない。本当にあっという間に進化してしまったのだ。なにせ前世紀末に公開された「シュリ」はただのエンタティンメンとしての枠を超えるものではなかった。しかしこの作品のクォリティはどうだろう。十年以上を経てもここまで作品が成熟することなどあるだろうか?と信じられない。確かにマーティン・スコセッシ監督の 「グッドフェローズ」北野武監督「キッズ・リターン」を彷彿とさせるけれど、“影響関係”にあるという程度で、全くのオリジナルにしか見えない。今後が楽しみな韓国映画。まずは「イルマーレ」 、「ユリョン」、「リベラ・メ」などは必見です。韓国映画がレヴェル・アップしていく様を追うことが出来ます。

 監督の自伝的作品ながら、ノスタルジーだけにとどまらない素晴らしい出来の一品。幼馴染の四人組がたどる半生がストレートに描かれていきます。物語りもさることながら、撮影が素晴らしくアジアでも一歩先をいくという感じでしょうか。男性にはまずオススメ。アジアでも「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」の様な作品が生まれるのです。
オススメ★★★★☆

友へ チング [DVD]

       

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