アメリカ、家族のいる風景
3/5
傑作「パリ、テキサス」以来のコンビ復活というのが謳い文句の本作。前作の「ランド・オブ・プレンティ」が世界の現実やアメリカの“今”を描いていてヘヴィな内容だったのに対して、コメディタッチに仕上がっています。かなり個人的事情が反映されているんじゃなかろうかというお話しで、可笑しいやら哀しいやら。
確かにかつては色男で放蕩の限りを尽したオッサンが、“蒔いた種”つまりは顔も知らない息子や娘と対面するというのが大筋。二枚目で渋い俳優に扮するのがサム・シェパードで、「ライト・スタッフ」
のチャック・イエガー役が忘れられない人間にとってはなるほど当時はやっぱねぇ、そういうこともあったのかねぇ・・・という気にもなります。おまけにかつての恋人の役をジェシカ・ラングが演じるとなればあまりにも生々しい。だって本当に恋人だったんですから。
期せずしてジム・ジャームッシュ
(兄弟分の監督)も似たような題材の「ブロークン・フラワーズ」を撮っていますね。以前は映画界をリードする若手としてスタート。野心的作品を次々に発表してきて巨匠などと呼ばれるまでになった男がその人生を省みようとしているのでしょうか。ま、既に初期に傑作「都会のアリス」、中期で世界中を唸らせた「ベルリン天使の詩」、一歩下がってオトボケロード・ムービー「リスボン物語」と好き勝手に映画を撮ってきた彼。その放蕩オヤジの
“老境一歩手前、すまなかった俺が悪かった”的作品、結構好きです。ファンの方ならチラッと覗く感じでご覧になってみてはいかかでしょう。
それにしてもアメリカの若手監督達が神経症的作品でみみっちい“画”しか撮れないでいるところに、圧倒的なアメリカの原野を切り取っちゃうのが凄いんですよね。
現在(3/5/2006)公開中
オススメ★★★☆☆
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