サイドウェイ 4/8
「アバウト・シュミット」
でアメリカ人の日常をごく普通に描き、リタイアした男の悲哀をユーモアを交えつつ描いた監督アレクサンダー・ペイン。恐らくはコレもワイン好きにとっては傑作として記憶される得がたい小品。しかしダイナミックには描かれていないし、CGも使ってない。銃撃戦やらもないけれど、どうしてこうも愛しく思えてしまうのか。
2人の友人同士がカリフォルニアのワイナリーを訪ねていくって設定からして“オッサン”臭いですから、若い方には抵抗があるでしょう。ですけれど、オッサンとしては本当に味わいのある傑作に映ります。行く先々で主人公が口にするワインを見ていると、本当に飲みたくてたまらなくなります。「マーサの幸せレシピ」を観た時も、パスタが無性に食べたくなりましたが、これもそうで食べ物映画としても秀作でしょう。
生真面目で離婚歴があるために、いい年しても自分にアプローチしている女性を受け入れられないのが主人公。教師であるけれど、作家志望でワインの知識だけは豊富。対象的に俳優をしていて、自分に自信のある相棒は、結婚寸前のクセに女性を口説きっぱなし。この2人の珍道中が本当に可笑しくもあり、しみじみと心に訴えてくる。
もちろん大どんでん返しとか、波乱万丈の展開ではなく、ごく日常的な珍事が実に上手い具合に描かれていて、大人のみに限定ですけれど、必見の傑作と言ってよいでしょう。お酒の飲み方は年をとってからじゃないと分かりませんものね。それにしてもフルチンの男が画面の向うから走ってくる様は大爆笑。ついつい思い出し笑いしてしまいそうです。こういう作品をノミネートしているんだから、今年のアカデミー賞
は本当にエライ。
現在公開中(4/8/2005)、でも終わっちゃいました。
ですからぜひリリースされたら見てください。
オススメ★★★★★
サイドウェイ(特別編) [DVD]
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