レイ/Ray
2/2
ジョニー・デップ主演の「ネバーランド」もそうですけれど、最近のアメリカ映画が描く偉人モノは結構出来が良い。「コラテラル」でかなり良い芝居のジェイミー・フォックスがレイ・チャールズに扮した「Ray/レイ」は素晴らしい。元々去年まで生きていた人だし、サザンの“いとしのエリー”なんかをカヴァーしていたから、この国でも馴染みのシンガー。
そんな実在の人物にして、記憶も生々しい音楽家を演じきったジェイミー・フォックス
は今後ますます楽しみな人です。で、内容がまた素晴らしい。敢えて彼を神格化なんかはせずに、クズクズの音楽家の生活をマンマ描いていること。ヘロインは打つはコーラスのねぇチャンを愛人にするは、メチャメチャドロドロの人生が彼の名曲に乗せて描かれる。
実際素晴らしい音楽を生む人が、素晴らしい人格を持っていることは稀。たいてい音楽家の生涯を描くと、どーしょーもない場面が連続します。でも飽きずに2時間32分も観続けることが出来るのは、何より彼の楽曲が常軌を逸して素晴らしいのと、その挿入されるタイミング。この辺監督の技量はたいしたものです。
もちろんしょーもない場面ばかりではなく、盲目であること、黒人であることは彼が生き抜いた時代においては、決して楽な道のりではないこともキチンと描出されている。ただ過度に差別や障害にウェイトを置くのではなく、彼が一人のミュージシャンとして経てきた人生を中心に描かれていることが、何よりこの作品を素晴らしいものにしています。だからワンワンと泣くのではなく、しみじみと彼の名曲が身体に沁み込んでくる幸せな時間を過ごせる傑作となっております。
それにしてもあれだけデタラメな生活をして“ジャンキー”であったのにもかかわらず、73才まで生きたんだから凄いじいさんだったわけです、レイ・チャールズって。
現在(2/2/2005)公開中
オススメ★★★★★
Ray / レイ [DVD]
←前のページ 次のページへ→
Ray/レイDMM.comDVDレンタル